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【IPSG包括歯科医療研究会】

2013『咬合治療の臨床』開催されました☆【前半】

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2013年9月8日、エクセレントデンティストコース 第1回

『咬合治療の臨床』が開催されたので、ご報告させていただきます!

全国から沢山の先生にご参加いただきました☆ 

今回は技工士の先生方にも多数ご参加いただき、一緒に楽しく学ぶことができ、大変充実したセミナーでした。

内容も盛りだくさんだったため、【前半】 【後半】に分けてお伝えしたいと思います。 


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最初に、これからどのような医療を私たちは目指したら良いのか・・・ということをお話させていただきました。

歯科医療は咬合が基本であり、長持ちのする良質な医療を行わないといけません。

残念ながら保険治療では良質な医療は行えないのはご存知の通りです。

私たちは金属屋ではありません。

自分の理想を追い続ける医療、自分の医療制度を作り出しましょう。

金銀パラジウム合金は代用合金、代用合金があるということは、本物があるということです。

自分の歯科医院には貴金属、GOLDしかない。 

クラスプはない。

と決めるぐらいの気持ちで本物志向で医療を行ってほしいです。

と話がありました。 

さて、 

「中沢君、上顎6番と咬合面を構成する要素を書いてみて」

と、稲葉先生(^_^)

「え?」

突然びっくりした技工士の中沢君。

彼は先日(株)モリタ歯科技工フォーラム2013の中で、国内外で活躍できるような才能をもつ歯科技工士 ということで優秀賞を受賞した、若手のホープで、IPSGでお手伝いをしてくださっています。

稲葉先生は彼をとてもかわいがっています(^_^)

「え〜と、作る事はできるのだけど、書けと言われても・・・」 


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「こんな感じでしょうか・・・(^_^;」 


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「う〜ん。もう少し、意識して咬合面を作った方がいいね〜」

と稲葉先生。 


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 咬合面ができる、発生順に覚えましょう。

まずは、4つの咬頭頂です。

そして、それを結ぶのが辺縁隆線。

中央隆線は咬頭頂を越えて伸びる隆線のことです。

上顎ではCコンタクト、下顎ではAコンタクトを作ります。 


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三角隆線とは、咬頭頂から三角に伸びる隆線。

三角隆線ができたことに伴い、発育溝が形成されます。

三角隆線と発育溝の間はV字状の溝です。

ちなみに、副隆線と、副溝の間はU字状の溝なんですよ。

そして、発育溝が複数でぶつかるところが窩ですね。 


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発生順に覚えるとわかりやすいです〜♪

エベリット・V・ペインのワックスアデットテクニックは歯が出来て来る順序にしたがって咬合面に形成する方法です。

即ち

 

  1. 咬頭頂
  2. 辺縁隆線
  3. 中央隆線
  4. 三角隆線
  5. 発育溝
  6. 副溝
  7. 副隆線

 

の8要素を発育順序に従ってワックスアップして行く方法です。

これをカリフォルニアのハリウッドで開業していたピーター・K・トーマスが世界に広めたテクニックです。

稲葉先生も2度ほど、ピーター・K・トーマスから実習を受けました。 


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そして、クロージャーストッパー、そしてイコライザーについても、中沢君に質問。

う〜ん。 

なかなか答えるのは難しいですね(-_-) 

▼クロジャーストッパー

上下の歯を接触させると辺縁同士の接触に2箇所の接触が出来ます。

たとえば2つの輪ゴムを少しずらして重ねると、2箇所の交点が生まれます。

これと同じことが上下の歯の辺縁隆盛同士に生まれます。

これは中心咬合位を作る接触であり、下顎が頭蓋に最も近づいて、咬頭と窩、隆線と溝が最大面積で接触する位置を取ります。

そのような意味を持つのがクロジャーストッパーという事になります。

咬合面は一つ一つに大切な意味を持っているのです。 

そして、

▼イコライザー

臼歯の接触状態を前頭断で見ると、いわゆるABCコンタクトが有ります。

ABCコンタクトは歯を安定させる為に必要な接触状態を作ります。

この時Bコンタクトが最も大切な接触です。

もしBコンタクトが無ければ歯は頬舌側方向に移動してしまいます。

Bコンタクトをイコライザーと呼び歯の移動を防止する接触を作ります。

上顎の舌側内斜面と下顎の頬側内斜面の接触は無くてはならない接触ですね。

Bコンタクトをつけることで、歯軸に力を入れることができます。

これは、とても大切なことです。 

同様に近遠心方向からみた時にも安定をしなければなりません。同じ方向の斜面同士の接触では歯は移動してしまいますので、逆の方向の斜面の接触を作ります。

即ち移動する力を打ち消すコンタクトをイコライザーと呼びます。 

なるほど・・・

今回、技工士の中沢君のおかげで、沢山勉強することができました。

ありがとうございました! 

前半だけで、盛りだくさんな内容でしたね(^_<)-☆

続きは後半でお伝えいたします! 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナー第1回【前半】

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナーの第1回が8月25日(日)に開催されました。

前回までのコラボセミナーは、マーケティングを中心にお話をいただきましたが、 今回からのシリーズは、『成功曲線』の思考をもとに、 前回の講義内容を補完、発展させるような内容です。

セミナー+その時々の事例・トピックを織り交ぜ(質疑応答含む) それまでに聞いたことのない新しいセミナーを展開することになっています☆

そして、今回の稲葉先生のコラボセミナーの内容は、

『正当派コーヌスクローネ』

ということで、30年前に出版された、コーヌスクローネの冊子がカバーや表紙、目次等がフルリニューアルされ完成したのを記念に、この本の内容を2回に渡り、解説させていただきます。 

インプラントとのコンビネーションにも応用も視野に入れて、お話させていただきます。 

今まではインプラントにするか、テレスコープにするかという選択肢でしたが、これからは両方を兼ね備えた治療法も、新たな選択肢として広がりそうです。  

ということで。

前半・後半に分けてお伝えさせていただきたいと思います☆♪ 


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『コーヌスクローネの臨床 過去・現在・未来』

ということで、本当に久しぶりにコーヌスクローネに特化したセミナーを開かせていただきました。

30年前に全国で開催されていたこのセミナー。 

当時はコーヌスクローネ全盛の時代だったので、稲葉先生は毎週末全国を駆け巡っていました。

しかし10年間位で下火になってしまいました。

色々なトラブルが生じてしまい、その評価を落としてしまったからです。

トラブルの原因はパーシャルデンチャーの設計の問題を始め、製作方法、使用金属、適応症等が統一されていなかったためだと思われます。 

▼なぜコーヌスクローネの評判が落ちてしまったか 

については、こちらに詳しく掲載してありますので、ぜひご覧ください。

テレスコープシステムに疑問をお持ちの先生方へ

そして、コーヌスクローネに関する質問はこちらです。

コーヌスクローネに疑問をお持ちの先生方へ 

稲葉先生が客員教授を務めたドイツチュービンゲン大学からこの度、IPSG20周年を記念して、Prof.H.Weberをお招きすることになりました。

チュービンゲン大学では、テレスコープの20年追跡調査が実施されていて、沢山のデータがあります。

また、天然歯とインプラントを連結し、上部構造をテレスコープシステムで応用した症例なども多数あります。

Prof.H.Weberをお招きすることで、日本にも新しいテレスコープのブームが起きる事を期待したいと思います。

可撤性ブリッジ、テレスコープの優れているところは取り外しが可能なところです。

テレスコープの特徴として

 

  • 固定性の義歯と同様の装着感がある
  • 義歯を取り外した時、歯が孤立するので、清掃が行いやすい(コーヌスクローネ)
  • 義歯を装着すると歯が二次的に固定される
  • 修理が比較的簡単でリスク管理が行いやすい
  • 長期間使用することができる 
などが挙げられます。
 
クラスプデンチャーがなぜダメなのか
 
それは、クラスプは歯軸の方向に力がかからないからです。
また、クラスプは歯を傾斜移動させてしまいます。
くいを抜くような動き(前後にゆする)ことで、次第に動揺し最後には歯を失ってしまいます。
クラスプとは、密着はしていますが、接着していないところが 欠点とも言えるでしょう。
そして、最近流行っている、クラスプがみえないようなデンチャー
やわらかいデンチャーは絶対やってはいけません。
 
一見、よく見えますが、パーシャルデンチャーに必要なレストがないからです。
確実にクラスプがアンダーカットの下に潜り込み、保険で作られるクラスプデンチャー以上に歯を揺すってしまうでしょう。 

 


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最近ではドイツのテレスコープはコバルトクロムを使用、パラレルテレスコープが主流となっています。

そこにフリクションピンを応用したような症例も多数用いられています。

コーヌスとは円錐形の意味で、維持力は摩擦力ではなく、楔力です。

摩擦力ではないため、すり減りがありません。

最後、内外冠が装着される時、ゼロフィッティングします。

内冠と外冠が接触するのは、装着の最後。

そして、内冠はストレートな仕上げが大切になります。 

コーヌス角はテーパーの半分です。

コーヌス角の付け方で維持力が変わります。

維持コーヌスと支持コーヌス コーヌス角は6度が最適。

などなど

盛りだくさんな内容でした!! 


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こちらは、コナトアです。

コナトアなしでのコーヌスクローネはあり得ない。

と言っても過言ではありません。

ドイツでは、コーヌスシュリッテン、コーヌスウーアなどの名前で、コーヌスクローネ製作時には必ず使用しています。

これらの道具を使用することで、クオリティーの高いものができます。

前歯と臼歯で平行性が認められない時、コナトアでマージン部の金属部分が露出しないように調整します。

ネガティブビンケルが前歯にでないようにするということです。

このように、模型台の上で補綴物の装着方向を決定、コナトアに模型をのせて6度の範囲で調節して最適な内冠の方向を決定することは、コーヌスクローネの生命線となります。  


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そして、こちらは稲葉先生が開発した、KaVoの横型研磨機です。

ドイツやイタリアのミリングマシーンの会社で手に入れる事ができます。

コーヌスクローネは手研磨では精度がでません。

必ず器械研磨で行うようにしてください。

今年の3月にドイツケルンで開催された世界で一番大きなデンタルショーのブースでは、本当に沢山の種類のコナトアをみることができましたが、日本でどのくらいの歯科医院が使っているでしょうか。

インプラント補綴にも大変有効なので、ぜひ使っていただきたいと思います。

『正当派コーヌスクローネ』今回と次回でお届けする予定でしたが、内容が盛りだくさんなため、もう一回増やすかもしれません(^_<)-☆

ということで、お昼休みの休憩をはさみ、後半石原明先生の講演です〜♪ 

 

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上下顎同時印象法

『総義歯ライブ実習コース』3日目

IPSG事務局、稲葉由里子です。

最終日、いよいよ患者様へのセットです

完成した総義歯はこちら♪ 


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イボカップシステムにより、口蓋は薄くても強度を保っています。

サブリンガルルームの形は、シュトラックデンチャー独特の形です(^_<)-☆ 


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試適の段階で、吸着していたので、安心してセットを迎えました。

装着してすぐの写真です(^_^) 


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鏡でもご覧いただき、

「とってもいい感じ。綺麗に作っていただきありがとうございました。」

とおっしゃっていただきました。 


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見てください。

笑顔もこんなに素敵です☆

歯の見え方、スマイルラインもバッチリです♪ 


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そして、先生方お一人お一人に口の中を触っていただきました。 


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高瀬先生、あまりの吸着に驚いてくださいました☆  


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全員に確かめていただきましたが、先生方とてもびっくりされていました。

実際私も触らせていただきましたが、口を開けた方が吸着力が増し安定します。

何よりも患者様自身が大変喜んでくださいました。 


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セットしてからすぐ、先生方と一緒に食事を召し上がっていただきました。

こんな大胆なセミナーは他にはないと思います。

痛かったら噛めません。

一口目の食事を口に入れた時。

「下の前歯で軽く噛めます!」

というのが第一声でした。 


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食べにくそうな物を選んで薦める稲葉先生。

でも、しっかり噛み切っていました。 

お弁当の中にミョウガの漬け物が入っていたのですが、前歯でしっかり噛みちぎっていました♪ 


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びっくりしたのは、あまりにも自然だったことです。

噛める事を確かめたあとは、先生方と楽しくお話が弾んでいました。

最後に、 

「こんな素晴らしい歯を作っていただき、本当にありがとうございました。孫が一番最初に気づいてくれると思います。」 

とうれしそうにおっしゃっていただき、セミナーに参加してくださった先生方みんなが、うれしい気持ちになりました!

先生方から、感想をいただいたので、一部ご紹介させていただきます。

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とにかくすごいセミナーでした。言葉にするのは難しすぎるのですがあらゆる義歯のセミナーの中で圧倒的にレベルが高いと思います。そんなにレベルの高いものを本当に簡単にできるようにまとめられているのですごさがうまく表現できないですね。稲葉先生が実際に患者さんの治療をされている時にもすごすぎてリアクションが出せないんですね。他の先生もリアクションを出そうとすると取ってつけたようになってしまうのだと思います。早く1症例やってみたいです。

▼ 稲葉先生の究極のテクニックをまじかに見れてとても感激しました。今までのわたしの総義歯はとんでもないものでした。患者さんごめんなさい。ぜひ自分でもできるようになりたいです。稲葉先生もすごかったですが、岡部先生もすごかったです。

稲葉先生が「簡単にできる」と言われることがなかなかやってみて難しいことが多いです。一人でやっていると壁にぶつかった時にすぐ疑問が解けずそのままになってしまって結局先に進めない状況になることがあります。そんな時に問題解決の仕方があればいいのですが・・・

前回の総義歯セミナーに出て考え方が変わり、実習セミナーにでようと思いました。今回受講してみてこのシステムを考えられた稲葉先生の素晴らしさと岡部先生の技術の知識に感激しました。次は岡部先生のセミナーを受講して自分でシュトラックデンチャーを製作しようと思います。有難うございました。

3日間本当にお世話になりました。来年もこの3日間のコースに参加させて頂きたいです。

いつもありがとうございます。私の小さな悩みに対し、詳しく述べて頂き、大変わかりやすかったです。

大変勉強になりました。有難うございました。大学病院の教育方針を変えるのは難しいと思いますが上下同時印象の素晴らしさを私自身が習得することで少しでも若い先生方も総義歯治療に興味をもってくれたらいいなと思います。

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ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございましたm(_ _)m 

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上下顎同時印象法

『総義歯ライブ実習コース』2日目

IPSG事務局、稲葉由里子です。

今日は『総義歯ライブ実習コース』の2日目、いよいよ上下顎同時印象です☆♪ 


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精密印象法トレーの製作、そして患者様への試適を行います。


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こちらが、上下顎同時印象用トレーです。

ゴシックアーチ、フェイスボートランスファー、咬合採得を同時を行うための大事な行程です。 


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中心位の記録とゴシックアーチを描くためのピンの植立です。


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こちらが実際に描いたゴシックアーチ。

3点で咬合面上で描きます。 


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そして、いよいよ、上下顎同時印象です!

印象材の量まで、詳しく解説しながら印象を採りました。 


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フェイスボートランスファーです。 


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そして、記録した印象がこちらです! 


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ポイントは頬筋の印象。

印象時、患者様に「イ〜」「ウ〜」と発音をしていただき、患者様ご自身の筋肉を使っていただきます。

そして、大事なポイントが嚥下です。

嚥下をするとニュートラルな位置、中心位に戻ります。 

嚥下をしないと、舌の位置が後ろに下がり、後退位で記録されてしまう原因ともなるので、忘れずに行ってくださいね(^_<)-☆ 


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そして、排列です☆

すごい、はやいはやい。

印象を注いで、模型作りから、排列まで先生方に説明をしながら2時間!

排列の時間はなんと1時間です(^_^; 

仕事も綺麗で素晴らしいです。 


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そして患者様の試適です。

患者様の表情、そして先生方の表情をご覧いただいてもわかるように、完璧でした。

ここで、拍手が起きたのも、長くこのセミナーを開催して初めてだったかもしれません。

ワックスの状態で、これだけの吸着がでたことに先生方びっくりされていました(^_^) 


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代表で、目黒先生にも触っていただきました。

「すごいです!」

という声に、先生方から笑いが起こり、稲葉先生も岡部先生も自信満々です。 

ということで、これからイボカップで重合、仕上げ、完成です!

明日のお昼は患者様に装着、そして一緒に食事をする予定です(^_<)-☆ 

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上下顎同時印象法

『総義歯ライブ実習コース』1日目

IPSG事務局、稲葉由里子です。

7月13.14.15日『総義歯ライブ実習コース』が開催されたので、ご報告させていただきます。

実際の患者様をお呼びして、問診からスタディーモデルの印象、上下顎同時印象、 咬合採得、ゴシックアーチ、排列、重合、最後のセットまですべてライブでご覧いただけるセミナーです。 

毎回違う患者様にご協力いただき、ライブでご覧いただくコースはIPSG以外ありません。 


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やはり、総義歯の製作はドクター、テクニシャンが協力して初めて患者様に提供できるものです。

今回、沢山のテクニシャンの方にご参加いただきました☆ 


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今回も、稲葉先生の右腕としてタッグを組むのは、Dr.Hans Shleichの総義歯コースのインストラクターをつとめ、 阿部晴彦先生の元技工インストラクターをつとめてきた、岡部宏昭先生です。 

一日目は講義、そして患者様のスタディーモデルの印象です。


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患者様のスタディーモデルです。

顎底は極度に吸収しています。

歯槽底はなく、真っ平ら。

普通に言われる、難症例ですね。 


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上顎の模型です。 


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そして、下顎の模型。

レトロモラーパッドまで、急傾斜です。 

レトロモラーパッドは唯一、下顎で変化のない部位です。

ここを抑えておかないと、義歯が沈下してしまいます。 


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SIバイトトレーで、咬合採得を行う事で、上下顎同時印象法の精度が増しました。 

SIバイトトレーとは、スタディーモデルを中心位でトランスファーするためのトレーです。

上下顎同時印象を実行する場合に重要な事は、個人トレーとゴシックアーチの描記に使用する装置を製作しなければなりません。

今までは、スタディーモデルを咬合器にトランスファーする際、平均値で製作していたので多少の誤差を生じることがありました。

その誤差を精密印象時に修正していましたが、SIバイトトレーを用いると、より精度が増し、最終印象まで、スムーズに進むことができます

少数歯欠損、レジリエンツテレスコープにも応用でき、とても臨床幅が広いトレーです。

2日目の上下顎同時印象を完璧なものにするため、集中して作業をすすめました。 

セミナーの後の懇親会の模様です(^_<)-☆ 


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場所はセミナーが開かれた、稲葉歯科医院の近く『ビストログラッソ』です。


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お料理も素敵でした♪ 


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勉強のあとのお食事、お酒は美味しいですね☆ 


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今回のセミナー、技工士の先生も沢山ご参加いただきました。

やはり、総義歯はお互いの協力があって完成し、患者様に提供できます。 


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わたしの両隣、テクニシャンの松浦先生と、小平先生。

そして手前に座ってらっしゃるのが、今回技工インストラクターを努めてくださっている岡部先生です。

今日改めて知った知識が沢山あり、とっても勉強になりました♪

明日はいよいよ、上下顎同時印象です!

頑張りましょう(^_<)-☆ 

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上下顎同時印象法

義歯の発音に関与する部位

IPSG事務局、稲葉由里子です。

先日開催された、『総義歯の基礎と臨床』の中で、義歯の発音に関する部位をご説明させていただきました。

ご参加いただいた先生方からのご要望により、パワーポイントをご紹介させていただくことになりました☆♪  


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義歯の口蓋部にワセリンを塗り、アルジネートなどの粉をふりかけ、実際に患者様に発音をしていただき、調べたものです。

患者様が発音しずらい言葉を聞いて、その部位を薄く削ってあげる、または、足してあげるなどをして差し上げてください。

タ行はわずかに舌が口蓋に当たる発音です。

ぜひ、参考にしてみてくださいね☆

 

※写真は8月4日に『リーゲルテレスコープ入門』を開催する、IPSG副会長、岩田光司先生から提供していただきました(^_<)-☆

岩田先生のセミナーはこのような有益な情報が沢山あります。
こちらも合わせてぜひ、よろしくお願いいたしますm(_ _)m 

▼セミナーの詳細はこちらから
https://www.ipsg.ne.jp/iwatatelescopepr/

▼セミナー参加のお申込みはこちらから
https://www.ipsg.ne.jp/seminar-apply/

 

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上下顎同時印象法

顎咬合学会 KaVo主催ランチョンセミナー

先日開催された、『顎咬合学会学術大会』KaVo主催のランチョンセミナーで稲葉先生が講演をさせていただいたので、ご報告させていただきます☆♪

『カボシステムによる上下顎同時印象法による究極の総義歯』

稲葉先生が開発した総義歯システムについて、動画を用いて講演させていただいたので、まるで、患者様の治療を実際に見ているようでした(^_^) 


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今回のランチョンセミナーは東京国際フォーラムのB7という会場で、600名座る事ができる一番大きな会場です。


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400名分のお弁当のチケットもすぐに売り切れて、大盛況でした!

ひとつ、2000円のお弁当だそうです〜 


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こんな大きな画面で素晴らしい会場でした。 


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なかなか素敵です。


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後ろからも写してみました。 


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上下顎同時印象法の製作手順を説明中です。 


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動画も沢山大画面でご覧いただきました☆♪ 


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そして上下顎同時印象法についてもすべて動画でご覧いただきました。

印象材の量がポイントですね☆


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稲葉先生の総義歯は、KaVoのプロター7咬合器を使ったシステムです。  


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配列、そして試適です。 


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重合はイボカップシステム。

この重合方法を越える精度のものは未だにないと言ってもいいでしょう。


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そして完成です!!

ご来場いただいた先生方、本当にありがとうございました。  


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KaVoのブースの様子です。

ブルーのユニフォームがとっても鮮やかで素敵でした☆ 


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宣伝もばっちり(^_^) 


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KaVoのユニットの前で・・・ 

左から、IPSG名誉会長、大石尭史先生、稲葉先生、則子夫人、私、田嶋健先生、慶子夫人です☆♪  


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前日に『上下顎同時印象法による総義歯』のテーブルクリニックも開催されたのですが、本当に沢山の先生方にいらしていただきました。開始30分前にすべての椅子が埋まり、一時間以上の講演をずっと立ちながら熱心に聞いてくださっている先生方を見て感激しました。 


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テーブルクリニック終了後も、熱心に質問をしてくださっている先生方。

やはり、総義歯が見直されていること、その必要性を実感します。 


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IPSG技工インストラクターの岡部さんにも、一生懸命対応してくださいました。 


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今回、感じたのは若いドクターやテクニシャンの方々が非常に総義歯に興味を持ってくださっている事。

稲葉先生に直接、いくつもの質問をされている様子も新鮮でした。

これから若い先生方にどんどん覚えていただきたいと思います☆♪ 

やはり、こんなに素晴らしい総義歯のシステムは他にはないと思うので、どうにかして広めていきたいです。

ご来場いただいた先生方、そして全力でサポートしてくださったIPSGスタッフの皆様、KaVoの方々本当にありがとうございました!! 

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上下顎同時印象法

2013『総義歯の基礎と臨床』開催されました【後半】

前半に引き続き、後半をお届けいたします(^_^)

今回、発売された「ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ」の動画をご紹介させていただきながら製作の流れをお伝えさせていただきました。


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上下顎同時印象法による総義歯の利点は、咬合採得、ゴシックアーチ描記、フェイスボートランスファー、上下顎印象がわずか1回で行う事ができるため、合理的であると同時に来院回数を減少することが可能になることです。

そして、咬合採得した位置で印象採得を行うため、理想的なバランスを採る事ができます。

印象中に嚥下が可能なのは、このシステムでしかできません。

印象を採っている状態でフェイスボートランスファーを行うので、誤差も生じません。

人工卯は頬舌的に筋圧のバランスのとれたところに配列できるため頬筋のサポートを得る事ができます。

サブリンガルルームを利用することで、顎舌骨筋窩まで延長する必要がないので発音、嚥下が行いやすい 事も大きな特徴です。

顎舌骨筋窩は使わない理由は、舌の機能が失われる事、また発音ができないことが挙げられます。

フェースボーは体のアライメントを咬合器にトランスファーするものです。

咬合器に対して3次元的なものを決めてあげないといけません。


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こちらは、アキュートレー(Ivoclar社で販売しています)で採ったスタディーモデルです。

サブリンガルルームを意識的に印象できる優れたトレーです☆  


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そして、SIバイトトレー。

SIバイトトレーの開発により、咬合採得の作業が本当に楽にそして綺麗になりました。

総義歯以外の少数歯欠損症例にも応用できるので、ぜひ使っていただきたいと思います。 


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こちらが、上下顎同時印象を行うための個人トレーです。

上唇小帯と下唇小帯の一番低いところ、日本人で40ミリ、小さいお顔の方で38ミリに合わせればだいたい決まります。

真ん中のネジはフェイスボートランスファーをするためのものです。 


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こちらは咬合面上でのゴシックアーチ描記です。

真ん中だと、舌がじゃまになってしまうため、咬合面で記録しています。 

患者様にSIトレーを試適し、印象をとる前にゴシックアーチの描記をします。

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ゴシックアーチの後、いよいよ、上下顎同時印象です。ガンタイプのシリコン印象材を注入し、口腔内すべての情報をとります。

このシステムは、嚥下をすることができます。

嚥下により、患者様が食事をして飲み込む状態の印象がとれるということです。

  
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 フェイスボートランスファーです。 

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咬合器に再現したところです。

後ろからみて翼突口蓋縫線がつながっているのかを確認するだけでも顎位の確認になります。

ハーミュラーノッチの印象は辺縁封鎖するため、絶対にとらなければいけないポイントです。

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上下顎同時印象による、模型です。

沢山の情報がこの中にぎっしり入っています。

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旧義歯と比較しても、こんなに大きさが違うのがわかります。

旧義歯の状態では、まったく辺縁封鎖がとれていません。 左右のバランスが違うのも一目瞭然です。


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このピッチングテスト・・・

前半にお伝えさせていただいた、ギージーの動画とそっくりですね(^_^) 


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そして、患者様と一緒に、装着直後にお食事です。

前歯で患者様がこんにゃくや、お肉を噛み切れるかどうか、みんなで見る・・・

なんていう実習は他には絶対ないと思います。

もちろん、患者様はお弁当、完食されていました(^_^) 


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さらにこのシステムを応用し、オーラルディスキネジアや、脳卒中後の麻痺のある患者さんに対してよい成績を上げています、顎関節症を伴う総義歯患者においてもよい成績をあげています。 


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最後に先生方の質問にも詳しくお答えさせていただきました☆ 


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今回初参加の小西浩介先生です。


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そして、技工士の松浦秀亮先生。

稲葉先生の総義歯システムに感激したとおっしゃっていただきました。

セミナー終了後の懇親会も開催されました。


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セミナー終了後、かなりリラックスしている状態です。

来月、7月13.14.15日はいよいよ『総義歯ライブ実習コース』が開催されます。

『総義歯ライブ実習コース』の詳細はこちらです!!

総義歯ライブ実習コース   

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IPSG1dayレポート 

 

 

 

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上下顎同時印象法

2013『総義歯の基礎と臨床』開催されました【前半】

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

6月23日『総義歯の基礎と臨床』セミナーが開催されたのでご報告させていただきます。

今回も全国から先生方にお集りいただきました。

ほとんどが、稲葉先生の総義歯のセミナーを初めて受講される先生方で、色々な視点から学んでいただけたと思います☆

内容盛りだくさんだったので、前半、後半の2回にわけてお伝えいたします(^_^)


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私たちは、総義歯の患者様をいかに少なくするか、ご自分の歯で噛んでいただけるように、できるだけ総義歯になるのを食い止めなければいけないということを常に意識しなければいけません。

総義歯とは、今までの歯科医療の敗北だということをわかっていただきたいと思います。 

歯が無くなるという事は、保存ができなかったということです。 

最近、介護食の宣伝は、舌でつぶせる。歯肉で噛める。

というものばかりです。 

介護食でこのような宣伝がある限り、歯科医療の敗北としか言えないと思います。 

残念ながら、歯をすべて失ってしまった方は大勢いらっしゃいます。 

歯を失ってしまった方に、保険の義歯は問題外です。

安い義歯を作らされるしわ寄せは、ラボにいっています。  

日本の保険制度の一番良いところは、自費診療ができること。

保険の義歯は限界があります。 

最善の知識と技術を提供できる技術を今回先生方に身につけていただきたいと思います。 


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日本の総義歯の技術は実は非常に古く、1583年に作られています。

当時としては長寿の74歳で往生した紀伊・和歌山の願成寺の草創者・仏姫の拓殖の木から作った木床義歯です。

当時は現在のように優れた印象材や模型材もなく、咬合器もない時代に、適合性に優れ、噛める義歯を作ることができたものであると、感心してしまいます。

当時の義歯の製作方法を調べてみると、非常に合理的であり、仏教芸術の伝統を受け継いでいることがうかがえます。

その製作法の鍵は、蜜蠟を使った印象採得と咬合採得を同時に行うことです。

これは蜜蠟を鍋で温め、それを一塊として患者さんの口腔内に入れ、咬合位を決定した後に口腔内の形を採得するというものです。

一塊にしたものを上下顎に分けたのであるから、正確な咬合位の再現が化のになるのは当然です。 

稲葉先生は日本の歴史から総義歯を学び、上下顎同時印象ができる方法がないかずっと模索していました。

そしてガンタイプの印象材が開発されたのを機に、最終印象を上下顎同時印象をする方法を開発します。 

BPSではスタディーモデルを上下同時に印象をしていますが、最終印象ではありません。

稲葉先生の総義歯は、世界最古の木床義歯による上下同時印象、そして化石の原理が原点です。

化石は一つのものを二つに割っても、必ずもとに戻ります。

一個の石をふたつに分けると魚の化石とプリントされた陰型が現れますが、重ねると必ずひとつに戻ります。

総義歯も一緒でひとつの印象を咬合器上で、ふたつに分け、最後に戻すという考えです。

これまでの総義歯はギージーによる歯槽頂間線法則が基本となっていました。 

ですが、歯槽頂間線法則では上顎の頬側のサポートができません。

上下顎同時印象をすると、デンチャースペースが再現できるので、頬側のサポートが可能となります。 


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従来の総義歯のウィークポイントについて 

  1. 患者自身の筋圧で印象不可能
  2. 平均した圧力で印象できない
  3. 機能時の口腔周囲筋の印象が不可能(フレンジテクニックはかなりラフです)
  4. 嚥下ができない
  5. 上下別々に印象を採得するため誤差を生じる(翼突口蓋法線が伸びてしまいます。義歯の脱落の主なものは粘膜面にエアーが入ってくることで、上顎は口蓋からはずれます。上顎の口蓋は封鎖がむずかしいからポストダムをつけ、下顎は臼後三角までしっかり伸ばします)
  6. 来院回数が多くなる
ということが上げられます。
 


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上下顎同時印象法を行って、総義歯を製作するシステムの利点はつぎのとおりです。

  1. 咬合採得、ゴシックアーチの描記、フェイスボートランスファー、上下顎同時印象をわずか1回で行うため、合理的であると同時に来院回数の減少が図れる。
  2. 咬合採得した位置で最終印象を行うため、顎位の誤差を生じない。
  3. 印象採得中に嚥下を行わせるため、口腔周囲筋の印象採得が可能である。
  4. 最終印象をフェイスボートランスファーし、咬合器に付着できる。
  5. 印象面に口腔周囲筋、口唇、舌の形態を再現することができる。
  6. ニュートラルゾーンに人工歯を排列できる。
  7. サブリンガルルームを利用することにより舌による良好な維持が期待できる。床を後舌骨筋窩まで延長する必要がなく、舌の動きを阻害することがない。
  8. イボカップシステムの応用により重合収縮を補正し、適合が良好なため、ウォーターフィルム減少を得ることができ、維持がよい。
  9. 顎堤が極度に吸収している症例でも、頬筋、口唇、舌の維持ができる。
さらにこのシステムを応用し、オーラルディスキネジアや、脳卒中後の麻痺のある患者さんに対してよい成績を上げています、顎関節症を伴う総義歯患者においてもよい成績をあげています。
 


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咬合採得は今までは蝋堤でやっていました。

最近、開発したSIバイトトレーを使うようになってから、咬合採得なんて面倒くさい事やる必要がなくなりました。

と稲葉先生(^_^; 


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そして、 昨年に引き続き、今回も、近代総義歯学の基礎を築いた、スイスの歯科医師のAlfred Gysi(アルフレッド・ギージー)の歴史を勉強しました。

Gysiはカンペル氏の平面のコンセプトを作ったり、 シンプレックス咬合器、トゥルバイト人工歯の開発など、沢山の業績を残しています。

今回、90年前の『ギージーフィルム』(和田精密技研)をご覧いただきました。


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ピッチングテストの様子です。 


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ギージーが咬合器に付着している様子です。


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切歯路角を調整しています。

90年前の総義歯の制作方法、今はどうでしょうか。

これ以上の総義歯を作っていますか?

せめて、これを超えないといけないと思います。

ということで、後半に移ります〜♪ 

 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

2013 『ハーモニックオクルージョン』開催されました☆

 IPSG事務局、稲葉由里子です。 

2013年5月26日、『ハーモニックオクルージョン』〜審美と咬合のハーモニー〜が開催されたので、報告させていただきたいと思います☆

今回は、初めてご参加いただいた方が5名、そして学生さんの参加もありました。 

全体的に年齢層が若めな感じでした(^_^)  


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最初に

“Functional Occlusion From TMJ to Smile Design” 

Peter E.Dawsonの書いた本の話をご紹介させていただきました☆


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『ハーモニックオクルージョン』審美と咬合をハーモニーさせるには、顎関節と筋肉、そして前歯の誘導が必要です。

セラミックで、全顎治療をすることが審美歯科ではありません。

審美と咬合、機能のハーモニーそして、顎関節との調和がとれて初めて、審美歯科と呼べると考えます。 

Dawsonも、審美歯科にはオクルージョンの知識が必要だと、本の中で書いています。 


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〜アンテリア・ガイダンス 〜

下顎運動を決定する要素は、前方決定要素として前歯のガイドと後方決定要素として顎関節です。

下顎偏心運動の際、臼歯の接触を避け、側方力が加わらないように、側方力に強いと言われる前歯にガイドをさせて、臼歯を離開させ、咬耗や破折を防止する役目を持たせることが必要です。

この前歯のガイドを『アンテリア・ガイダンス』と呼びます。

角度を強くすれば、顎関節にストレスがかかるし、前歯のガイドを失えば、臼歯でのガイドとなり、咬耗や顎関節症を生む原因ともなってしまいます。

そのため、日本人の中切歯歯冠形態、顆路角と歯牙路がどのような関係にあるのか知る必要があるため、日本歯科大学補綴科助教授時代、当時の学生さん50名を計測して発表した論文を発表しました。

今回お話させていただいた事をもとに、アンテリアガイダンスをつけて頂きたいと思います。

日本人の平均を知っておく事は非常に大切だと思います。 

そして、咬合器を使う事は必須となります。 


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それぞれの咬合器の特徴についても、詳しく説明がありました(^_^) 


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「私がドイツチュービンゲン大学に客員教授として在籍していた時、遠い地の果てから来た、背の小さい日本人はあまり相手にされませんでした。」

と稲葉先生。

「でも、医局の中で誰も扱えなかったスチュワートの咬合器を扱う事ができたことで、先生達の目が変わりました。咬合器の事を先生達に教えることになり、それからProfessorと呼ばれるようになった思い出の写真です。」


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スチュワートの咬合器は、矢状顆路角、側方顆路角、イミディエートサイドシフト、シフトアングル、顆頭間距離、すべて調整できる、全調節性咬合器です。 


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審美の分析についても詳しく話しがありました(^_^)

アピアランスガイドについては昨年のセミナーのご報告の中でもご紹介させていただいているので、よろしければご覧ください☆

昨年のセミナーの模様

今回、学生さんもいらしているので、稲葉先生から質問

「咬合平面って知ってる?」

「・・・・」

「Occlusal Planeは、下顎切歯の切歯点と左右の7番遠心頬側咬頭頂、3点が作る面ですね(^_^)」

と、基準線、面についてもやさしく説明がありました。


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全顎補綴の印象法でぜひ覚えていただきたいのがこちら。

ドイツ、マールブルグ大学のLehmann教授が開発した、コレクトア・アップドュルック(精密印象)です☆

ドイツでは寒天印象ではなくほとんどが、シリコン印象です。

詳しくは、IPSGのFacebookページでご覧頂けます。  

コレクトア・アップデュルック 

寒天印象で、下顎の全顎印象はとても大変だと思います。

すごく簡単で、ポケットの中、根分岐部まで綺麗にとれてしまいます。

私もほとんどこの方法です(^_^)  


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こちらは、以前、私がドイツの技工所を見学した時にみせていただいた仕事です。

先生方が一度セラミックを焼いてみる。

というのもいいと思います。

どれだけ大変で繊細な仕事かわかりますし、患者様にも何が違うのかを説明することができます。

今回お伝えさせていただいたのは、ほんの一部で、まだまだ稲葉先生は沢山の引き出しを持っています。

毎回新しい気づきが必ずあるので、ぜひまたご参加いただきたいと思います。

ご参加された先生方から感想をいただきました☆

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■ “審美眼”を養うには一朝一夕の知識だけでは無理だと改めて感じました。先生の知性、知識、教養にただただ圧倒されました。今日は学びのきっかけとなりました。また是非参加したいと思います。有難うございました。 

先生が最初にお話しされた様に審美のセミナーというと、材料学メインの内容がほとんどだと感じていました。歳をとっても白くキレイな口元というのも素晴らしいのですが、加齢と共にある機能美というものもあるとは感じていましたが、咬合学はなかなかとっつきにくく、後回しになっている自分がいました。稲葉先生のお話から機能美とは?そして咬合学を勉強するきっかけとなればと思い、今回参加することにしました。

イリュージョンのお話、面白かったです。新しいことが沢山で帰りの電車で悩みそうです。難しい話が多かったですが、楽しく受講することが出来ました。基本的な知識をしっかり学び、他にも歯科だけでなく色々なことに目を向けていこうと思いました。 

■ “前歯と顎関節の誘導によって咬合面の形態が決定される”これは大事な慣用句だと思います。すなわちハーモニーですね。“医療は個性美である”いい言葉ですね。明日から実行しようと思うのは、アピアランスガイドを記入します。この次は「咬合治療の臨床」を受講したいたなと思いました。

総義歯の考え方から噛み合わせを見ていくと、歯が萌出してくるにはそれなりの理屈があり、理想に近づけるためにどう咬合育成して(子育て中)いったらよいか。ハーモニックオクルージョンの一考察としてお話して頂けたら幸いです。また乳歯咬合は正常な永久歯咬合を作っていくにはどうあるべきか稲葉先生のお考えを聞きたいです。

審美歯科を行う際、単に見た目だけでなく、エステティックとファンクション両方を考えて顎関節までを考慮にいれた治療をしなければならなかったことがよくわかりました。美の追求、理にかなったアートだと思いました。歯科とはちょっと違った角度から美を学べて楽しかったです。有難うございました。

動物や人類の進化も考慮にいれた理論の組み立て、説明に今更ながらおどろきました。深い洞察力から生まれる学問の検証等あらゆる要素を包含した理論体系をもっと学びたいと思いました。審美的法則性など他では絶対に聞けない内容でした。顎関節も治してしまう全顎審美補綴はすばらしい内容でした

3回目の受講です。今回も大変勉強になりました。今後に役立て正しい歯科治療をしていきたいと思います。今日は有難うございました。

同じ議題でも毎回新しいことが学べて出席する価値があります。

“前歯と顎関節の誘導によって咬合面の形態が決定される”これは大事な慣用句だと思います。すなわちハーモニーですね。“医療は個性美である”いい言葉ですね。明日から実行しようと思うのは、アピアランスガイドを記入します。この次は「咬合治療の臨床」を受講したいたなと思いました。

審美眼を養うことは歯を見る。口をみる。身体を見る上で重要だと思いました。人間ウォッチングをしていきたいと思います。 

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ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました☆

次回6月23日は『総義歯の基礎と臨床』です!

詳細に関してはこちらをご覧ください。

↓↓↓ 

『総義歯の基礎と臨床』  

沢山の先生方からのご参加お待ちしております♪