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【IPSG包括歯科医療研究会】

『顎関節症の臨床と治療』稲葉繁+IPSG副会長岩田光司コラボセミナー【後編】

前編に引き続き、『顎関節症の臨床と治療 稲葉繁+IPSG副会長岩田光司コラボセミナー』の模様をお伝えいたします☆

後半は、IPSG副会長、岩田光司先生のセミナーです☆♪

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岩田副会長は学生時代から稲葉先生のもとで勉強し、日本歯科大学卒業後、当時の稲葉先生の高齢者歯科診療科、総合診療科の医局員としてずっと支えてきてくれました。

稲葉先生の診療を忠実に守り、実践されている、稲葉先生の弟子です。 

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岩田先生のセミナーの内容、本当に素晴らしかったです。

今回、具体的な臨床例として4症例ありましたが、ひとつひとつ大変奥が深く、沢山の学びがありました。

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顎関節のクリック音がでるメカニズムや、下顎頭の動きとディグマの動きを連動させたパワーポイントは、本当にわかりやすく、目からウロコでした。

ベネット運動
イミディエートサイドシフト

などについても説明がありました。

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また、てこの作用についても、作り込まれたパワーポイントは、また稲葉先生と違った視点から学ぶことができ、大変勉強になりました。

また、症例の中に、沢山の動画を盛り込んでありました。

患者様の治療後のインタビューで、

「動画、診査した内容をこうやって目視してみせもらえたことで、感激しました。

岩田先生に、診断していただいたことで、体のメンテナンスは大事だと思いました。」

とお話しされていました。

患者様は素人です。

歯科医師が、きちんと伝えることの重要性も理解できました。

私が大変びっくりしたのは、

治療前治療後のディグマのデータが、まった別人の顎の動きのように、オクルージョン、咬合調整で変わってしまったことです。

これは、とってもすごい事だと思いました。

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パワーポイントがとにかく綺麗で素晴らしいのに加え、岩田先生の臨床精度の高さにはびっくりしました。

頭位および顎位の変化が重心に与える影響、咬合器の精度実験なども話があり、興味深い内容盛りだくさんでした☆ 

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最後に、稲葉先生から、顎関節の解剖の動画を用いた説明がありました。

雑音時、やクローズドロックで円板が詰まっている、前方転移の状態の動画なんて、なかなか見ることはできません。


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しかも、稲葉先生の解説付きです。

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クローズドロックのマニュピレーションの方法を、やはり、実際の患者様の症例でご説明させていただきました。

「咬合調整は、関節の調整です。関節の理想像を作るための咬合調整です。咬合診断は円板にのせてからする。ということを覚えていただきたいと思います。」

 

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チュービンゲン大学独特の検査方法、レジリエンツテストです。

関節円板の脱落を検査する方法です☆

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質疑応答では、中心位の具体的な採得方法について、デモがありました。

北海道大学の小畑先生がモデルになってくださいました(^_-)-☆

稲葉先生、小畑先生のお口の中を全く見ていないのに、中心位を触っただけで、

「上顎の臼歯の舌側内斜面に干渉があるね」

と(@_@;)

「その通りなんです!インレーを一年前にいれました。」←小畑先生

ということで、本当に盛りだくさんのセミナーで、先生方には大変満足して頂けたのではと思います。

先生方の感想を一部お伝えいたします。

*:..o゜・:,*:..o*:゜・:,*:.o゜・:,

◆咬合調整の目的は、顆頭一関節結節を密着させるように1級のテコ⇒3級のテコに調整し、理想的な関節の状態にすること。今日、最も勉強になったことでした。

◆非常に勉強になりました。顎関節の動画、症例の動画などイメージが湧きやすくなると思いました。しっかり復習して咬合診断コースが受講できるようにしたいと思います。そこからテレスコープや総義歯も受講できればと思います。有難うございました。

◆大変貴重なお話有難うございました。知識不足もあり周りの先生より理解ができていないので一緒に受講した院長、副院長に復習してもらいたいと思います。中心位やロックの外し方なども今まで曖昧だったものに対しての考えを深めることができたのでとても面白かったです。

◆今まで顎関節症の患者さんはお手上げでした。明日からすぐ実践というわけにはいきませんが模型をプロターに装着することから始めたいと思います。とても勉強になりました。有難うございました。

◆自分の不勉強なところがまたはっきりしたように思います。「咬合干渉」について実際に臨床にいかせるこほどまだ知識がないのでまだまだ勉強していきたいと思います。IPSGには総義歯やリーゲルなど興味深いものがたくさんあるのでもっと勉強していきたいです。

◆顎関節症を知ることで咬合のことも今までぼやけていたこと所がわかってきました。もっと知りたいと思いました。ありがとうございます。

◆セミナーは何回目かですが、同じようでまた新たな知識が得られた気がします。

◆非常に素晴らしい講演を有難うございました。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

◆ポイントのつまった素晴らしい講義でした。

◆症例がたくさん見れ、大変勉強になりました。反復して学ぶことで新たに気づきが沢山ありました。今日は有難うございました。

◆「一番印象に残ったこと」→中心位採得時には下顎の筋反射を利用すること。オトガイと斜めから下へ刺激する方法で誘導する方法を明日からやります。 「明日から実行しようとおもったこと」→レジリエンツテストもやります。

 

 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

『顎関節症の臨床と治療』稲葉繁+IPSG副会長岩田光司コラボセミナー【前編】

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2013年3月3日、『顎関節症の臨床と治療 稲葉繁+IPSG副会長岩田光司コラボセミナー』が開催されたので、ご報告させていただきたいと思います。

とてもボリュームのあるセミナーだったので、前半と後半に分けてお伝えいたします☆♪

現在、日本では顎関節症はオクルージョン(咬合)とは関係ないと言う風潮があります。

アメリカのA.A.O.P(アメリカンアカデミーオブオロフェイシャルペイン)という団体が、顎関節症における咬合の重要性が低くなったと伝えたことに影響されているものと思われます。

本当にそうなのでしょうか?

ヨーロッパでは顎関節症とオクルージョンの論文、書籍が沢山でています。 

ドイツでは、マールブルグ大学の、lotzmann教授、オーストリアではウィーンのSlavicek教授もオクルージョン(咬合)からのアプローチで、顎関節症を治療しています。

ヨーロッパでは、顎関節症とオクルージョン(咬合)は密接に関わっていることを前提としています。

咬合と顎関節症は関係ないからとして、

ただ単に、口の中をみる。模型を手で合わせて異常なし。

なんてことは本当にナンセンスだと思います。

フェイスボートランスファー、スタディーモデルもとらないで咬合は関係ないなんて、決してありえないと感じます。 

稲葉先生は、40年間の臨床経験で、咬合からのアプローチで顎関節症の治療を行ってきました。

今回のセミナーではまず、どのような経緯で稲葉先生が治療を行ってきたのかという話がありました。 

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これは世界で最初のワインのコルクで作られたスプリントです。

否定はされていますが、関節を下にさげるという、コステンのアイデアはすごいと思います。

◆咬合を念頭においた顎関節症に対する考え方の変遷

●1930年代のCosten Syndromeは低位咬合による顆頭偏移が難聴をはじめとするさまざまな症状を引き起こし、その治療法として咬合拳上が有効であるという考え方が受け入れられました。

●Schuylerをはじめとして、ただ画一的に咬合拳上するのではなく下顎運動時の影響を重視し、昨日的に咬合を考える人もいました。

●咬合を単に器械的にとらえるだけでなく、顎機能あるいは歯周病との関係を重視した生理的咬合の考え方を主張する術式は、Ramfjord,Posselt,Krogh Poulsen,石原などの傑出した学者を生みました。

●1970年代に入ってLaskinの影響を受け、咬合が軽視され、筋機能障害が重要視されましたが、Farraerは臼歯部の咬合支持の欠如が関節円板障害の原因として重要であることを強調しました。

●1970年代から80年代にはWeinberg,Gerberは顆頭偏位と咬合異常に関するX線的研究が発表され、クリッキングやロッキング症状として現れる顎関節内障が注目を集めるようになりました。

●1980年代は顎関節内障全盛となり、CT、MRIを使った診断技術が向上しました。

●1990年代になってふたたび咬合異常が軽視され、疼痛を重要視するようになりました。これに対し、日本、ヨーロッパでは顎機能障害の病因として咬合異常を重視する考えで、確実に診断方法が進歩しています。
現在ではストレスや習癖を考慮した合理的咬合治療がおこなわれています。

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Niles F.Guichet、(ギシェー)は稲葉先生が崇拝する先生です。

ギシェーは、1957年Arne Lauritzenより咬合に関する疾患と治療法について学びました。その後Charles E.Stuartの門をたたき、咬合について特に顎運動の精巧さと顎運動が咬合面に与える影響について深く学ぶことになります。

時を同じくして、John Woehler,L.D.Pankeyに影響を受け、歯科治療を見極める目を教えられました。
その他D'Amico,Earl Pound,Peter Neff,Parker Mahan,P.K.Thomasら多くの方々の影響を受けました。
そのためこれらの人の考えをまとめ、Guichetの理論を作り上げました。
その結果、
1.咬合の各学派の考え方をうまく取り入れた理論です。
2.常に実践的です。
3.咬合理論の統合と普及を行いました。
4.咬合病の考え方を発表し、咬合と姿勢、筋骨格系との関連をさせたこと、X線診断を関連付ける業績を残しています。

Dener Mark Ⅱ・D4H・D4A・D5Aの開発者でもあります。

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「この写真は、実際に私がギシェー先生の実習を受けた時のものです。」 

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左上の写真は稲葉先生が、ドイツ留学時、カールスルーエで、P.K.Thomas のワックスコーンテクニックの実習を受けた写真です。

葉巻をくわえ、ウィスキーをグイっと飲みながら実習していました。

彼はハリウッドで開業していて、バチカンで聖母マリアのキリストの腕が、折れてしまい、彼は財を投げうって修復したことでも有名です。

そしてその右は、クローポールセン先生です。

彼からは筋触診法を学びました。

右下はジャンケルソン先生。

やはり、ドイツに留学していたときにフライブルグ大学で研修を受け、マイオセントリックの概念を勉強しました。

左下は、ラウリッツエン先生。

ナソロジーを学びました。

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チャールス・E・スチュアート先生は、アメリカでナソロジーの開祖として有名な人で顎の運動と歯の形態などのナソロジーの基礎を勉強し多くの影響を受けました。

スチュアート先生の実習は全部で3回受けました。

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こちらは、スチュアート先生の奥様の口の中の写真です。

アンテリアガイダンスがきちんと付与されていたそうです^_^

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こちらが、稲葉先生がドイツへ留学することになった大きなきっかけとなった論文です。

チュービンゲン大学の口腔外科、シュルテ教授の論文で、大変衝撃を受けたと言います。

素晴らしい内容で、シュルテ教授の講義を受けたくて、チュービンゲン大学に留学した、稲葉先生。

朝8時から夜の9時まで毎日2週間、顎関節症のレクチャーを受けました。

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こちらは、チュービンゲン大学独特の顎関節症のスプリント、Tuebingerintersepterです。

この他にも、てこの原理や、シュルテ教授の顎関節症のフローチャートなど、盛りだくさんの内容でした。

後編に引き続きます!!

 

 

 

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ラビリントレーナー

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その4】

◆摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その4】

ということで、今回は、哺乳瓶の弊害についてお伝えしたいと思います。

間違った種類の哺乳瓶を使うことにより、 舌が間違った飲み込み(嚥下)方法を脳に記録してしまう・・・

それにより生じる、歯並びの異常、発音の異常が生じることについてなど、お伝えしたいと思います☆♪ 

ラビリントレーナーが開発された、原点の話です。

☆ 彡:・;.*:・。゜゜・:゜*:。゜.*。゜.o。・。゜。o.゜。・*。・゜.。☆彡

発音の悪さが目立つ時代

近頃テレビを見たり、ラジオを聞いていると、発音の悪い人が目立って多くなってきた気がします。

それも戦前、戦後の食糧事情があまり良くない時代に育った中高年の人には見られず、景気回復の兆しが現れてきた昭和30年代以後から飽食の時代といわれる現代に生まれた人たちの中に多く見受けられます。

最近の若い人、アナウサーやキャスターでさえも発音の悪さが目立っているのはなぜでしょうか。

「サシスセソ」と「タチツテト」の発音が区別できず、甘ったるいような、聞き取りにくい発音をしている人がいます。

このような人を気にしてみていると、例外なく歯並びが悪かったり、オープンバイト(前歯が開いている噛み合わせ)である人が多く、特に前歯が叢生(歯並びが悪い)で、犬歯が八重歯になっていて大変気になります。

このような歯並びの状態の人たちは、ただ単に見た目が悪いと言うだけでなく、将来審美性の問題や顎関節症の治療の必要性を抱えた潜在治療困難患者であり、将来必ず歯科治療を希望して来院することが予想されるからです。

哺乳瓶の歴史は100年

人類の進化過程では、自然環境の中で生活し、食糧も動物を捕獲したり、植物を採集し、自然の食物を摂取してきました。

人工的に食物が栽培されたり、家畜が飼われて、それを食糧として生活したのは農耕文化が入ってきた縄文時代以後のことでしょう。

前期弥生の農耕民の遺跡から、親子の牛の遺体が発見されています。土師器文化期になると家畜の飼育が盛んになっていることから、1400年前には牛乳の飲用が行われていたと考えるのが妥当だと考えられます。

そこでは、子どもを育てる場合には母乳による保育が行われていたことは当然ですが、家畜から乳を母親代わりに与えたことも考えられます。

牛乳の与え方も、器から直接飲ませたり、匙のようなもので与えたのではないかと想像されます。

粉ミルクを哺乳瓶で飲ませるのが一般に広まっていたのは戦後になってからのことです。

牛の乳を哺乳瓶を用いて飲ませるようになった歴史は比較的新しく、1897年(明治30年)前後にオランダ製口吹ガラスのものが、ごく一部の人に使われたのが最初と言われます。

それまで竹の筒におかゆ等を入れ、飲んでいました。

進化過程を再現する胎児

宇宙の惑星である地球上に生命が誕生したのは、今から40億年前にさかのぼります。

太陽からの紫外線を避けて、海中に原生動物が誕生し、その後デボン紀に硬骨魚類が生まれ、進化をした魚は両性類として陸に上がってきました。

その後、爬虫類が生まれ、哺乳類が出現しました。

ドイツのヘッケルは「個体発生は系統発生の繰り返しである」という設を唱えました。

それは、卵から発生が進んで成体に達するまでの過程は、その生物が辿ってきた進化の過程を短時間で再現している、というものです。

母親の胎内で一個の卵子と精子が結ばれ、受精卵ができ、生命への第一歩を迎えます。

その後、母親の羊水の中で39週間を過ごし、その間12~15週間には、羊水を飲み始めると同時に、生まれてから母親の乳頭に吸い付くための準備運動である指しゃぶりを始めます。

このことは最近の超音波診断器の発達により証明されています。

うまれてからは、しばらくたつと手と足を使い上手に腹這いを始め、高這いを経て、体を浮かせ立ち上がります。

これは、生物の進化過程と同じ経路を辿っているように思います。

海水中の魚から両生類として陸へ這い上がり、爬虫類を経過して哺乳類となり、直立二足歩行が完成するのと同じということです。

お乳は、吸ってもらって初めて出る

人間の胎児は、哺乳動物としては未熟のまま生まれてきます。

つまり、大脳皮質が良く発達しているため、頭が大きく自力で立ちあがることができません。

そのため自分から母親のお乳を吸いに行くことができず、母親からの授乳により生命が保たれます。

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哺乳という行為は自然の摂理であり、赤ちゃんが乳頭を吸うことにより、下垂体から分泌される催乳ホルモン・プロラクチンによって乳汁が促され、積極的に授乳することで、十分な母乳が出てきます。

小児科医は

「お乳は出るから赤ちゃんに吸わせるのではなく、赤ちゃんい吸ってもらって初めて出るのです」と訴えています。

人間の進化過程で、現在のように人工的に哺乳瓶を用いて母親の代わりに授乳させてきた時代はなく、それは乳児の成長に大きな影響を与えています。

どんな乳頭の形態といえども、人間の乳首に勝るものはありません。

乳児期に良い歯列(歯並び)を作り出す大きながっしりとした顎を母乳により作り上げる必要があります。

母親の胸に抱かれての授乳は、生まれたばかりの赤ちゃんにとって最大の運動であり、額に汗を流しながら夢中になって母親の乳頭に吸い付き、疲れ切ってすやすやと眠りに入ります。

しばらくすると思い出したかのように再び吸い始めます。

この行為は口の周りの筋肉発達、歯並び、発音に非常に重要であり、誤った哺乳行動は、舌の機能障害を生む要因となります。

その結果、ディスクレパンシー(歯並びが悪くなる)を引き起こし、発音の悪さに大きく関わりあいがでてくるということです。

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国産のニップルは乳頭が長くて穴が大きく、空気孔もあり、努力しなくても乳が出ます。


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こちらは、ドイツのNUK社の乳首です。

母乳と似たような哺乳行動がとれるように設計してあります。

国産のものに比べ、空気孔は小さく、一生懸命吸わないとミルクがでないようになっています。

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こちらは、NUKのおしゃぶりを吸っている赤ちゃんです。

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ラビリントレーナー

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その3】

◆摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その3】

ということで、今回は、舌の正しい使い方、間違った使い方がなぜ生じるか。

そして、哺乳行動(赤ちゃんがおっぱいを飲む行動)と顎の発達

についてお伝えしたいと思います☆♪ 

ラビリントレーナーが開発された、原点の話です。

☆ 彡:・;.*:・。゜゜・:゜*:。゜.*。゜.o。・。゜。o.゜。・*。・゜.。☆彡

哺乳(おっぱいを飲む)行動と顎の発達の相関

以前、日本にしばらく滞在していたドイツの大学の歯学部教授から、

「日本の若い人には、犬歯が唇側転移している例を多く見かけるが、何故なのか」

という質問があり、かなり日本人の歯並びの悪さが気になっている様子でした。

欧州では、八重歯はお揃えいい吸血鬼ドラキュラの牙と同様に見られ、あまり良い印象を受けないために、そのような質問が出たのではないかと思います。

ドイツでは乳幼児の顎の正しい発達のために、Dr.MüllerによりNUKのニップル(哺乳瓶の乳首)が開発されました。

これは乳児の発達程度に合わせ、ニップルの大きさやミルクの出る穴の大きさを変えて使用できます。

この乳首の持つ機能は、母親の乳頭に最も近似していて、乳児が正しい舌の使い方をするとミルクが出てくるように設計されています。

正常な哺乳行動では、乳児は母親の乳頭を口にくわえ込み、乳首を舌先で強く口蓋に押し付け、数か所の乳管開口部から分泌される乳汁を飲み込みます。

そのとき、唇に力を入れて吸引しながら下顎はわずかな前後運動をすると同時に、舌は口蓋へ押し付けられます。

その結果、乳児は舌の正しい動きを学習し、口唇には力が付き、口蓋は広大し、歯の生えてくる十分なスペースを確保することができます。

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人工授乳においても、このような哺乳行動が行わなければ、正しい顎の発達は望めません。

NUKは、この点を考慮して開発されたものです。

つまりNUKのニップルでは、ミルクの出てくる穴が口蓋側にあり、舌で押し付けることにより、ミルクは口蓋鄒壁に沿って排出され、舌いっぱいに広がった後、飲み込むように設計されています。

同時に咀嚼筋(口の周りの筋肉)の発達を促し、口の周りの機能は正常に発達してきます。

適正でないニップルの弊害

通常市販されているニップルは、乳首が長過ぎ、そのうえ大きな穴が先端にあり、しかも空気の取り入れ口まであるために、哺乳瓶を傾けただけで自然にミルクが流れ出してきます。

こうしたニップルを用いた場合には、乳児の意思に関係なくミルクが出てくるために、乳児は何の努力をしなくても、ただ飲み込むだけでよいということになります。

この場合、乳児は舌を細長く丸めニップルを包み込み、自分の意思とは関係なしに出てくるミルクをストップさせるために前方に押し付け、ピストン運動をするように前後に動かします。

その結果、人生の出発点である乳児期に間違った舌の運動を学習してしまい、飲み込み(嚥下)運動の際、舌を口蓋鄒壁(こうがいすうへき)に押し付けることができず、前に押し出す癖を脳に刷り込んでしまいます。

このような癖を持った人が成長すると、不正な歯並び、それに伴う発音の異常、さらに顎関節症等、様々な症状が現れてくることが予想できます。

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飲み込み(嚥下)運動の際、口蓋鄒壁に舌を押し付けた場合には、舌は下顎側にあるため、下顎は後退し、顎がリラックスできる位置とほぼ一致するため、バランスが保つことができます。

逆に舌の突出癖がある場合には、下顎は飲み込みの回数に応じて前後に動きます。

通常、飲み込み(嚥下)は一日に600回から2000回といわれるので、この癖を持つ人では、正常者に比較して、下顎の前後運動に関与する筋の疲労が増すことが当然考えられます。

舌は下顎の水先案内の役目をしており、舌を前に突き出せば、それに伴って下顎は自然に前に出て行き、舌を側方にだせば下顎も同じ方向に移動します。

したがって舌の動く方向に下顎も移動することになります。

舌を突出させる飲み込み(嚥下)運動は正常な筋肉の使い方ができず、頬筋、口輪筋、オトガイ筋という口の周りの筋肉の緊張が強く現れてきます。

このようなアンバランスな筋肉の使い方の結果、臼歯は頬筋の緊張の影響で頬側から力を受け、歯並びは狭まり、前歯が広がり臼歯は内側に倒れてくる、Ωオメガ型歯列を形作ってしまうことになります。

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舌圧の研究

飲み込み(嚥下)をした時の口腔周囲の筋肉の圧力に関しては、舌側からの圧力よりも強いと言われています。

「正常咬合者と不正咬合者の上下前歯部における口腔筋圧の研究」という根津の報告によると、正常咬合者の場合、安静時には、上顎唇側圧平均7.2g/cm2、同舌側圧平均10.1g/cm2,下顎では唇側圧8.6g/cm2、舌側圧14.6g/cm2であり、上下とも舌側圧が唇側圧を上回っていました。

さらにつばを飲み込む時では、上顎唇側圧は60.0g/cm2、同舌側圧は123.2g/cm2で、舌の圧力が唇の圧力の2倍を示した興味ある結果を得ています。

この報告から、舌の力と唇や頬の力の不均衡が起きることにより、歯並びが悪くなることは容易に納得できます。

歯並びが悪い方は、飲み込み嚥下の際に上下の歯列の間に舌を突出させています。

「サ行「「タ行」「ラ行」の発音の際にも舌の突出が見られ、明瞭な発音の違いを区別できない結果となります。

このようにして、歯並びが崩れた治療に際しては矯正治療やかぶせ物の治療を行うことがしばしばありますが、見かけだけの修正という現象のみを治しても、その症状を現した原因を除去しなければ、発音の異常や口の周りの機能異常を治癒させることは不可能です。

「生命現象とは、内部環境を恒常に保つための努力である」といわれます。

生きている人間の心身は動揺しつつ安定を保っているものであって、もし恒常が破れて安定状態に戻ることができない程になったとき、それは病気となります。

そのため、人間の身体全体を考えたとき、どの部分から見てもバランスがとれ、左右・前後に偏らないことが理想です。

これは歯の位置についても同様です。 

 
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嚥下の際の舌は口蓋鄒壁に押し付けた後、舌背部を徐々に押し付けていきます。
◆根津論文(歯学学報より)

ラビリントレーナーは、このような舌の癖、飲み込む時の癖を、治すために、開発されました。

そして、発案後、様々な効果があることを発見しました。

次回も、歯並びや発音が悪くなる原因について、より詳しくお伝えいたします。

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【IPSG包括歯科医療研究会】

石原明先生マーケティングセミナー第5回開催されました☆

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2013年02月24日(日)石原明先生マーケティングセミナー第5回が開催されましたので、ご報告させていただきます。 

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毎回稲葉先生とのコラボとなっていますが、今回の内容はシークレットということで発表してなかったにも関わらず、沢山の先生にお集まりいただきました(^_-)-☆

稲葉先生が今回お話しさせていただいたのは、

稲葉先生がこ『れまで歩んできた歴史』、そして、『これからの歯科医院経営』についてです。

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最初の出発点を間違えないように。

ボタンの掛け違いをすると最後、終わるころに気づいても遅いのです。

なぜなら、出だしを間違えると50年間間違ってことをしてしまう。

なので、できるだけ、早い時期に質の高い治療を身に付けていただきたいと思います。

稲葉先生は、昭和39年、日本歯科大学の大学院に入りました。

当時、178名の中で大学院へいったのは8名だったそうです。

27番目(歯学博士)

というぐらい、大学院に残る人は稀でした。

当時は、歯科医師が少なく、朝6時から整理券をもらって何時間も待ち、行列を作り、実際の治療時間は3分。

何もしなくても、患者様は溢れていました。

日本中歯科医師がたりなくなってしまった。

7校しか歯科大学がなかったため、その後、国立大学ができ、29校になりました。

「昭和30年代の歯科大学は相当いい加減だった。」

と稲葉先生^_^;

歯科の雑誌も歯界展望、歯科評論ぐらいしかありませんでした。

なので、外国にでないとどうしても勉強できなかったと言います。

「勉強しようと思わなかったけれど、あまりにもいい加減だったので、どうにかしないといけないと思った」

ということで、稲葉先生は、文献を一生懸命読んで、海外へ出て行きます。

最初に興味をもったのはオクルージョン(噛み合わせ)と、顎関節症の治療です。

世界の巨匠から一次情報を得ることによって、下地を作ってきました。

昭和44年、稲葉歯科医院、開業。

当時は、大学に勤めていたので夜間開業をしました。

大学院のときは、成績は決してよくなかったといいます。

スピードスケートでは国体に3回でましたし、大好きなバイクに夢中になっていたそうです。

でも、その当時から、稲葉先生は保険治療を行っていませんでした。

そのころの患者さんがいまでもいらしていただいています。

歯科医師人生、最初の記録はずいぶん残しましたが、ゴールをこれからみようとしています。

と、先生たちにお話しさせていただきました。 

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稲葉先生が築いてきた、患者様とのコミュニケーションについて、お話しがありました。

◆患者様と、信頼関係を結ぶテクニック

  • 目標設定をする
  • 問題点の抽出
  • 情報収集
  • 学問的である
  • 相手に有利になる
  • 妥協と解決点
  • 同意と確認

常に、患者様に対して学問的に説明をさせていただき、患者様の有利になることを伝えることが信頼関係を結ぶのに非常に大切なことだと感じます。

反対に。

◆患者様との信頼関係がとれないミステーク

  • 出たとこ勝負
  • ギブアンドテークを無視
  • 脅迫めいた言動
  • 忍耐心がない
  • 感情的になる
  • 患者様の話を聞かない
  • 説得せずに議論してしまう
  • 対立反対を恐れない

ということだそうです

やはり、患者様の聞かないで、一方的に話をすることは、大きなミステークです。

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そして、先生方自身の自己管理も重要です。

この写真は、フィンランドを訪れた時に、保健所に貼ってあったポスターです。

『自己管理をしなければ、院長の信頼を失う』

なんて、ちょっと怖いですね(@_@;)

院長としての立場を考え、
リーダシップをとり、尊敬され安心して仕事にとりむめるよう自分自身を管理する。

良い趣味を持ち、仕事以外にライフワークを持つ(できるだけ、趣味は本格的にやる)

など、とても大切な話がありました。

その他にもおもしろい話が沢山ありましたが、この続きはぜひDVDをご覧ください☆♪

そして、次に石原先生にお話しをいただきました。

今回のマーケティングセミナーの内容は・・・

◆歯科医院の組織化とスタッフの教育

についてです。
 

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組織化?

ってなんだろう。

10人とか20人とか組織が大きくなったら考えるものなのかな・・・

ぐらいしか思い浮かばなかったので、

「何人からが組織なのでしょうか?」

と質問させていただいたところ、

「2人からです」

え~!!って感じで、急に他人ごとではなくなりました(@_@;)

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先生方は歯科医師としては一流ですが、経営や組織運営に関しては学んだことがないと思います。

先生方の歯科医院を取り巻く環境の中で、スタッフや組織がきちんと機能しているかどうかという事はとっても重要になってきます。

と、お話しをいただきました。

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石原先生のこのような組織化のお話しは、他ではまだしたことがないっておっしゃっていました。

「だから、みんなに内緒ですよ。」

って先生方に伝えている写真です^_^

お話しが終わった後、数人の方とすれ違いざまに聞いたコメントは、

「なんだか、自分がいい人になれそうな気がする。」

「今まで何やってたんだろう」

「これだけ、わかりやすく話すための石原先生の知識は計り知れません」

など興奮したご様子でした^_^

最後に岩田副会長が、

「あまりにもボリュームが大きすぎて、最初の方の内容を忘れてしまうぐらいでした」

というぐらい、お腹いっぱいの内容でした。

DVDで販売するのもちょっともったいないかなって思いますが、もしご興味がありましたら、やはり第1回から第6回全巻すべて見て、聞いていただきたいです。

そうでないと、今までの繋がりも見えないと思います。

以前、石原先生の『成功曲線を描こう』というセミナーを3年ぐらい前に受講したことがあります。

(みんな次の日から、人生が変わってしまうというぐらい衝撃的で、すごいセミナーです。)

私は、今回そのセミナーを受けた時と同じような感覚になりました。

次回第6回マーケティングセミナーでは、『医院のブランディング』について、お話しをいただく予定です。

4月28日 (日)です!

お申込みはこちらからお願いいたします☆♪

『石原明先生第6回マーケティングセミナー』

ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました(^_-)-☆

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ラビリントレーナー

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その2】

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その2】

◆ラビリントレーナー発案のきっかけ

稲葉繁先生が大学院の頃、今から40年以上前、舌の働きに興味があり、舌の文献を沢山集め始めました。

そして、同時に顎関節症の研究もしていたので、よく観察しているとどういうわけか、顎関節症の患者様の舌の圧痕、歯の形の圧痕、口蓋鄒壁の肥厚をみつけ、気になり始めたそうです。


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▼顎関節症の患者様で舌のところに圧痕があります。

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▼圧痕は、歯の形に沿っているのがご覧いただけるかと思います。

たまたま、30年ほど前、今の筋機能療法学会の大野先生という方が連れてこられたアメリカのツィックフーズという医学療法士の講演を聞く機会があり、マイオファンクショナルセラピーのことを知りました。


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マイオファンクショナルセラピーとは筋機能療法のことで、間違った口の周りの機能をされている方を正常にバランスのとれた状態に戻す療法です。

口の周りの機能とは、つばを飲み込む、食事をする、発音をするなどです。

当時は顎関節症と舌壁(舌の間違った使い方)の関係について全くやっていませんでした。

ツィックフーズ先生の講演の後、稲葉先生は質問したそうです。

「顎関節症と舌壁の関係についてどう思われますか?」

当時の答えは、

「わからない」 だったそうです。

その後、稲葉先生は一生懸命舌の働き、さらには嚥下(飲み込み)機能のやり方について研究してきました。

『咀嚼・嚥下・発音』を育てるには、元をたどれば母乳からなんだということも、その時確信しました。

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出だしを間違えると生涯の問題になります。

実際に間違った飲み込み(嚥下)機能をしていることにより様々な障害があるということがわかりました。

このような経緯で、ラビリントレーナーを発案しました。

具体的には、東急ハンズへでかけていき、温度によって形が変形するシリコンをみつけ、稲葉先生自身が、自分の口の中に入れてみて、唾液(つば)を飲んでみたり、口の周りの筋肉を動かしてみて、口の中から取り出してみたのが、まさに今の『ラビリントレーナー』の形となりました。

舌の機能を40年間研究してきた集大成でもあります。

次回は、哺乳行動(赤ちゃんがおっぱいを飲む行動)と顎の発達についてお伝えいたします。

 

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ラビリントレーナー

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その1】

◆日本の3大死因、肺炎が、脳血管疾患を上回りました

日本の3大死因とは、「悪性新生物」(がん)、「心疾患」、「脳血管疾患」で、人口動態調査によれば、2010年の総死亡数の半分以上をこれら3つの死因が占めていました。

しかし、2011年について1月から11月末までの死亡数概算値の累計を見ると、4番目に死亡数の多い肺炎が増加し、脳血管疾患を上回り、3大死因となりました。

肺炎による死亡数の増加は、高齢者の人口が増加したことによる影響が大きいと考えられます。

特に、高齢者は飲み込む力(嚥下えんげ)が衰え、誤嚥性肺炎を起こしやすくなっています。

飲み込む力が低下することにより肺炎を起こすケースが大変増えてきたという事です。

反対に脳血管疾患は、医療技術の進歩により、減少していますが、高齢者の誤嚥性肺炎に対する対策はほとんどされていないのが現状です。

これから超高齢社会を迎える日本は、これから、肺炎による死因のリスクは更に高まる可能性が高いです。

◆摂食嚥下訓練器具、ラビリントレーナーについて

ラビリントレーナーは、 食事中にむせる、食物を飲み込みにくい、食べこぼすなどの嚥下(えんげ)機能が衰えはじめている方、脳卒中などで、飲み込む力が衰えている方の訓練器具として、稲葉先生が発案した器具です。

日本では年間およそ8.000人の人が食べ物により窒息していると言われています。(誤嚥性肺炎)

そのほとんどが65歳以上の高齢者です。

■     食事中にむせる、せきこむ

■     食物を飲み込みにくい、食べるのに時間がかかる

■     食べこぼしがある

■     飲み込んだ後に声がかれる

■     食物がのどにつまる感じがする、胸につかえる

■     唾液(つば)が減って来た、口が渇く

■     唾液が多い、よだれが出る

■     肺炎や気管支炎を繰り返す

このような症状がある方は、飲み込み(嚥下)機能が低下しているという意識をしていただきたいと思います。

元日本歯科大学、高齢者歯科学教授、稲葉繁先生が発案した、『ラビリントレーナーに』は、飲み込み(嚥下)機能を鍛えるの器具として、大変有効な結果を得ています。

ラビリントレーナーの名前の由来はその名の通り、

ラビアル=唇

リンガルは=舌

ということで、唇と舌の訓練器具という意味です。

 

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舌と唇、そして嚥下(えんげ)に必要な筋肉を鍛えることができるラビリントレーナー。

この発案には、40年もの間、研究を積み重ねてきた歴史があります。

次回は、稲葉先生がラビリントレーナーを発案した歴史についてお伝えしたいと思います。

 

 

 

 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

究極の総義歯DVD発売記念講演【その2】

『ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ』Blu-ray(&DVD)完成記念講演の模様、【その2】をお伝えいたします☆

稲葉先生が、『上下顎同時印象法』を開発した経緯について、まず、お話しさせていただきました。

1978年ドイツ、チュービンゲン大学の客員教授として留学をしていた際、IVOCLAR社主催の総義歯のセミナーを受講しました。

その時の講師が、Dr.Hans Shleichです。

大変な衝撃を受けたと言います。

日本の教育の総義歯とは全く違う方法で行われていました。

その時IVOCLARでみた方法は、スタディーモデルを上下顎同時印象でアルギン印象で行っていました。

稲葉先生は、これをどうにか、最終印象で、上下同時に、そしてシリコン印象で行いたいと、ずっと考えていました。

そして、20年前稲葉先生が代表を務めるIPSG発足時、Dr.Hans Shleichを招き、IPSG発足記念講演を開催しました。

それから間もなく、稲葉先生は、最終印象を上下顎同時印象で取る方法を開発し、発表しました。

日本の総義歯は非常に遅れています。

配列もギージーの方法のままです。

もちろん、上下顎同時印象法は、特殊なものなので、大学の教育に取り入れられることはありません。

どれだけ、エビデンスがあっても、独特なものは国家試験にでないのです。

なので、大学で取り入れられない。

このテクニックが生まれても、ある一部の方にしかつかわれていない、

なので、今日参加されている先生方は、チャンスだと思います。

Dr.Hans Shleichは引退するとき、すべての資料、スライドを稲葉先生に託しました。

世界中に広めてほしいと。

シュトラックデンチャーを絶やさないでほしいと。

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こちらは、シュトラックがオルソシットの特許を取った時の貴重な写真です。

詳細な顎運動を計測し、ピラミッドの重なりを歯の咬頭とし、人工歯の特許を取得しました。

シュトラックデンチャー

1949年ドイツ、チュービンゲン大学のシュトラック教授は、それまでのギージーによる歯槽頂間線法則を否定し、口腔周囲筋による安定を求めました。

歯槽骨がないような顎堤でも、維持を発揮でき、配列も自由に行うことができます。

シュトラック教授は、チュービンゲン大学のケルバー教授の前の教授で、シュライヒ先生は非常に尊敬している教授でした。

1978年、稲葉先生は、たまたま、シュトラック教授の話をシュライヒ先生に話したことで、仲良くなったといいます。

このように、稲葉先生の『上下顎同時印象法による総義歯』には歴史的背景があります。

なんとなく開発したものではなく、歴史のある総義歯です。

今までは口をあ開いて印象を採る方法でしたが、
咀嚼をするときの印象ではありません。

閉口印象ができれば顎の口腔周囲筋の印象ができ、サポートできます。

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歯科医学の始祖と言われるPhilio Puffが最初に上下顎同時印象を行ったとシュライヒ先生は伝えていました。

そこで、稲葉先生は、実は日本では400年前に木床義歯の印象に蜜蝋による印象が行われていたことを教えてあげたそうです。

1583年、紀伊和歌山からでた木床義歯、その作り方はみつろうをやわらくして口の中にくわえる方法です。

咬合高径から印象まで、とれる日本の上下顎同時印象の歴史は素晴らしいです。

将軍のお墓からでる木床義歯はこのように作られていたのでしょう。

それ以来、日本の木床義歯が最初の同時印象だということになりました^_^ 

総義歯の源流はやはりヨーロッパです。

スイス、ドイツ、オーストリア、リヒテンシュタインあたりが総義歯の源流となります。

300年前ということになると、アメリカはありませんでしたから、やはり総義歯の歴史を辿るとヨーロッパだということになります。

ヨーロッパの多くの学者の業績をまとめあげ、イボクラーのデンチャーシステムを完成させました。

したがって、大変歴史ある総義歯なのです。

ナソマート咬合器はProf.Boettger

印象トレーは、prof.Marxkors

ゴシックアーチトレーサーGnatho Meterはprof.Kleinrok

人工歯OrthositはDr.strack

重合方法Ivocapsystemイボカップシステムは、Dr.シュライヒのオリジナルです。
 

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こちらは、稲葉先生が開発した、SIバイトトレーです☆

SIバイトトレーとは、スタディーモデルを中心位でトランスファーするためのトレーです。
上下顎同時印象を実行する場合に重要な事は、個人トレーとゴシックアーチの描記に使用する装置を製作しなければなりません。
今までは、スタディーモデルを咬合器にトランスファーする際、平均値で製作していたので多少の誤差を生じることがありました。

その誤差を精密印象時に修正していましたが、今回開発されたSIバイトトレーを用いると、より精度が増し、最終印象まで、スムーズに進むことができるようになりました☆

少数歯欠損、レジリエンツテレスコープにも応用でき、とても臨床幅が広いです。

午後は、今回発売されるDVDの一部を先生方にお披露目させていただきました。

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Blue Lay で、すごく綺麗な映像です。

稲葉先生よりも近い目線で撮影した映像は、本当にわかりやすいです。


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技工士の岡部先生の配列は、みごとに鮮やかです。

「切歯乳頭は必ずしも正中ではないので、口蓋縫合をよくみる。自分の正中と模型の正中を合わせてよく模型を観察しないといけません。」

咬筋や頬筋など、義歯が外れる原因となる部位についても、細かく説明されています。

素晴らしぐらいに鮮やかです。

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総義歯セット後、患者様と一緒に食事をして、稲葉先生、わざと食べにくい物をすすめているところです。

おしんこ、こんにゃく、鴨肉などです。

きちんと前歯で噛むことができました^_^

適合が悪かったら痛くて食べることなんかできません。

装着をしてすぐに食べることがどれほどすごいことか、先生方にはお分かり頂けると思います。

「これからが新しい人生ですよ。」

と言う稲葉先生のコメントが 印象的でした。

 
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セミナー終了後の質疑応答も、初めてご参加の方々からも活発に質問いただきました^_^

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今回、私にとってとても腑に落ちたことは、上下顎同時印象をすることで、閉口印象を採ることができるということですが、翼突口蓋法線の印象を採るということだったということです。

先生方はとっくにご存知かと思いますが、

前歯で噛んだとき、この部分が非常に重要となりますね。

翼突口蓋法線は口を閉じない採れない部位です。

開いた状態だと隙間が空き、浮き上がります。

翼突口蓋法線の印象精度を高めるためにも稲葉先生の、『上下顎同時印象』は本当に素晴らしい方法だと感じました。

 

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武先生の花束、本当に素敵でした。

きっと、患者様にも気配りの細やかな先生なんだろうなって思いました☆♪

今回セミナーにご参加いただいたアンケートの一部をお伝えします。

*:..o○☆゜・:,*:..o○☆*:゜・:,*:.o○☆゜・:,

◆総義歯の勉強会の資料として、このブルーレイがベストなものだと思います。

◆細部まで鮮明に写っていて素晴らしいディスクです。完成したシステムで無駄がないことが再確認できました。

◆とてもきれいな映像でわかりやすかったです。

◆歯科医師として最善の方法を実践できるというこがこの上ない喜びです。更に学び実践していきたいと思います。ありがとうございました。あらためて究極のデンチャーがあるという感をつよくしました。

◆とにかくすごいの一言です。もっと勉強します。

◆とても勉強になりました。これからも義歯製作の1つ1つの細かな所も勉強していきたいと思います。

◆大変勉強になりました。咬合、総義歯について更に勉強したくなりました。

◆とても勉強になりました。これからも義歯製作の1つ1つの細かな所も勉強していきたいと思います。

◆午前の歴史の話はふだん聞く機会も少ないので非常におもしろかったです。今、普段BPSで作っていましたが似ているようでいて違うところが多くすごく勉強になりました。また明日から頑張る気になれました。

◆とても分かりやすい内容で映像もきれいでした。参加して良かったです。なかなか技工の流れを知る機会がなかったのでとても大切だと感じました。

*:..o○☆゜・:,*:..o○☆*:゜・:,*:.o○☆゜・:,

ご参加いただいた、先生方、本当にありがとうございました☆♪

ぜひ、7月13~15日 (土・日・月)に開催される、総義歯ライブ実習コースにもご参加いただき、本物を確かめていただきたいと思います。

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

究極の総義歯DVD発売記念講演【その1】

こんにちは。IPSG事務局、稲葉由里子です。

『ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ』Blu-ray(&DVD)完成を記念して特別記念講演が開催されたのでご報告させていただきます。

タイトルは

『インプラント時代のフルデンチャー』 ~総義歯にインプラントは本当に必要でしょうか?~

ということで、とても充実したセミナーを開催することができました☆♪

今回発売されたDVDは、 実際に、稲葉歯科医院にみえた総入れ歯の患者様にご協力いただきました。

困っていらっしゃること、今までの経緯などをお聞きし、上下顎同時印象法による型取り、技工士による、配列の様子、試適、装着、発音、そして最後は参加していただいた先生方と、患者様とご一緒にお食事をし、きちんと召し上がれるかどうかまで、DVDに収めてあります。

実は、この実習コースの開催まで、1か月お待ちいただいたのですが、我慢ができず、他の歯科医院へ行きひとつ入れ歯を作ったそうです(-_-;)

でも、やっぱり、痛くてはめられなかったとおっしゃっていました。

とてもボリュームがある内容だったので、2回にわたりお伝えさせていただきたいと思います(^_-)-☆

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今回完成したDVDは10年前の、『ライブで見せる究極の総義歯Ⅰ』以来の販売となります。

撮影、編集は稲葉先生の妻である、稲葉則子です。

日大芸術学部、映画学科卒業で、稲葉先生と結婚する前は映画の撮影、編集などの勉強をしていました^_^

稲葉先生からも、

『妻は私以上の目線でこの実習コースを撮影しました。他の方には絶対撮影できない目線です。撮影から編集まで、妻が一人で製作しました。これだけの作品を外注したら、2.000万円ぐらいかかるでしょう。一コマ一コマ丁寧に編集したので、時間はかかりましたが、素晴らしい作品です。』

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文京区で開業されている、武先生から花束のプレゼントまでいただきました^_^

素敵です☆ありがとうございました!

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今回の作品に関して、則子さんから先生方に見どころや、作品への思い、エピソードなどをお話しさせていただきました。

「 患者様はとても緊張していらっしゃいました。総義歯で顎関節症もある・・・ということで、他の歯科医院からは難しいと言われていて大変神経質になっていらっしゃいました。撮影するのも敏感になっていました。そこで、私は、普通の受付のおばちゃんがいるという雰囲気をだし、患者様が緊張しないように撮影させていただきました。結果、患者様の本当に気持ちや感想も引き出すことができました。時間はかかりましたが、世界にこれしかない大事な作品です。」

そして、今回ご参加いただいたすべての先生方に、今回の 『ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ』の紹介編をプレゼントさせていただきました。

「これを作るのも、心を籠めて作りました。そこらに転がっているDVDではありません。大事にしていただきたいと思います。そして、先生方が患者様のために質の高い総義歯を提供するためにきっと役立つと思います。」

ということです。

この『紹介編』がすごいのです。

患者様が困っていらっしゃる訴えから、同時印象を取り出すところ、配列の様子、試適、装着、発音、食事の様子、そして患者様の感想まで、8分33秒でまとめてあります。

もし、稲葉先生の上下顎同時印象をやってみようと思うのであれば、この紹介編を患者様にみせていただければ、必ずお願いされると思います。

それぐらいインパクトのある作品です。

(サイトにのせてあるYoutubeは少し重いのと画像があらいので、雰囲気はわかりますが、ここまでの臨場感はだせないかもしれません)

今回ご参加いただいた先生方にプレゼントさせていただいた紹介編、則子さんが伝えたように、そのへんに転がっているものではないので、ぜひ、活用してみてください。

次回に続きます☆

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

2013『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース』開催されました☆

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です☆

2013年2月10.11日 『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース』がKaVo Dental Systems Japan で開催されましたのでご報告させていただきます。

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第一日  テレスコープシステムの概要、コーヌステレスコープの製作デモ

第二日  リーゲルテレスコープの製作デモ、レジリエンツテレスコープの製作デモ、パーシャルデンチャーの設計実習、症例検討会

というスケジュールで進行させていただきました☆♪

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まずは、最初に。

IPSGの新しいスタッフとして、技工士の中沢勇太君が加わりました。

というで、ご紹介させていただきました^_^

彼は先日(株)モリタ歯科技工フォーラム2013の中で、国内外で活躍できるような才能をもつ歯科技工士 ということで優秀賞を受賞した、若手のホープです。

これから更に、IPSGでは技工士の先生と連携を強化して、お互いを高めあっていきたいと思っていますが、中沢君にはそのお手伝いをしていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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日本では、正しいパーシャルデンチャーの設計を、技工士もドクターも教わっていません。

かなり適当な状態でやっているのが現状です。

設計は技工士にお任せするドクターもいますが、技工士だって正しい設計は教わっていないのです。

ドイツでは設計は歯科医師がするものです。

なぜなら、患者様の希望、悩み、スタディーモデルの状態、動揺度、レントゲンの情報を知っているのは歯科医師自身だからです。

最初に先生方お一人お一人に、欠損症例の模型をお渡しし、真っ白な頭の状態で設計をしていただきました。

セミナーを受けていただいた後、どのように設計が変化をするのか見比べるためです。

「患者様はアラブ王様。1本抜けたら射殺される・・・でも上手くいったら、油田をひとつあげる。いつも、それぐらい真剣に設計するように(笑)」←稲葉先生


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今回は、コーヌスクローネの正しい設計方法、製作方法をお伝えしたいと思います。

この本は、Karlheinz Körber教授のKonuskronen、コーヌスクローネの原書です。

もちろんドイツ語なのですが、稲葉先生がボロボロになるまで読んだコーヌスの教科書です。

一次固定、二次固定、コーヌスクローネの設計、製作法、適応症、禁忌症、コーヌス角についてやネガティブビンケルの解決法など、沢山の事がこの一冊に書かれています。

コーヌスクローネは、沢山のルールや製作法があってはじめて成功するものであって、適当な方法、自己流で製作するものではありません。

テレスコープの本場ドイツで、直接学び、そして自らがその指導者として教えてきた稲葉先生ではないと伝えられない情報が盛りだくさんでした^_^

 

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そして、今回講師として、技工のサポートをしていただいたのは、Dental Labo Intec代表、高木清孝先生です。

高木先生は、23年間、稲葉先生の技工を任されている大ベテランです^_^

テレスコープの症例数も2.000症例を超えます。

私も彼がいてくれることで、安心して患者様の歯を任すことができます。

まさに、ドクターとテクニシャンは、大事なパートナーだと思います。

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初日はコーヌスクローネのデモです。

リーゲルテレスコープとコーヌスクローネの使い分けは、
1時固定をするのがいいか。
2時固定をするのがいいか。

ということだと思います。

コーヌスクローネでないと対応できない症例も沢山あるので、ぜひ覚えていただきたいと思います。

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こちらは、以前KaVo EWLから販売されていた、ミリングマシーンです。

コーヌスクローネは器械研磨をしなければなりません。

適当に手で研磨をすると、精度を発揮できません。

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稲葉先生が発案、開発した、KaVoの横型研磨器と、手前はコナトアー。

コナトアーを使うとコーヌスクローネの精度が高まります。

ドイツでは、コーヌスシュリッテン、コーヌスウーアなどの名前で、コーヌスクローネ製作時には必ず使用しています。

これらの道具を使用することで、クオリティーの高いものができます。

前歯と臼歯で平行性が認められない時、コナトアでマージン部の金属部分が露出しないように調整します。

ネガティブビンケルが前歯にでないようにするということです。

このように、模型台の上で補綴物の装着方向を決定、コナトアに模型をのせて6度の範囲で調節して最適な内冠の方向を決定することは、コーヌスクローネの生命線となります。

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パーシャルデンチャーの基本的な設計について。

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リーゲルテレスコープのシュレーダゲシーベの役割について。

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そして、これは稲葉先生が開発したコニマウントです。

コーヌスクローネ製作時に使うコナトアと同じ機能をもつのですが、発案は同時期だったそうです。

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当時、田中歯科器械店で、TDKK(東京ドッペルクローネ研究会)により販売されていましたが、今はもう手に入りません。 

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VISIODENT という会社のパーシャルデンチャーの設計を勉強する教育教材です。

ZLというアタッチメントを使う際にどういう使い方があるかというもので、非常に優れています。

それぞれのケネディーの欠損症例において、どのような設計をしたらよいかがわかります。


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シュパルテや、トーションバーの設計についても詳しく解説がありました☆♪

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こちらはリーゲルテレスコープのアニメーションです。

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患者様にリーゲルテレスコープを説明するのに最適なツールです。

テレスコープシステムセット

『リーゲルテレスコープアニメーションDVD』

『予防補綴に最適なテレスコープシステムの臨床』

『石原明先生の解説DVD』

がセットになっています。

今回も2日間があっという間に過ぎ、先生方と楽しく勉強をすることができました。

初日の懇親会の模様です^_^ 

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今回も、ちょっと素敵なレストランで開催されました☆


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素敵☆♪

美味しかったです~

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同級生の岡村先生と、私、そして、次回ドイツのIDSにご参加いただく石川先生です。

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懇親会の間も、稲葉先生への質問は絶えませんでした。

先生方、とても楽しそうに稲葉先生の話を聞いてらっしゃいました☆♪

今回受講して下さった先生方からの感想を一部ご紹介させていただきます。

◆咬合を学びたくてIPSGにきましたが、義歯がこんなに面白いとは初めて気付きました。日本の教育では本当に全く教えていないことにも驚きました。

◆シュパルテの話はすごいと思いました。早く活用してみたいと思います。

◆テレスコープシステムを現実化するにはいろいろなハードルがあると思います。一番はテクニシャンの問題。過去に稲葉教授の直伝を受けた名古屋の技工士のグループに聞きながらケースをしたことがありますが、設計の段階で誤っていることがよくわかりました。今そのテクニシャンがコーヌスをやっているかどうかわかりません。本日同席していた技工士さんがある程度経験のある技工士さんなら今までの技術で理屈を理解できれば対応可能と言われていました。ただ器械がないのが問題とのことです。

◆一昨年に続いて2回目の受講ですが新しい知識が増えて勉強になりました。リーゲルレバーの機構とか良く解らなかったのが解ったです。

◆製作は難しいと印象を持ちましたが、小さなケースから製作してみたいと思いました。有難うございました。何とかして横型研磨機を手に入れたい。

◆非常によくわかりました。臨床の幅が広がりました。ありがとうございました。

◆リーゲルの技巧を初めて見れてうれしかったです。

◆実際に技工を見ることで改めてテレスコープの技術の高さがよくわかりました。診療の各ステップでの注意すべき点もわかりました。今日はどうもありがとうございました

◆今回再受講です。何回も聞くと大変よく理解できました。ありがとうございました。

◆バー形についてよくわかりました。レジリエンツは特によく理解できました。

◆結局咬合の安定化(長期)を思うとテレスコープデンチャーを選択するのが最善であると認識しています。その中でもリーゲル・コーヌス・レジリエンツの適応をよく理解し、臨床に取り入れていくことが患者さんの為になると思いました。

◆最近患者さんとお話する時、日本の入れ歯とドイツの入れ歯という言い方をし、保険とか自費とかどいう観点ではなく義歯の起こす問題を話すようにしています。但しその中でもコーヌスデンチャーに移行するケースはまだまだです。パーシャルデンチャー(日本式)でも今までテクニシャンに任せている設計を少しでも負担がかからないようなものにするにはどうしたらよいかを勉強したいと思いました。

 

ということで、全国各地から、沢山の先生方にお集まりいただきまして、本当にありがとうございました。

私も皆様と一緒に勉強させていただき、さらに知識の幅が広がりました。

これからも、IPSGの先生方にできる限りお伝えしていきたいと思います☆♪