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ラビリントレーナー

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その2】

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その2】

◆ラビリントレーナー発案のきっかけ

稲葉繁先生が大学院の頃、今から40年以上前、舌の働きに興味があり、舌の文献を沢山集め始めました。

そして、同時に顎関節症の研究もしていたので、よく観察しているとどういうわけか、顎関節症の患者様の舌の圧痕、歯の形の圧痕、口蓋鄒壁の肥厚をみつけ、気になり始めたそうです。


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▼顎関節症の患者様で舌のところに圧痕があります。

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▼圧痕は、歯の形に沿っているのがご覧いただけるかと思います。

たまたま、30年ほど前、今の筋機能療法学会の大野先生という方が連れてこられたアメリカのツィックフーズという医学療法士の講演を聞く機会があり、マイオファンクショナルセラピーのことを知りました。


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マイオファンクショナルセラピーとは筋機能療法のことで、間違った口の周りの機能をされている方を正常にバランスのとれた状態に戻す療法です。

口の周りの機能とは、つばを飲み込む、食事をする、発音をするなどです。

当時は顎関節症と舌壁(舌の間違った使い方)の関係について全くやっていませんでした。

ツィックフーズ先生の講演の後、稲葉先生は質問したそうです。

「顎関節症と舌壁の関係についてどう思われますか?」

当時の答えは、

「わからない」 だったそうです。

その後、稲葉先生は一生懸命舌の働き、さらには嚥下(飲み込み)機能のやり方について研究してきました。

『咀嚼・嚥下・発音』を育てるには、元をたどれば母乳からなんだということも、その時確信しました。

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出だしを間違えると生涯の問題になります。

実際に間違った飲み込み(嚥下)機能をしていることにより様々な障害があるということがわかりました。

このような経緯で、ラビリントレーナーを発案しました。

具体的には、東急ハンズへでかけていき、温度によって形が変形するシリコンをみつけ、稲葉先生自身が、自分の口の中に入れてみて、唾液(つば)を飲んでみたり、口の周りの筋肉を動かしてみて、口の中から取り出してみたのが、まさに今の『ラビリントレーナー』の形となりました。

舌の機能を40年間研究してきた集大成でもあります。

次回は、哺乳行動(赤ちゃんがおっぱいを飲む行動)と顎の発達についてお伝えいたします。

 

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ラビリントレーナー

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その1】

◆日本の3大死因、肺炎が、脳血管疾患を上回りました

日本の3大死因とは、「悪性新生物」(がん)、「心疾患」、「脳血管疾患」で、人口動態調査によれば、2010年の総死亡数の半分以上をこれら3つの死因が占めていました。

しかし、2011年について1月から11月末までの死亡数概算値の累計を見ると、4番目に死亡数の多い肺炎が増加し、脳血管疾患を上回り、3大死因となりました。

肺炎による死亡数の増加は、高齢者の人口が増加したことによる影響が大きいと考えられます。

特に、高齢者は飲み込む力(嚥下えんげ)が衰え、誤嚥性肺炎を起こしやすくなっています。

飲み込む力が低下することにより肺炎を起こすケースが大変増えてきたという事です。

反対に脳血管疾患は、医療技術の進歩により、減少していますが、高齢者の誤嚥性肺炎に対する対策はほとんどされていないのが現状です。

これから超高齢社会を迎える日本は、これから、肺炎による死因のリスクは更に高まる可能性が高いです。

◆摂食嚥下訓練器具、ラビリントレーナーについて

ラビリントレーナーは、 食事中にむせる、食物を飲み込みにくい、食べこぼすなどの嚥下(えんげ)機能が衰えはじめている方、脳卒中などで、飲み込む力が衰えている方の訓練器具として、稲葉先生が発案した器具です。

日本では年間およそ8.000人の人が食べ物により窒息していると言われています。(誤嚥性肺炎)

そのほとんどが65歳以上の高齢者です。

■     食事中にむせる、せきこむ

■     食物を飲み込みにくい、食べるのに時間がかかる

■     食べこぼしがある

■     飲み込んだ後に声がかれる

■     食物がのどにつまる感じがする、胸につかえる

■     唾液(つば)が減って来た、口が渇く

■     唾液が多い、よだれが出る

■     肺炎や気管支炎を繰り返す

このような症状がある方は、飲み込み(嚥下)機能が低下しているという意識をしていただきたいと思います。

元日本歯科大学、高齢者歯科学教授、稲葉繁先生が発案した、『ラビリントレーナーに』は、飲み込み(嚥下)機能を鍛えるの器具として、大変有効な結果を得ています。

ラビリントレーナーの名前の由来はその名の通り、

ラビアル=唇

リンガルは=舌

ということで、唇と舌の訓練器具という意味です。

 

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舌と唇、そして嚥下(えんげ)に必要な筋肉を鍛えることができるラビリントレーナー。

この発案には、40年もの間、研究を積み重ねてきた歴史があります。

次回は、稲葉先生がラビリントレーナーを発案した歴史についてお伝えしたいと思います。

 

 

 

 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

究極の総義歯DVD発売記念講演【その2】

『ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ』Blu-ray(&DVD)完成記念講演の模様、【その2】をお伝えいたします☆

稲葉先生が、『上下顎同時印象法』を開発した経緯について、まず、お話しさせていただきました。

1978年ドイツ、チュービンゲン大学の客員教授として留学をしていた際、IVOCLAR社主催の総義歯のセミナーを受講しました。

その時の講師が、Dr.Hans Shleichです。

大変な衝撃を受けたと言います。

日本の教育の総義歯とは全く違う方法で行われていました。

その時IVOCLARでみた方法は、スタディーモデルを上下顎同時印象でアルギン印象で行っていました。

稲葉先生は、これをどうにか、最終印象で、上下同時に、そしてシリコン印象で行いたいと、ずっと考えていました。

そして、20年前稲葉先生が代表を務めるIPSG発足時、Dr.Hans Shleichを招き、IPSG発足記念講演を開催しました。

それから間もなく、稲葉先生は、最終印象を上下顎同時印象で取る方法を開発し、発表しました。

日本の総義歯は非常に遅れています。

配列もギージーの方法のままです。

もちろん、上下顎同時印象法は、特殊なものなので、大学の教育に取り入れられることはありません。

どれだけ、エビデンスがあっても、独特なものは国家試験にでないのです。

なので、大学で取り入れられない。

このテクニックが生まれても、ある一部の方にしかつかわれていない、

なので、今日参加されている先生方は、チャンスだと思います。

Dr.Hans Shleichは引退するとき、すべての資料、スライドを稲葉先生に託しました。

世界中に広めてほしいと。

シュトラックデンチャーを絶やさないでほしいと。

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こちらは、シュトラックがオルソシットの特許を取った時の貴重な写真です。

詳細な顎運動を計測し、ピラミッドの重なりを歯の咬頭とし、人工歯の特許を取得しました。

シュトラックデンチャー

1949年ドイツ、チュービンゲン大学のシュトラック教授は、それまでのギージーによる歯槽頂間線法則を否定し、口腔周囲筋による安定を求めました。

歯槽骨がないような顎堤でも、維持を発揮でき、配列も自由に行うことができます。

シュトラック教授は、チュービンゲン大学のケルバー教授の前の教授で、シュライヒ先生は非常に尊敬している教授でした。

1978年、稲葉先生は、たまたま、シュトラック教授の話をシュライヒ先生に話したことで、仲良くなったといいます。

このように、稲葉先生の『上下顎同時印象法による総義歯』には歴史的背景があります。

なんとなく開発したものではなく、歴史のある総義歯です。

今までは口をあ開いて印象を採る方法でしたが、
咀嚼をするときの印象ではありません。

閉口印象ができれば顎の口腔周囲筋の印象ができ、サポートできます。

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歯科医学の始祖と言われるPhilio Puffが最初に上下顎同時印象を行ったとシュライヒ先生は伝えていました。

そこで、稲葉先生は、実は日本では400年前に木床義歯の印象に蜜蝋による印象が行われていたことを教えてあげたそうです。

1583年、紀伊和歌山からでた木床義歯、その作り方はみつろうをやわらくして口の中にくわえる方法です。

咬合高径から印象まで、とれる日本の上下顎同時印象の歴史は素晴らしいです。

将軍のお墓からでる木床義歯はこのように作られていたのでしょう。

それ以来、日本の木床義歯が最初の同時印象だということになりました^_^ 

総義歯の源流はやはりヨーロッパです。

スイス、ドイツ、オーストリア、リヒテンシュタインあたりが総義歯の源流となります。

300年前ということになると、アメリカはありませんでしたから、やはり総義歯の歴史を辿るとヨーロッパだということになります。

ヨーロッパの多くの学者の業績をまとめあげ、イボクラーのデンチャーシステムを完成させました。

したがって、大変歴史ある総義歯なのです。

ナソマート咬合器はProf.Boettger

印象トレーは、prof.Marxkors

ゴシックアーチトレーサーGnatho Meterはprof.Kleinrok

人工歯OrthositはDr.strack

重合方法Ivocapsystemイボカップシステムは、Dr.シュライヒのオリジナルです。
 

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こちらは、稲葉先生が開発した、SIバイトトレーです☆

SIバイトトレーとは、スタディーモデルを中心位でトランスファーするためのトレーです。
上下顎同時印象を実行する場合に重要な事は、個人トレーとゴシックアーチの描記に使用する装置を製作しなければなりません。
今までは、スタディーモデルを咬合器にトランスファーする際、平均値で製作していたので多少の誤差を生じることがありました。

その誤差を精密印象時に修正していましたが、今回開発されたSIバイトトレーを用いると、より精度が増し、最終印象まで、スムーズに進むことができるようになりました☆

少数歯欠損、レジリエンツテレスコープにも応用でき、とても臨床幅が広いです。

午後は、今回発売されるDVDの一部を先生方にお披露目させていただきました。

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Blue Lay で、すごく綺麗な映像です。

稲葉先生よりも近い目線で撮影した映像は、本当にわかりやすいです。


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技工士の岡部先生の配列は、みごとに鮮やかです。

「切歯乳頭は必ずしも正中ではないので、口蓋縫合をよくみる。自分の正中と模型の正中を合わせてよく模型を観察しないといけません。」

咬筋や頬筋など、義歯が外れる原因となる部位についても、細かく説明されています。

素晴らしぐらいに鮮やかです。

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総義歯セット後、患者様と一緒に食事をして、稲葉先生、わざと食べにくい物をすすめているところです。

おしんこ、こんにゃく、鴨肉などです。

きちんと前歯で噛むことができました^_^

適合が悪かったら痛くて食べることなんかできません。

装着をしてすぐに食べることがどれほどすごいことか、先生方にはお分かり頂けると思います。

「これからが新しい人生ですよ。」

と言う稲葉先生のコメントが 印象的でした。

 
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セミナー終了後の質疑応答も、初めてご参加の方々からも活発に質問いただきました^_^

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今回、私にとってとても腑に落ちたことは、上下顎同時印象をすることで、閉口印象を採ることができるということですが、翼突口蓋法線の印象を採るということだったということです。

先生方はとっくにご存知かと思いますが、

前歯で噛んだとき、この部分が非常に重要となりますね。

翼突口蓋法線は口を閉じない採れない部位です。

開いた状態だと隙間が空き、浮き上がります。

翼突口蓋法線の印象精度を高めるためにも稲葉先生の、『上下顎同時印象』は本当に素晴らしい方法だと感じました。

 

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武先生の花束、本当に素敵でした。

きっと、患者様にも気配りの細やかな先生なんだろうなって思いました☆♪

今回セミナーにご参加いただいたアンケートの一部をお伝えします。

*:..o○☆゜・:,*:..o○☆*:゜・:,*:.o○☆゜・:,

◆総義歯の勉強会の資料として、このブルーレイがベストなものだと思います。

◆細部まで鮮明に写っていて素晴らしいディスクです。完成したシステムで無駄がないことが再確認できました。

◆とてもきれいな映像でわかりやすかったです。

◆歯科医師として最善の方法を実践できるというこがこの上ない喜びです。更に学び実践していきたいと思います。ありがとうございました。あらためて究極のデンチャーがあるという感をつよくしました。

◆とにかくすごいの一言です。もっと勉強します。

◆とても勉強になりました。これからも義歯製作の1つ1つの細かな所も勉強していきたいと思います。

◆大変勉強になりました。咬合、総義歯について更に勉強したくなりました。

◆とても勉強になりました。これからも義歯製作の1つ1つの細かな所も勉強していきたいと思います。

◆午前の歴史の話はふだん聞く機会も少ないので非常におもしろかったです。今、普段BPSで作っていましたが似ているようでいて違うところが多くすごく勉強になりました。また明日から頑張る気になれました。

◆とても分かりやすい内容で映像もきれいでした。参加して良かったです。なかなか技工の流れを知る機会がなかったのでとても大切だと感じました。

*:..o○☆゜・:,*:..o○☆*:゜・:,*:.o○☆゜・:,

ご参加いただいた、先生方、本当にありがとうございました☆♪

ぜひ、7月13~15日 (土・日・月)に開催される、総義歯ライブ実習コースにもご参加いただき、本物を確かめていただきたいと思います。

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

究極の総義歯DVD発売記念講演【その1】

こんにちは。IPSG事務局、稲葉由里子です。

『ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ』Blu-ray(&DVD)完成を記念して特別記念講演が開催されたのでご報告させていただきます。

タイトルは

『インプラント時代のフルデンチャー』 ~総義歯にインプラントは本当に必要でしょうか?~

ということで、とても充実したセミナーを開催することができました☆♪

今回発売されたDVDは、 実際に、稲葉歯科医院にみえた総入れ歯の患者様にご協力いただきました。

困っていらっしゃること、今までの経緯などをお聞きし、上下顎同時印象法による型取り、技工士による、配列の様子、試適、装着、発音、そして最後は参加していただいた先生方と、患者様とご一緒にお食事をし、きちんと召し上がれるかどうかまで、DVDに収めてあります。

実は、この実習コースの開催まで、1か月お待ちいただいたのですが、我慢ができず、他の歯科医院へ行きひとつ入れ歯を作ったそうです(-_-;)

でも、やっぱり、痛くてはめられなかったとおっしゃっていました。

とてもボリュームがある内容だったので、2回にわたりお伝えさせていただきたいと思います(^_-)-☆

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今回完成したDVDは10年前の、『ライブで見せる究極の総義歯Ⅰ』以来の販売となります。

撮影、編集は稲葉先生の妻である、稲葉則子です。

日大芸術学部、映画学科卒業で、稲葉先生と結婚する前は映画の撮影、編集などの勉強をしていました^_^

稲葉先生からも、

『妻は私以上の目線でこの実習コースを撮影しました。他の方には絶対撮影できない目線です。撮影から編集まで、妻が一人で製作しました。これだけの作品を外注したら、2.000万円ぐらいかかるでしょう。一コマ一コマ丁寧に編集したので、時間はかかりましたが、素晴らしい作品です。』

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文京区で開業されている、武先生から花束のプレゼントまでいただきました^_^

素敵です☆ありがとうございました!

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今回の作品に関して、則子さんから先生方に見どころや、作品への思い、エピソードなどをお話しさせていただきました。

「 患者様はとても緊張していらっしゃいました。総義歯で顎関節症もある・・・ということで、他の歯科医院からは難しいと言われていて大変神経質になっていらっしゃいました。撮影するのも敏感になっていました。そこで、私は、普通の受付のおばちゃんがいるという雰囲気をだし、患者様が緊張しないように撮影させていただきました。結果、患者様の本当に気持ちや感想も引き出すことができました。時間はかかりましたが、世界にこれしかない大事な作品です。」

そして、今回ご参加いただいたすべての先生方に、今回の 『ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ』の紹介編をプレゼントさせていただきました。

「これを作るのも、心を籠めて作りました。そこらに転がっているDVDではありません。大事にしていただきたいと思います。そして、先生方が患者様のために質の高い総義歯を提供するためにきっと役立つと思います。」

ということです。

この『紹介編』がすごいのです。

患者様が困っていらっしゃる訴えから、同時印象を取り出すところ、配列の様子、試適、装着、発音、食事の様子、そして患者様の感想まで、8分33秒でまとめてあります。

もし、稲葉先生の上下顎同時印象をやってみようと思うのであれば、この紹介編を患者様にみせていただければ、必ずお願いされると思います。

それぐらいインパクトのある作品です。

(サイトにのせてあるYoutubeは少し重いのと画像があらいので、雰囲気はわかりますが、ここまでの臨場感はだせないかもしれません)

今回ご参加いただいた先生方にプレゼントさせていただいた紹介編、則子さんが伝えたように、そのへんに転がっているものではないので、ぜひ、活用してみてください。

次回に続きます☆

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

2013『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース』開催されました☆

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です☆

2013年2月10.11日 『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース』がKaVo Dental Systems Japan で開催されましたのでご報告させていただきます。

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第一日  テレスコープシステムの概要、コーヌステレスコープの製作デモ

第二日  リーゲルテレスコープの製作デモ、レジリエンツテレスコープの製作デモ、パーシャルデンチャーの設計実習、症例検討会

というスケジュールで進行させていただきました☆♪

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まずは、最初に。

IPSGの新しいスタッフとして、技工士の中沢勇太君が加わりました。

というで、ご紹介させていただきました^_^

彼は先日(株)モリタ歯科技工フォーラム2013の中で、国内外で活躍できるような才能をもつ歯科技工士 ということで優秀賞を受賞した、若手のホープです。

これから更に、IPSGでは技工士の先生と連携を強化して、お互いを高めあっていきたいと思っていますが、中沢君にはそのお手伝いをしていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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日本では、正しいパーシャルデンチャーの設計を、技工士もドクターも教わっていません。

かなり適当な状態でやっているのが現状です。

設計は技工士にお任せするドクターもいますが、技工士だって正しい設計は教わっていないのです。

ドイツでは設計は歯科医師がするものです。

なぜなら、患者様の希望、悩み、スタディーモデルの状態、動揺度、レントゲンの情報を知っているのは歯科医師自身だからです。

最初に先生方お一人お一人に、欠損症例の模型をお渡しし、真っ白な頭の状態で設計をしていただきました。

セミナーを受けていただいた後、どのように設計が変化をするのか見比べるためです。

「患者様はアラブ王様。1本抜けたら射殺される・・・でも上手くいったら、油田をひとつあげる。いつも、それぐらい真剣に設計するように(笑)」←稲葉先生


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今回は、コーヌスクローネの正しい設計方法、製作方法をお伝えしたいと思います。

この本は、Karlheinz Körber教授のKonuskronen、コーヌスクローネの原書です。

もちろんドイツ語なのですが、稲葉先生がボロボロになるまで読んだコーヌスの教科書です。

一次固定、二次固定、コーヌスクローネの設計、製作法、適応症、禁忌症、コーヌス角についてやネガティブビンケルの解決法など、沢山の事がこの一冊に書かれています。

コーヌスクローネは、沢山のルールや製作法があってはじめて成功するものであって、適当な方法、自己流で製作するものではありません。

テレスコープの本場ドイツで、直接学び、そして自らがその指導者として教えてきた稲葉先生ではないと伝えられない情報が盛りだくさんでした^_^

 

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そして、今回講師として、技工のサポートをしていただいたのは、Dental Labo Intec代表、高木清孝先生です。

高木先生は、23年間、稲葉先生の技工を任されている大ベテランです^_^

テレスコープの症例数も2.000症例を超えます。

私も彼がいてくれることで、安心して患者様の歯を任すことができます。

まさに、ドクターとテクニシャンは、大事なパートナーだと思います。

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初日はコーヌスクローネのデモです。

リーゲルテレスコープとコーヌスクローネの使い分けは、
1時固定をするのがいいか。
2時固定をするのがいいか。

ということだと思います。

コーヌスクローネでないと対応できない症例も沢山あるので、ぜひ覚えていただきたいと思います。

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こちらは、以前KaVo EWLから販売されていた、ミリングマシーンです。

コーヌスクローネは器械研磨をしなければなりません。

適当に手で研磨をすると、精度を発揮できません。

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稲葉先生が発案、開発した、KaVoの横型研磨器と、手前はコナトアー。

コナトアーを使うとコーヌスクローネの精度が高まります。

ドイツでは、コーヌスシュリッテン、コーヌスウーアなどの名前で、コーヌスクローネ製作時には必ず使用しています。

これらの道具を使用することで、クオリティーの高いものができます。

前歯と臼歯で平行性が認められない時、コナトアでマージン部の金属部分が露出しないように調整します。

ネガティブビンケルが前歯にでないようにするということです。

このように、模型台の上で補綴物の装着方向を決定、コナトアに模型をのせて6度の範囲で調節して最適な内冠の方向を決定することは、コーヌスクローネの生命線となります。

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パーシャルデンチャーの基本的な設計について。

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リーゲルテレスコープのシュレーダゲシーベの役割について。

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そして、これは稲葉先生が開発したコニマウントです。

コーヌスクローネ製作時に使うコナトアと同じ機能をもつのですが、発案は同時期だったそうです。

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当時、田中歯科器械店で、TDKK(東京ドッペルクローネ研究会)により販売されていましたが、今はもう手に入りません。 

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VISIODENT という会社のパーシャルデンチャーの設計を勉強する教育教材です。

ZLというアタッチメントを使う際にどういう使い方があるかというもので、非常に優れています。

それぞれのケネディーの欠損症例において、どのような設計をしたらよいかがわかります。


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シュパルテや、トーションバーの設計についても詳しく解説がありました☆♪

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こちらはリーゲルテレスコープのアニメーションです。

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患者様にリーゲルテレスコープを説明するのに最適なツールです。

テレスコープシステムセット

『リーゲルテレスコープアニメーションDVD』

『予防補綴に最適なテレスコープシステムの臨床』

『石原明先生の解説DVD』

がセットになっています。

今回も2日間があっという間に過ぎ、先生方と楽しく勉強をすることができました。

初日の懇親会の模様です^_^ 

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今回も、ちょっと素敵なレストランで開催されました☆


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素敵☆♪

美味しかったです~

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同級生の岡村先生と、私、そして、次回ドイツのIDSにご参加いただく石川先生です。

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懇親会の間も、稲葉先生への質問は絶えませんでした。

先生方、とても楽しそうに稲葉先生の話を聞いてらっしゃいました☆♪

今回受講して下さった先生方からの感想を一部ご紹介させていただきます。

◆咬合を学びたくてIPSGにきましたが、義歯がこんなに面白いとは初めて気付きました。日本の教育では本当に全く教えていないことにも驚きました。

◆シュパルテの話はすごいと思いました。早く活用してみたいと思います。

◆テレスコープシステムを現実化するにはいろいろなハードルがあると思います。一番はテクニシャンの問題。過去に稲葉教授の直伝を受けた名古屋の技工士のグループに聞きながらケースをしたことがありますが、設計の段階で誤っていることがよくわかりました。今そのテクニシャンがコーヌスをやっているかどうかわかりません。本日同席していた技工士さんがある程度経験のある技工士さんなら今までの技術で理屈を理解できれば対応可能と言われていました。ただ器械がないのが問題とのことです。

◆一昨年に続いて2回目の受講ですが新しい知識が増えて勉強になりました。リーゲルレバーの機構とか良く解らなかったのが解ったです。

◆製作は難しいと印象を持ちましたが、小さなケースから製作してみたいと思いました。有難うございました。何とかして横型研磨機を手に入れたい。

◆非常によくわかりました。臨床の幅が広がりました。ありがとうございました。

◆リーゲルの技巧を初めて見れてうれしかったです。

◆実際に技工を見ることで改めてテレスコープの技術の高さがよくわかりました。診療の各ステップでの注意すべき点もわかりました。今日はどうもありがとうございました

◆今回再受講です。何回も聞くと大変よく理解できました。ありがとうございました。

◆バー形についてよくわかりました。レジリエンツは特によく理解できました。

◆結局咬合の安定化(長期)を思うとテレスコープデンチャーを選択するのが最善であると認識しています。その中でもリーゲル・コーヌス・レジリエンツの適応をよく理解し、臨床に取り入れていくことが患者さんの為になると思いました。

◆最近患者さんとお話する時、日本の入れ歯とドイツの入れ歯という言い方をし、保険とか自費とかどいう観点ではなく義歯の起こす問題を話すようにしています。但しその中でもコーヌスデンチャーに移行するケースはまだまだです。パーシャルデンチャー(日本式)でも今までテクニシャンに任せている設計を少しでも負担がかからないようなものにするにはどうしたらよいかを勉強したいと思いました。

 

ということで、全国各地から、沢山の先生方にお集まりいただきまして、本当にありがとうございました。

私も皆様と一緒に勉強させていただき、さらに知識の幅が広がりました。

これからも、IPSGの先生方にできる限りお伝えしていきたいと思います☆♪

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

【相馬市市長よりお礼のお手紙をいただきました】

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2011年7月3日、震災からもう少しで4か月となるころ、

IPSGで、「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーセミナー」を開催させていただきました。

当時のセミナーの模様

義援金として、全額、被災した震災孤児に届くように、窓口を探したところ、相馬市で義捐金の受付を行っていました。

震災で親を亡くした子供たちが、この時何よりも悲しく、心のケアが必要だったのではと感じます。

IPSGでは沢山の先生方にお集まりいただき、集まったお金を送らせていただきました。

その後何度かお便りをいただき、カレンダーなどをお礼でいただきました。

そして。

震災からもうすぐ丸2年を迎えようとしています。

先日、相馬市市長より、丁寧なお手紙を、そして子供たちからのメッセージをいただきました。

相馬市の51人の孤児遺児の生活支援と、大学や専門学校などの学費と生活費仕送り分、社会人として必要な自動車免許の取得、親が生きていれば子供の為に頑張ったであろう子育てと教育の資金を用意することが出来る見通しが立ちました。

という報告です。

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ぜひ、全文読んでいただきたいと思います。

御礼とお知らせ

東日本大震災により親と亡くした相馬の子供に十八歳までの生活費に一部として毎月三万円、また大学や専門学校進学に要する学費および平均的仕送り額を援助するための、相馬市震災孤児遺児支援金は心を寄せてくださった方々の善意に従い、条例通り、孤児遺児たちに給付してまいりました。

皆様の温かいお気持ちに改めて感謝申し上げます。

大学卒業まで一人平均一千万円の資金が必要と試算致しましたが、平成二十四年十二月三十日の段階で、四億九千万円余の募金が集まりました。

私はじめ相馬市民一同、日本中あるいは世界中のあたたかさに只々驚いております。

しかしながら多く集まりすぎて残すようなことがあっては、寄せられた善意に申し訳がたちませんので、平成二十五年三月三十一日を以って本募金を閉鎖することと致しました。

もしも将来不足するような事があれば、将来の市長に責任を以って、財源補填してもらいたいと考えております。 

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次の課題はこの子供たちをどのように教育してゆくかです。

市及び教育委員会一同 今後はこの事に全力を挙げて取り組む覚悟です。

尚、この課題に対しては相馬市教育復興子育て基金を開設しておりますので継続してご支援いただける方がおられましたら、何卒よろしくお願い申し上げます。

これまでの御支援本当に有難うございました。

震災孤児遺児に対する皆様のお気持ちを私達相馬市は決して忘れません。

殉職消防団員はじめ亡くなった親達に替わり平身低頭お礼とお知らせと致します。

草々

平成二十五年一月

相馬市市長

立谷 秀清

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子供たちのメッセージも同封されていました。

目頭が熱くなりました。

子供たちの心の傷は計り知れないと思いますが、きっと、これから素晴らしい大人に成長していくと思います。

故消防団、団長の長男は大学への 進学がきまり、将来はしっかり勉強して消防士になるそうです。

市長は、将来、消防長となって相馬市地方の防災のリーダーになってほしいと祈っているということです。

復興への最大の目標は教育だという言葉に胸が打たれました。

2年前、本当に何をしていいのかわからなかったけど、IPSGでチャリティーセミナーを開かせていただき、大勢の先生方に参加していただけたこと、本当に感謝しております。

でも、まだまだこれからだと思っています。

このお手紙に書いてあるように、『教育復興子育て基金』 というのがあるそうなので、IPSGでも引き続き支援していきたいと思います。

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【IPSG包括歯科医療研究会】

石原明先生マーケティングセミナー第4回開催されました☆

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2013年1月27日『石原明先生マーケティングセミナー第4回』が開催されたので、ご報告させていただきます。

今回も沢山の先生方にお集まりいただきました☆

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毎回、稲葉先生とのコラボセミナーとなっています☆

今回のテーマは『高齢者の口腔管理、歯科治療』 ということで、普段なかなか聞けないような話を、たっぷりお話しさせていただきました。


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稲葉先生は、日本歯科大学第2補綴講座助教授を得て、その後日本の歯科大学発の高齢者歯科学教授を7年間勤めてきました。

1992年、今から20年も前に、高齢者歯科のマニュアル、ガイドラインを作り、沢山の論文、学会発表をしてきました。

今回の話もとても興味深い内容でした☆

 
『世界に誇る長命国日本』 と言われていますが、実は 『寝たきり老人大国』 なんです。
・・・・・^_^;
でも、これ現状ですよね。
 
今の日本の高齢者対策は非常に遅れていますが、それに輪をかけて、高齢者の歯科対策が遅れをとっています。
 
 
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日本で介護保険がスタートした年、ドイツのカイザース・ラウテルンの特別養護老人ホームを見学に行きました。
 
日本とのQOLの質の差に愕然としたものです。
 
ドイツでは特別養護老人ホームは部屋からでてくるとき、寝間着ではでてきません。
きちんと洋服を着て、女性はお化粧をして広場に集まります。
 
日本のように寝間着で歩き回るような事はありません。
 
ほとんど、すべてが個室で、24時間体制のケアがされています。
普段通りの個人の生活を大切にし、プライベートが守られています。
 
ドイツでは例えば旦那さんが入居したとしても、奥さんがつきそい、使い慣れた家具もいれられ、ペットと一緒に暮らすことも許されています。
 
そこで生活をしているのです。
 
広々とした庭のようにみえて、 痴呆の入居者が施設外に出て道に迷ったりすることのないように工夫されているのも特徴です。
 
ピアノリサイタル、映画鑑賞、ビリヤード場に屋内スイミングプール などの設備があり、そこが、まさか老人施設だとは普通の日本人の感覚だとわからないと思います。
 
日本はどうか。

面倒を見ているようで、根本的に、高齢者のためにはなっていないと私は思います。

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人的資源についてが日本でも大きな問題となっています。

ドイツではどうなっているのかというとをお伝えします。

ドイツには1956年に憲法改正により、義務兵役法を設立させました。

徴兵年齢は満18歳。兵役期間は15か月となっています。

ですが、「良心的兵役拒否」の権利が認められていて、国は兵役をしたくない人達に対し、介護施設でボランティアをするということにしています。

年間30万人以上と言われ、ドイツの介護保険導入で需要の増えた人材不足を補っている。

ということだそうです。

ドイツでみた介護施設のAWOでは寝たきりになっている人がほとんどなく、夫婦で仲良く老後を楽しみ、自立した人々が介護保険の支給により、老後のQOLを保っている感がありました。

唾液の性質と義歯との関係、口腔衛生管理、高齢者の身体的特徴、そしてこれから求められる歯科医療について、話がありました。

素晴らしい話をきくことができたと思います。

*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。

そして、石原明先生のお話しです。

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最初に。

おまたせいたしました。

石原明先生+稲葉先生のコラボセミナー、マーケティングセミナーのDVD第1回が完成しました!

詳細は後日、IPSGのサイトでお知らせいたします。

セミナーにご参加頂けなかった方にもまとめて購入されるとお得なセットもあります。

石原先生のマーケティングを今後の医院経営に活かして頂ければと思います。

▼ご購入のお申込みはこちらから

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「人間の脳の特性」についてのお話し、おもしろかったです。

でも、今回の石原先生のセミナーの内容は、またしても内緒です♪

いつも私はセミナーの内容を書き過ぎと言われます(>_<)

ひとつだけ。

『脳の特性を知る事』

こちらが伝えたい状況を理解したうえで、新しい情報を伝える→相手の脳を書き換きかえる。

これは、とってもためになりました。

何がなんだかわからないと思いますが、お知りになりたい方はぜひDVDをご購入ください<(_ _)>

 

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今回も(株)レイズの大塚さんよりお話しいただき、とてもためになるお話しをいただきました。

IPSGの会員の先生方には後日、情報をシェアさせていただきたいと思います。

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グループディスカッションもあり、楽しく患者様と会話をする方法などを体験しました。

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最後に、これまで4回のマーケティングセミナーに参加して、どんな変化があったかを何人かの先生にお話しをいただきました。

素晴らしすぎて、どよめきがあったほどです。

先生方からの感想です!!

◆稲葉先生 だ液と補綴の関係、見方が分かりやすかったです。IPSGの技術を獲得した上でマーケティングもうまくいけば勉強していく意欲が違ってくる。

◆ワークは緊張しますが、本音や具体的な事例が聞けて為になりました。

◆午前の稲葉先生が見せて下さった悪性腫瘍の患者さんの症例が衝撃的でした。自分の仕事に対する思いを深く考えさせられました。又、国の背景をふまえた歯科のあり方を教えてもらえて本当に稲葉先生は色々なことを知っているのだなぁ・・・と思いました。

◆あとは行動あるのみだ!!!

◆質問すると情報が全部手に入るということが本当によくわかった。

◆深く奥の方まで思考して質問していこうと思います。

などなど、アンケートを書いていただく時間があまりない中、色々と楽しい感想をいただき、ありがとうございました。

次回、石原先生マーケティングセミナー第5回は、2月24日(日)です!!

石原先生の出演しているDVDとして、現在はテレスコープのものがありますので

いち早く入手したい!という方はぜひチェックしてみてくださいね☆

▼石原明先生も出演しているテレスコープシステムセットのDVDはこちらから

▼マーケティングセミナーに関するお問い合わせ、ご購入のお申込みはこちらから

 
ということで。
 
今回も全国各地から、沢山の先生方にご参加いただき、本当にありがとうございました☆♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

パーシャルデンチャー・テレスコープの臨床セミナー開催されました☆

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2013年最初のセミナーが1月13.14日、『パーシャルデンチャー・テレスコープシステムの臨床セミナー』KaVo Dental systems Japanセミナールームで開催されたのでご報告させていただきたいと思います☆♪

パーシャルデンチャーの修復に際し必要な知識と技術はクラウンブリッジの要素から総義歯の要素まで必要です。

1歯欠損から1歯残存までそれぞれの欠損形態に対し、様々な種類があります。

咬合の崩壊を多くのケースで伴っているため、咬合の知識は必須となります。

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パーシャルデンチャーの設計の大切なことは全身から診断し、三次元的に基準面を揃えることです。

咬合関係は有歯顎もデンチャーも同じです。 

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パーシャルデンチャー設計の順序について大事な話がありました。

◆パーシャルデンチャー設計の順序

①維持と支持の概念を持つことが重要
日本ではすぐに、サベイヤーがでてくるが間違っています。(クラスプ)

②支持の設計が優先します(レスト)
日本ではレストはクラスプの付属品のような感じですが、レストが優先です。

なぜかレストなしの線鉤を用いたりしていますが、レストはつけるようにしてください。

レストは力を伝達する役目、歯根の先端まで力を伝える役目を持っているので、レストの形はよく考える必要があります。

球面形成レストは歯軸に力を加えることができることも覚えておいていただきたいと思います。

③維持装置であるレストが最優先

④クラスプの付属品がレストではありません。レストが主役です。

⑤クラスプは義歯が外れないために必要なものです。

⑥テレスコープやアタッチメントは維持と支持を共有します。

ということで、ほとんどすべての症例を、稲葉先生は各種テレスコープで対応しています。

1967年から稲葉先生が留学していたチュービンゲン大学ではクラスプデンチャーは使われていません。

大学の教育にもないのです。

そのかわり、カバーデンチャーとワンピースキャストパーシャルに変わりました。

1967年に終わってしまった義歯が日本では依然として主流というドイツや先進諸国に比べ大きな遅れをとっているのが現状です。

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こちらは、ドイツの技工雑誌、Dental Laborです。

当時から、ドイツのコーヌスクローネはミリングを行っていましたが、稲葉先生がもっといい方法ないかな。

ということで、模型研磨器を開発しました。

ドイツでも、この研磨器は広まり、雑誌でも紹介されました。

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コーヌスクローネのクオリティーを決定するのは内冠の研磨方法です。

内冠の表面を確実な直線で仕上げる事です。

直線に仕上げるためにはフリーハンドではどんなに注意していても丸みが付いてしまい、不可能です。

フリーハンドの手研磨で曲線に仕上った物は、装着直後は維持力が出ますがしばらくすると維持力が落ちてしまいます。

従ってフリーハンドで研磨する方法を習った人は維持力を継続するのが困難であるためコーヌスクローネの評価を落としてしまいました。

それに比較して器械研磨した物は確実な表面の直線仕上げにより、永続性のある維持力が得られ、義歯を長期に使用する事が出来ます。

確実な方法としては、ミリングマシーンを使い表面を直線で仕上げる方法、あるいは稲葉先生が開発した横型研磨器を使う方法が有ります。

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この研磨器はディスクを回転させて、この表面に内冠の表面を当てると確実に直線に仕上がります。

研磨ディスクは荒研磨から鏡面仕上げが出来、簡便確実であるためにカボ社からのK9内冠研磨器として発売されました。

このためコーヌスクローネの本場ドイツで評判となり、海賊版まで売られる様になりました。

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そのため稲葉先生はシュトゥットガルトのマイスターシューレに招待され、コーヌスクローネの研修を行った経験が有ります。

その後この方法で国内で研修を重ねて来ました。

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鏡面仕上げした内冠にパターンレジンで外冠を作成し、埋没剤をコントロールしゼロフィッティングさせたコーヌスクローネは確実に長期に使用する事が出来ます。

義歯装着後に安定した状態を得るためには内冠と外冠の間に隙間を作らないほうが結果が良いということで、『ゼロフィッティング』という考えが生まれました。

これには様々な必須条件があります。

金属はゴールドを70パーセント以上を含有し、それに白金を加えた合金を使う。

ヴィッカーズ硬度250程度の時効効果(鋳造したまま放置し硬度を増す効果)のある金属を使用し、埋没剤の混水比の調節により1.5パーセントの膨張を得る。

これらの条件を満たすことで、ゼロフィッティングをさせることが可能であるということが分かりました。

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口蓋をいかに利用するかという事も非常に大切です。

馬蹄形は最悪だということを覚えておいてください。

日本の大連結歯の設計はただ右と左をつなぐだけです。

3点支持の場合は、トーションバーやシュパルテを用いるは日本では全く知られていません。

そして、インプラントはパーシャルデンチャーの救世主かということについてもお伝えしたいと思います。

インプラントの応用によりパーシャルに変革が起きました。

特に遊離端義歯のアンカーとしてしようすることによって粘膜の沈み込みが抑えられ、義歯の確実に安定し、骨吸収が抑えられるようになったのは革命的です。

パーシャルにとって最も難しいと言われる3点支持の場合でも4点支持にすることが可能で最も安定した形となります。

少数歯残存の上顎パーシャルにとっての床の適応は必須条件であるがインプラントにより取り除くことができます。

稲葉先生の息子であり、口腔外科医の稲葉智弘先生と、現在インプラントとテレスコープのコンビネーション症例を行っています。

このような症例は、本場ドイツでも多くみられます。

当時日本で多く行なわれている方法を見直す目的で「正統派コーヌスクローネ」という本を出版しました。

このたび一部を復刻し、研修受講者に読んでいただける様にしました。

ドイツから帰国後多くのコーヌスクローネを使用した補綴物を行って来ましたが、その多くが今でも機能しているのが事実です。

是非正しいコーヌスクローネを使用した補綴物を行っていただけるように願っています。

 

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そして、今回2日間にわたり、岩田副会長が、各種パーシャルデンチャーへの対応、リーゲルテレスコープ、コーヌスクローネ、レジリエンツテレスコープについてのお話しがありました。

沢山の症例を用いてわかりやすく説明がありました。

動画を用いて、患者様の実際の感想、そしてリーゲルテレスコープの着脱法など、新たな視点で、大変勉強になりました。

これから、定期的に岩田副会長のテレスコープセミナーも開催していきたいと思います(^_-)-☆

 

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今回から初の試みとして、セミナー最後の1時間を症例検討会と言う形で、先生方と一緒に考える時間を作らせていただきました^_^

トップバッターは、IPSG事務局長、稲葉智弘先生です。


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ある、歯科雑誌で掲載されていた内容について、とても興味深いもので、改めてコーヌスクローネの基本知識について学ぶことができました。

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そして、技工士の先生も数多く出席いただいたため、製作する立場からのアドバイスもいただくことができ、大変勉強になりました。

三橋学先生です☆

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初めて参加いただいた、高瀬直樹先生の症例相談です。

「とても悩んでいた症例なので、とても助かりました。」

とコメントをいただきました。

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その他の先生方からの活発な質問に答えている稲葉先生。

今回やはり、初参加で北海道からご参加いただいた小畑俊剛先生

「今までの歩んできた道は間違えてないと確信し、帰りの飛行機の中でなんとも言えない至福感を覚えました。歯科医師になって本当によかったです。」

というコメントをいただき、今回のセミナーを開催させていただくことができて、本当によかったと感じました。

次回、2月10.11日(日・月)に開催される

『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース』 、ほぼ定員に達していますが、若干名なら受け付けております。

記事をお読みになって、実践で学びたい!と思われた方はぜひご参加ください!

▼セミナースケジュールはこちらから

▼セミナーのお申込みはこちらから

◆テレスコープシステムに対して疑問をお持ちの先生方へ

間違った方法が広まってしまったために評判を落としてしまったテレスコープ。

1980年代臨床家の間に広まったコーヌスクローネについて、
疑問をもたれている先生に、なぜそのような評判になってしまったか、
ということを稲葉繁先生が詳しく解説するページを作成しました。

ページの中では、

1.テレスコープシステムの歴史とコーヌスクローネへの誤解
2.ドイツでのコーヌスクローネの扱われ方
3.日本でのコーヌスクローネの扱われ方
4.今後のコーヌスクローネの活用方法

について、詳細な説明をしてあります。
ご興味のある方はぜひご覧になってくださいね☆

テレスコープシステムに疑問をお持ちの先生方へ

それでは、今回ご参加いただいた沢山の先生方、本当にありがとうございました。
 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

第19回IPSG学術大会が開催されました☆

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2012年12月2日第19回『IPSG学術大会』 が開催されたので、ご報告させていただます☆♪

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今回、日本歯科大学100周年記念館で開催されるにあたり、稲葉先生の元医局員の先生方に沢山協力していただいたこと、心より感謝させていただきたいと思いますm(__)m 

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トップバッターは、稲葉歯科医院勤務の佐藤孝仁先生です。

『二年目の歯科医師が稲葉歯科医院で勉強したら』

稲葉歯科医院に務めて半年がたち、気を付けている事は・・・・

女性ばかりの職場なので嫌われないようにする!!だそうです(笑)

今もそうですが、あまり診療する機会はありません。稲葉繁先生の診療のアシストがほぼ私の仕事の内容です。

しかし、先生の診療を見させていただき、きちんとした知識を学んでから診療をする方が、何も学ばずに経験だけを頼りにした診療より質の良い診療をできるようになると私は思います。

卒後二年で、こんな風に長い歯科医師人生を大事に考えているということがすごいなって思いました。

稲葉歯科医院では、顎関節症の問診、診査診断はすべて佐藤先生にお願いしています。

もちろん、今回の発表は完璧でした。

これからも、稲葉繁先生の歯科医師としての哲学を学んでいきたいと最後に伝えた、立派な発表でした☆♪

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そして佐藤孝仁先生のお父様でいらっしゃる、佐藤孝明先生の発表です。

発表前・・・

「もう緊張しちゃって、まいっちゃうな~」

とおっしゃっていたのが、ウソのよう。

まるで、大学の教授のようでした(笑)

『稲葉先生との出逢いについて』

一応台本をお持ちのようですが、先生がお話しされたいことをそのまま自由に表現されているようにお見受けしました<(_ _)>

若い先生方に対して、これから楽しい歯科医師人生を送るためにぜひIPSG、稲葉繁のもとで勉強をすることをおすすめしたい。

とおっしゃっていただきました。

そして、大切なことは

「TPPではなくて、TTPなんです!!」

TTP?なんだろう・・・と思っていると、

「徹底的にパクる。徹底(T)的(T)にパク(P)る」

と極意を教えていただきました^_^;

そして、石原明先生の著書「すべてが見えてくる飛躍の法則~ビジネスは三人称で考える~」

の三人称目線の大切さをお話しされていたのは、さすがだなって思いました。

患者様を治療や義歯の設計をするとき、

「稲葉教授だったらどうやって考えるのかな」

っていつも三人称目線になって考えるようにするとおっしゃっていました。

佐藤先生はもちろん沢山のテレスコープ症例をお持ちです。

ある患者様のお話し、値段が少し高いなと思われたそうですが、

お孫さんから「おばあちゃんの歯が素敵!」

って言われた瞬間、値段は忘れてしまったそうです。

そういうことなのですよね。

今回佐藤先生から、沢山の歯科哲学を教えていただきました。

そして、この日のために新調したスーツがとてもお似合いでした(^_-)-☆

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続いて飯塚会長の

『歯科医が行う口腔ケアー』

もうすでに飯塚会長の講演を聞かれている先生も多いかと思います。

今回、あ、そうだったんだ。

ってはじめてわかったことがあります。

飯塚先生のお母様が亡くなる前の2年間胃ろうをつけていたということです。

お母様へその間必死で口腔ケアを行っていたそうです。

きっとこの時、医科の口腔機能や嚥下のリハビリが欠けていること実感されたのだと思います。

年々介護認定者が増え続けています。

1000万人の要介護高齢者の口腔リハビリは誰が行うのでしょうか?

歯科医師過剰と言われていますが、はっきり言って足りないぐらいです。

総予算は限られています。

その中には口腔リハビリは全く考えられていません。

口腔機能が回復して食欲がでれば体力もついて免疫力がアップし、QOLも上がるというのに・・・

嚥下機能を深く理解しているのは歯科医ですし、これから様々な施設、団体に啓蒙していきたいと思います。という力強い言葉がありました。

そして、最後にラビリントレーナーのエステ版、『頬麗美人』 

の宣伝もありました(^_-)-☆ 

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続いて、歯科工房OKABE、総義歯実習コースでは稲葉先生の右腕となり活躍していただいている技工士の岡部宏昭先生です。

『技工士からの提唱~技工士の現状と今後~』

日本国内の歯科技工士の実態に私たち歯科医師はきちんと向き合う必要があると思います。

およそ10年以内に爆発的に技工士が減少すると予測されます

なぜ減り続けるのか

技工士の平均年収380万円といわれています。(本当はもっと低いかもしれません)

時給1490円

月収29万円

ほとんどのラボが残業をつけていない

そして、実は残業時間100時間ぐらいはしています。

資格があるのに、この状態だと、どんどん離れてします。

若い技工士が離職してしまうのは、当然といえるのでは・・・

現在、補綴物の海外発注が急増し、国内のラボは自費の激減により倒産が相次いでいます。

補綴物の海外発注が弊害になり値崩れ、質の低下をおこしているのです。


●技工士の平均寿命は63歳
欧州では歯科技工士の塵肺率が13%というデーターがとられているそうですが、基準も対策も定められていないのが現状です。

●長時間労働による過度の睡眠不足

●時間に追われながらの作業の連続による強度のストレス

●高い率の肝機能障害者と肝炎発症者

●規則ただしくない日常の連続

ようするに、技工士は歯科医からの分配で成り立っている川下産業である

という、技工士の現状をお話しいただきました。

稲葉先生からのコメント、

「人の命を犠牲にして自分が生きてるなんていうのは、恥ずかしい事。技工士も国から統制されていたものをそのままやっていたら苦しいんです。」

「日本の技工士レベルは実はとても高い。保険の仕事とは離れ、IPSGでは、技工士としっかりと連携をとり、安全でストレスなく、質の高い仕事を目指していきましょう。」

ということでした。

技工士減少問題はとても深刻です。

IPSGには認定技工士制度がありますが、これからも自費診療専門の技工所の育成に携わっていきたいと思います。

でないと、IPSGの会員の先生方は困ってしまいますから((+_+))

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そして、IPSGに入会して15年の太田裕明先生です。

『咬合についてきっと皆さんが知りたいこと』

「咬合学」について太田先生ご自身が悩んできたことを、今回先生方に理論的にお話しをしてくださいました。

悩まない咬合紙の使い方について、なるほど・・・って納得です。

歯に対する脳の感度は、10ミクロン程度を感知するそうです。

ということは、咬合紙よりも薄いです。

全体を噛み合わせた時、咬合紙をどのように読み解くか、そして削る量はどのくらいかということを詳しくご説明いただきました。

中心位で力の抜けない患者様への対処方法、先生も苦労されたとおっしゃっていましたね。

ぜひ、試してみてくださいね。

フェイスボートランスファーも、正中が1㎝ずれたら、どれだけ模型がずれてしまうかというお話しをいただき、なんとなく恐ろしくなりました((+_+))

ポーセレンの破折がなくなる方法など、すぐに役立つ情報盛りだくさんでした。

太田先生のお話し・・・簡単・・・なようで、奥深く、難しかったです。

後日、太田先生にQ&Aのコーナーでお答えいただこうと思いますので、ご安心を☆

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2010年IPSGに入会された木谷光輔先生

素晴らしい経歴をお持ちなのですが、今回、所属学会の数もすごいということがわかりびっくりしました。

『IPSG研修会(稲葉・先生)との出逢いにより、得たもの失ったもの』

という少し過激なタイトルでした。

先生は、紆余曲折を経て、稲葉先生にたどり着きました。

日本の教育制度は、国家試験対策ばかりです。

いつ・どこで・何を・誰から学ぶのかはとても大事な事です。

木谷先生が稲葉先生に出会う前の総義歯や咬合に対する悩みなどをお話しくださいましたがその中でも

テレスコープの悩みというのがありました。

テレスコープの悩み

  • 先代からコーヌスクローネを学んだ。
  • そのコーヌスは日本式コーヌス。正統派コーヌスではない。
  • 15年症例・20年症例もザラだったが、そうではない症例もまた少数ながらあった何故?
  • 歯頸部歯肉の退縮が生じているケースばかり。
  • 設計に疑問があったが、学びの場がなく、書籍も絶版ばかり。まさにロストテクノロジー。

そこで、出会ったのがIPSG会員、故岡部俊一先生の講演です。

リーゲルテレスコープを紹介され、もとを辿ったら、稲葉先生だということを知りました。

それ以来、IPSGのすべてのセミナーを受講されています。

そして、実際治療を行い、喜んでくださっている患者様の動画をみさせていただき、、改めてテレスコープシステムはすばらしい技術だなと思いました。

その他、木谷歯科医院で行われている感染予防対策についても、お話しいただきました。

木谷先生は、とてもお話上手だということがよくわかりました。

もっと聞きたいと思うほどの情報量をお持ちでした☆ 


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10年前に、稲葉先生の1年コースに参加し、今では中心位におけるフェイスボートランスファーを使ったCRマウントをしなければ、インプラントのみならず、怖くて自費診療を行えないとおっしゃる、大津義重先生です。

今回は、顎関節症の治療に特に力を入れていらっしゃる大津歯科医院で、稲葉先生に指導頂いた方法で診査・診断し治療をした結果、改善された症例を動画で見せてくださいました。

3つの大学病院で治療を受けても全く改善されなかった患者さんで、ぜひ、自分のような患者さんを減らしたいので、顔や名前を公開していただいても結構です。

とおっしゃって、治療前から治療後の感想の一部始終をじっくり拝見することができ、大変勉強になりました。

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IPSG副会長、岩田光司先生は

『2012年咬合アドバンスコース ダイジェスト』

を解説してくださいました。

さすが、完璧な発表でした。

 9名限定のこの実習は、DVDで撮影もされなかったシークレットライブ実習です。

一部をご覧いただきましたが、咬合について、こんなに適切で確実な診査・診断・治療計画を勉強できるセミナーは他にはないと思います。

『咬合診断アドバンス4日間実習コース前半』

『咬合診断アドバンス4日間実習コース後半』

IPSGサイトでもセミナーの模様をご紹介させていただきましたので、よかったらご覧ください。

岩田先生のすごいなって思ったことがあります。

「15年稲葉先生のアシスタントをさせていただきましたが、今回も沢山の事を新たに学ばせていただくことができて、大変勉強になりました。」

とうれしそうにお話しされていたことです。

岩田先生は本当に素晴らしいなって思いました^_^

 

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今回の特別講演は、歯科医師と医師のダブルライセンスをお持ちの金子雅史先生です。

『もう一度見直そう!~日常臨床の中の悪魔~』

歯科医療は一人の医師が行う医療行為としては、非常に幅広い範囲を要求され、他の医科分野では類を 見ない医療であるということを忘れてはなりません。

とお話しいただきました。

私たち歯科医師は観血処置が非常に多いです。

医科の一般開業医はほとんどが非観血的で、たとえば小手術でも全身麻酔下で行われます。

●一般歯科診療室では、モニターも酸素も蘇生に用いる薬剤やキットがない

●モニタリングもしていない

●患者様の状態の把握ができない

●急変しても何がおきたのか不明

●どう対処してよいかわからない

など、様々な問題があります。

そのような時どうしたらいいか・・・

もちろん、モニタリングも酸素も必要ですし、沢山必要な事はあります。

でも、とにかく。

『意識がなくなったらとにかく胸を押す!押す!押す!そしてAEDをかける』

あたふたせずに119番して胸骨圧迫です。

心臓突然死で亡くなる人の数は6万人
(交通事故死5000人以下)

電気ショックが1分遅れると救命率が10%低下します。

歯科医院には必ずAEDが必要だと感じました。

ということで、実習風景です(^_-)-☆

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先生は軽々圧迫しているように見えますが、結構これが重いんです((+_+))

今回株式会社セキムラの方にも沢山ご協力いただきました。

金子先生と、とても息が合ってました^_^


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「これ、10分もやってたら、こっちが心肺停止だよ。」 と大津先生(笑)

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でも、実習は楽しいです☆

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AEDは使い方を一度経験しておけば、ナビゲーションされているので、大丈夫です!

深刻だけど、楽しい特別講演、金子先生、本当にありがとうございました。

先生は医師であり、歯科医師であるからこそ、啓蒙できる大事なお話しを沢山いただきました。

これからも色々な事をご教授頂きたいと思います。

さてさて、

ここからはIPSG望年会です。

(IPSGでは忘年会ではなく望年会と書きます)

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今回は稲葉先生の退官パーティーの時にお願いした、ドイツ民謡のグループ、エーデルワイスに演奏をお願いさせていただきました☆

日本でも、ドイツのビール祭り、オクトーバーフェストなどで、演奏をされたり、全国各地でご活躍のグループです。

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乾杯はIPSG名誉会員の田嶋紀一郎先生です。

素敵なメッセージをありがとうございました☆


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お料理も豪華でした♪

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金子先生と、若手技工士のホープ中沢さんです^_^

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そして、豪華賞品のくじ引きです!!

子どたちも鈴を鳴らしたり、景品を渡したりお手伝いしてくれました^_^

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望年会参加者で記念写真。

「ゆりちゃん、ここでいいんじゃん。」

ということで、金髪のアフロヘアーをかぶった異色な人は、私です^_^;

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田中歯科器械店の 毛利社長と、私と事務局長です。

私は毛利社長のファンなので、大感激です。

ということで、今年を締めくくるIPSGの学術大会も無事終了しました。

これで、来る年も気持ちよく迎えられそうです(^_-)-☆

ご参加いただいたIPSG会員の皆様、スタッフ、関係者の方々、本当にありがとうございました!!

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【IPSG包括歯科医療研究会】

『筋機能療法+ラビリントレーナーコラボセミナー』開催されました☆

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2012年11月18日 、稲葉繁先生とIPSG会長飯塚能成先生の『筋機能療法+ラビリントレーナーコラボセミナー』開催されたので、ご報告させていただきます☆

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稲葉先生が大学院の頃、今から40年以上前、舌に興味があり、舌の文献を沢山集め始めました。

そして、同時に顎関節症の研究もしていたので、よく観察しているとどういうわけか、顎関節症の患者様の舌の圧痕、歯列の圧痕、口蓋鄒壁の肥厚をみつけ、気になり始めたそうです。

たまたま、30年ほど前、今の筋機能療法学会の大野先生という方が連れてこられたアメリカのツィックフーズという先生、医者ではなく医学療法士の講演を聞く機会があり、マイオファンクショナルセラピーのことを知ったと言います。

その当時は顎関節症と舌壁の関係について全くやっていませんでした。

ツィックフーズ先生の講演の後、稲葉先生は質問したそうです。

「顎関節症と舌壁の関係についてどう思われますか?」

当時の答えは、

「わからない」 だったそうです。

そして、さらに稲葉先生は一生懸命舌の働き、さらには嚥下のやり方について研究してきました。

『咀嚼・嚥下・発音』を育てるには、元をたどれば母乳からなんだということも、その時確信したそうです。

出だしを間違えると生涯の問題になります。

舌によって歯列ができ、頬でしっかりとサポートさせます。

それに合わせて上顎の歯列が並ぶのです。

このような経緯で、ラビリントレーナーを発案しました。

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今回は、正しい舌の使い方のほか、実際に間違った嚥下の方法をしていることにより発症する顎関節症の症例や舌壁の治療法について、具体的な話がありました。

昭和57年に歯科界展望で発表したマイオファンクショナルセラピーです。

当時は、この内容は早すぎたのでしょうか・・・

今読むとびっくりするような内容が書かれています。

今回参加された先生方には資料をお配りさせていただいたので、ぜひ復習していただければと思います。

舌壁と顎関節症は非常に密接に関わっています。

歯科医師の専門分野は、歯や歯周組織だけではありません。

顎口腔系、そして全身の診断が必要ですし、咬合治療は歯科医師にしかできません。

ぜひ、歯科医療を大きく見ていただきたいと思います。

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そして、今回一緒にコラボをしてくださった飯塚会長は、稲葉先生が発案したラビリントレーナーで素晴らしい結果をだしてくださっています。

ラビリントレーナーは高齢者の介護予防、麻痺や嚥下障害のある者、意識障害のある者に対してのリハビリに大変有効な器具です。

困っている患者様は山ほどいらっしゃいます。

もし、治るとしたら・・・

家族の方はどんなことをしてでも、連れて行きたいと思われるでしょう。

飯塚会長は2012年の老年学会で発表されましたが、

発表の模様

その考察の中で、このようなことを伝えていらっしゃいます。
↓↓↓
口腔機能訓練器具ラビリントレーナーを使用して口腔機能訓練をする事により舌圧、口輪筋などの口腔周囲筋ばかりでなく呼吸に必要な筋肉や姿勢を保つのに必要な筋力がアップするため、嚥下や呼吸が改善され、消化機能や循環機能の改善が見られるのではないだろうか。
またラビリントレーナーをくわえるだけで多量の刺激唾液が出るので唾液量の少ない高齢者にとって自浄作用効果が期待できる。
ラビリントレーナーは筋力ト レーニングの器具というだけでなく、特に片麻痺のある対象者が発音、嚥下機能、手指の動きの著しい改善が見られたのには驚かされた。

これは、すごいことだと思います。

呼吸に必要な筋力までアップし、消化機能、循環機能の改善も期待できるということです。

◆ラビリントレーナーの効果について

  •  呼吸や嚥下に必要な口腔周囲筋、横隔膜、腹筋、肋間金、首など体全体を使い骨格筋を鍛え理想的な姿勢作りができる。
  • 口腔周囲筋からつま先に向かってシンメトリーな筋肉作りができる。
  • 呼吸を整え、循環機能の働きを良くする
  • 口呼吸の予防
  • 嚥下から排泄までの嚥下や消化運動を刺激し活発にすることができる
  • 刺激唾液や胃液の分泌を良くする
  • エステ効果

飯塚会長のお話しは、すべて実際にやってみた結果ばかりです。

実践的で、大変わかりやすく沢山の症例をみていただきました☆ 

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飯塚会長から配布された、

ラビリン体操の資料、嚥下訓練の方法、問診票、口腔機能訓練のトレーニング表 だけでも、今回参加した甲斐があったと思います!(^^)!

いくつか、先生の症例より

◆脳血管障害で失語症の患者様、 2年リハビリに通っていてもできなかったことが、ラビリントレーナーにより、自分の意思を話せるように回復した症例は大変素晴らしいと感じました。

「ごはん、たべたい。」

とご自分の意思を伝えることができました。

◆15年前くも膜下出血で失語症

15年間開かなかった手がラビリントレーナーで、その日のうちに開くようになった症例も見させていただきました。

そして、咬合調整を組み合わせることで、両方のバランスが取れ、歩けるようになりました。

飯塚会長は、ラビリントレーナーと咬合調整の知識を兼ね備えていらっしゃったことで、患者様に大きな成果をだすことができた症例だと思います。

◆脳血管障害と右麻痺

むせる・・・ということがこんなに辛いことだとは思いませんでした。

嚥下することが難しい患者様が沢山いらっしゃるということを痛感しました。

むせるということは、人と食事ができないのです。

この方も、ラビリントレーナーによるトレーニングで、嚥下に携わる筋肉を鍛え、口輪筋など唇の筋肉をきたえることで、口を閉じて嚥下ができるようになり、むせなくなりました。

むせると、歯科治療も受けることができません。

むせる患者様を大学病院へ送るのではなく、ぜひ先生方自身で治していただければとおもいます。

毎日の継続が非常に大切というお話しもありました。


◆人工呼吸器で胃ろう

唇の力がまったくないので、唾液が口の中にたまってしまいます。

唾液を飲む練習をラビリントレーナーではじめた結果、寝たきりだった患者様が、座位の姿勢が10分取れるようになりテレビをみることができるようになった。口を閉じて寝ることができるようになった。

など、目を疑うような症例でした。

◆無呼吸 開口、口呼吸、舌根沈下

についても、ラビリントレーナーで、大きな効果を上げています。

まだまだ、沢山の症例をみさせていただきましたが、このあたりで・・・^_^ 


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今回のセミナーは実習形式とさせていただいたので、先生方に実際に体験していただきました。

稲葉歯科医院のスタッフもラビリントレーナー実習に参加です☆

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稲葉歯科医院、山吹町の、智弘先生も・・・

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望月先生も、真剣(?!)に実習しました(^_-)-☆

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こちらが今回、参加者全員に体験していただいた器具です。

実際にくわえることで、わかったことが沢山あり、びっくりしました。

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やはり、NUKは素晴らしいです☆

よ~く理解できました。

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こちらは口輪筋の筋力検査のデモです。

大津先生がモデルです(^_-)-☆

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今回、先生方自身で体験していただいたことにより、確実に体得していただけたセミナーだったと思います。

ラビリントレーナーの可能性をこれからも幅広い範囲で、ひろめていきたいと感じました。

今回53名の先生方のご参加をいただき、会場で販売させていただいたラビリントレーナーも売り切れ。

先生方にも大変満足いただいたセミナーだったと思います。

先生方から、本当に沢山の感想をいただきました。

一部ご紹介させていただきます☆♪

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◆動画から患者様本人の目の輝きやスタッフの笑顔など幸せな状況が伝わってきました。今後歯科医師として口腔の機能向上のために少しでも貢献できたらと思います。

◆・実習があるのはとても楽しく、実体験できたのがとても身になったと思います。自分にも舌突出癖があるとはっきりと自覚できました。
・ラビリントレーナーを使う症例を集めるにあたっての共通のルールのようなものを示して頂けると(写真の撮り方、検査内容など)やりやすいと思いますのでよろしくお願い致します。

◆口の機能を向上(改善)することで全身にいい波動が伝わるのがよくわかりました。どの年代にもいろいろな症状にも応用できると思いました。明日から実践してみたいと思います。

◆レントゲンの飲み込む動画、赤ちゃんの授乳の色々、口元や足首etc 資料として診療室に残ったスタッフにも見せてあげたかったです。とても驚きました。長生きしてよかった~。

◆ラビリントレーナーを使用した高齢者の前後がとても違うことに驚きました。口腔内の運動のみでなく全身の運動能力の変化、顔の変化などとても興味深かったです。口の健康は全身の健康と云う意味が少しわかった気がしました。また、乳児の使用する哺乳瓶の人口乳首に善し悪しがあったとは知らず、さらにその頃からすでに歯列に関係するということを知り、大変勉強になりました。自分が子供を産むときやお腹に子供がいる方などに実践したいため、教えてあげたい内容だと感じました。

◆哺乳時期からの正しい嚥下行動やラビリントレーナーを使用して障害者のQOLを高める話、どれもわかりやすく勉強になりました。動物は歯を失った時、死を意味するとうい聞いたことがあります。ヒトは義歯により口腔機能を回復することもできますし、意識的に行動することもできます。口腔ケア=歯のクリーニングにとどまらず習癖に気づいたり筋機能療法もできる歯科衛生士になりたいと改めて思いました。

◆歯並びや舌癖、嚥下の仕方に授乳が正しくできているかどうか?が影響があるという事を知り、とてもビックリしました。私は哺乳瓶で育ったので正しい嚥下ができていなかったのだなぁと実感しました。口輪筋、舌筋を鍛えることが大切だということがわかりました。ラビリントレーナーを使用した症例にはビックリしました。あんなに元気にそうになってすごいなと驚きの連続でした。

◆乳児からの口腔機能の発達について詳しく話が伺えたのが良かった。多くの症例がみられて良かった。

◆「歯」の治療だけでなく「口腔内全域」の勉強が技巧作業にも必須であること改めて痛感しました。

◆素晴らしい成果が出ているので是非データを発表して頂きたい

◆DHがDrのかわりにできる仕事を少しずつ増やしていきたいと思いました。

◆まったく初めての分野での研究会で非常に勉強になりました。有難うございました。

◆・乳歯から高齢者まで口腔機能を回復あるいは訓練することで経口搾取できることがいかに大事かを学びました。
・また来院してくる方が年々高齢の方が増えているのでラビリントレーナーを使用して頂いて口腔機能を衰えないようにしたいと思います。

◆訪問診療などで脳血管障害後遺症による症状をたくさん見ているので使用させて頂きたいと思います。

◆続けられている飯塚先生の姿勢が素晴らしいです。

◆実習つきなので解りやすかった。講義だけだと実行できないことが多いので。

◆口腔内だけでなくそれ以外のことまで目を向けることにより患者様がより健康になるのがわかりよりいろいろなことを患者様に伝えることができるようになりました。

◆飯塚先生のケースレポートが目からうろこでした。すごく内容が充実していて良かったです。実習もあって実践的で良かったです。様々なケースに効果があるのでシステム化してマニュアル化してください。

◆患者さんの為、家族の為、自分の為生きることに必要なことを学べました。

◆嚥下と体の病気がこんなにも関係していてすぐ変化として現れることに驚きました。大変お勉強になり参加して良かったと思いました。

◆他では学べない貴重な内容で大変勉強になりました。ラビリントレーナーで患者さんが治っていく姿を動画で見て感動しました。全身とのつながりの大切さが身にしみました。今日は有難うございました。

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ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました☆♪