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上下顎同時印象法

義歯の発音に関与する部位

IPSG事務局、稲葉由里子です。

先日開催された、『総義歯の基礎と臨床』の中で、義歯の発音に関する部位をご説明させていただきました。

ご参加いただいた先生方からのご要望により、パワーポイントをご紹介させていただくことになりました☆♪  


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義歯の口蓋部にワセリンを塗り、アルジネートなどの粉をふりかけ、実際に患者様に発音をしていただき、調べたものです。

患者様が発音しずらい言葉を聞いて、その部位を薄く削ってあげる、または、足してあげるなどをして差し上げてください。

タ行はわずかに舌が口蓋に当たる発音です。

ぜひ、参考にしてみてくださいね☆

 

※写真は8月4日に『リーゲルテレスコープ入門』を開催する、IPSG副会長、岩田光司先生から提供していただきました(^_<)-☆

岩田先生のセミナーはこのような有益な情報が沢山あります。
こちらも合わせてぜひ、よろしくお願いいたしますm(_ _)m 

▼セミナーの詳細はこちらから
https://www.ipsg.ne.jp/iwatatelescopepr/

▼セミナー参加のお申込みはこちらから
https://www.ipsg.ne.jp/seminar-apply/

 

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上下顎同時印象法

顎咬合学会 KaVo主催ランチョンセミナー

先日開催された、『顎咬合学会学術大会』KaVo主催のランチョンセミナーで稲葉先生が講演をさせていただいたので、ご報告させていただきます☆♪

『カボシステムによる上下顎同時印象法による究極の総義歯』

稲葉先生が開発した総義歯システムについて、動画を用いて講演させていただいたので、まるで、患者様の治療を実際に見ているようでした(^_^) 


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今回のランチョンセミナーは東京国際フォーラムのB7という会場で、600名座る事ができる一番大きな会場です。


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400名分のお弁当のチケットもすぐに売り切れて、大盛況でした!

ひとつ、2000円のお弁当だそうです〜 


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こんな大きな画面で素晴らしい会場でした。 


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なかなか素敵です。


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後ろからも写してみました。 


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上下顎同時印象法の製作手順を説明中です。 


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動画も沢山大画面でご覧いただきました☆♪ 


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そして上下顎同時印象法についてもすべて動画でご覧いただきました。

印象材の量がポイントですね☆


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稲葉先生の総義歯は、KaVoのプロター7咬合器を使ったシステムです。  


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配列、そして試適です。 


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重合はイボカップシステム。

この重合方法を越える精度のものは未だにないと言ってもいいでしょう。


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そして完成です!!

ご来場いただいた先生方、本当にありがとうございました。  


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KaVoのブースの様子です。

ブルーのユニフォームがとっても鮮やかで素敵でした☆ 


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宣伝もばっちり(^_^) 


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KaVoのユニットの前で・・・ 

左から、IPSG名誉会長、大石尭史先生、稲葉先生、則子夫人、私、田嶋健先生、慶子夫人です☆♪  


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前日に『上下顎同時印象法による総義歯』のテーブルクリニックも開催されたのですが、本当に沢山の先生方にいらしていただきました。開始30分前にすべての椅子が埋まり、一時間以上の講演をずっと立ちながら熱心に聞いてくださっている先生方を見て感激しました。 


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テーブルクリニック終了後も、熱心に質問をしてくださっている先生方。

やはり、総義歯が見直されていること、その必要性を実感します。 


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IPSG技工インストラクターの岡部さんにも、一生懸命対応してくださいました。 


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今回、感じたのは若いドクターやテクニシャンの方々が非常に総義歯に興味を持ってくださっている事。

稲葉先生に直接、いくつもの質問をされている様子も新鮮でした。

これから若い先生方にどんどん覚えていただきたいと思います☆♪ 

やはり、こんなに素晴らしい総義歯のシステムは他にはないと思うので、どうにかして広めていきたいです。

ご来場いただいた先生方、そして全力でサポートしてくださったIPSGスタッフの皆様、KaVoの方々本当にありがとうございました!! 

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上下顎同時印象法

2013『総義歯の基礎と臨床』開催されました【後半】

前半に引き続き、後半をお届けいたします(^_^)

今回、発売された「ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ」の動画をご紹介させていただきながら製作の流れをお伝えさせていただきました。


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上下顎同時印象法による総義歯の利点は、咬合採得、ゴシックアーチ描記、フェイスボートランスファー、上下顎印象がわずか1回で行う事ができるため、合理的であると同時に来院回数を減少することが可能になることです。

そして、咬合採得した位置で印象採得を行うため、理想的なバランスを採る事ができます。

印象中に嚥下が可能なのは、このシステムでしかできません。

印象を採っている状態でフェイスボートランスファーを行うので、誤差も生じません。

人工卯は頬舌的に筋圧のバランスのとれたところに配列できるため頬筋のサポートを得る事ができます。

サブリンガルルームを利用することで、顎舌骨筋窩まで延長する必要がないので発音、嚥下が行いやすい 事も大きな特徴です。

顎舌骨筋窩は使わない理由は、舌の機能が失われる事、また発音ができないことが挙げられます。

フェースボーは体のアライメントを咬合器にトランスファーするものです。

咬合器に対して3次元的なものを決めてあげないといけません。


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こちらは、アキュートレー(Ivoclar社で販売しています)で採ったスタディーモデルです。

サブリンガルルームを意識的に印象できる優れたトレーです☆  


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そして、SIバイトトレー。

SIバイトトレーの開発により、咬合採得の作業が本当に楽にそして綺麗になりました。

総義歯以外の少数歯欠損症例にも応用できるので、ぜひ使っていただきたいと思います。 


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こちらが、上下顎同時印象を行うための個人トレーです。

上唇小帯と下唇小帯の一番低いところ、日本人で40ミリ、小さいお顔の方で38ミリに合わせればだいたい決まります。

真ん中のネジはフェイスボートランスファーをするためのものです。 


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こちらは咬合面上でのゴシックアーチ描記です。

真ん中だと、舌がじゃまになってしまうため、咬合面で記録しています。 

患者様にSIトレーを試適し、印象をとる前にゴシックアーチの描記をします。

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ゴシックアーチの後、いよいよ、上下顎同時印象です。ガンタイプのシリコン印象材を注入し、口腔内すべての情報をとります。

このシステムは、嚥下をすることができます。

嚥下により、患者様が食事をして飲み込む状態の印象がとれるということです。

  
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 フェイスボートランスファーです。 

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咬合器に再現したところです。

後ろからみて翼突口蓋縫線がつながっているのかを確認するだけでも顎位の確認になります。

ハーミュラーノッチの印象は辺縁封鎖するため、絶対にとらなければいけないポイントです。

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上下顎同時印象による、模型です。

沢山の情報がこの中にぎっしり入っています。

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旧義歯と比較しても、こんなに大きさが違うのがわかります。

旧義歯の状態では、まったく辺縁封鎖がとれていません。 左右のバランスが違うのも一目瞭然です。


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このピッチングテスト・・・

前半にお伝えさせていただいた、ギージーの動画とそっくりですね(^_^) 


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そして、患者様と一緒に、装着直後にお食事です。

前歯で患者様がこんにゃくや、お肉を噛み切れるかどうか、みんなで見る・・・

なんていう実習は他には絶対ないと思います。

もちろん、患者様はお弁当、完食されていました(^_^) 


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さらにこのシステムを応用し、オーラルディスキネジアや、脳卒中後の麻痺のある患者さんに対してよい成績を上げています、顎関節症を伴う総義歯患者においてもよい成績をあげています。 


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最後に先生方の質問にも詳しくお答えさせていただきました☆ 


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今回初参加の小西浩介先生です。


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そして、技工士の松浦秀亮先生。

稲葉先生の総義歯システムに感激したとおっしゃっていただきました。

セミナー終了後の懇親会も開催されました。


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セミナー終了後、かなりリラックスしている状態です。

来月、7月13.14.15日はいよいよ『総義歯ライブ実習コース』が開催されます。

『総義歯ライブ実習コース』の詳細はこちらです!!

総義歯ライブ実習コース   

▼IPSGのセミナーの一日を追った1dayレポートはこちら
(IPSGのセミナーの雰囲気がわかるかと思います☆)

IPSG1dayレポート 

 

 

 

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上下顎同時印象法

2013『総義歯の基礎と臨床』開催されました【前半】

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

6月23日『総義歯の基礎と臨床』セミナーが開催されたのでご報告させていただきます。

今回も全国から先生方にお集りいただきました。

ほとんどが、稲葉先生の総義歯のセミナーを初めて受講される先生方で、色々な視点から学んでいただけたと思います☆

内容盛りだくさんだったので、前半、後半の2回にわけてお伝えいたします(^_^)


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私たちは、総義歯の患者様をいかに少なくするか、ご自分の歯で噛んでいただけるように、できるだけ総義歯になるのを食い止めなければいけないということを常に意識しなければいけません。

総義歯とは、今までの歯科医療の敗北だということをわかっていただきたいと思います。 

歯が無くなるという事は、保存ができなかったということです。 

最近、介護食の宣伝は、舌でつぶせる。歯肉で噛める。

というものばかりです。 

介護食でこのような宣伝がある限り、歯科医療の敗北としか言えないと思います。 

残念ながら、歯をすべて失ってしまった方は大勢いらっしゃいます。 

歯を失ってしまった方に、保険の義歯は問題外です。

安い義歯を作らされるしわ寄せは、ラボにいっています。  

日本の保険制度の一番良いところは、自費診療ができること。

保険の義歯は限界があります。 

最善の知識と技術を提供できる技術を今回先生方に身につけていただきたいと思います。 


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日本の総義歯の技術は実は非常に古く、1583年に作られています。

当時としては長寿の74歳で往生した紀伊・和歌山の願成寺の草創者・仏姫の拓殖の木から作った木床義歯です。

当時は現在のように優れた印象材や模型材もなく、咬合器もない時代に、適合性に優れ、噛める義歯を作ることができたものであると、感心してしまいます。

当時の義歯の製作方法を調べてみると、非常に合理的であり、仏教芸術の伝統を受け継いでいることがうかがえます。

その製作法の鍵は、蜜蠟を使った印象採得と咬合採得を同時に行うことです。

これは蜜蠟を鍋で温め、それを一塊として患者さんの口腔内に入れ、咬合位を決定した後に口腔内の形を採得するというものです。

一塊にしたものを上下顎に分けたのであるから、正確な咬合位の再現が化のになるのは当然です。 

稲葉先生は日本の歴史から総義歯を学び、上下顎同時印象ができる方法がないかずっと模索していました。

そしてガンタイプの印象材が開発されたのを機に、最終印象を上下顎同時印象をする方法を開発します。 

BPSではスタディーモデルを上下同時に印象をしていますが、最終印象ではありません。

稲葉先生の総義歯は、世界最古の木床義歯による上下同時印象、そして化石の原理が原点です。

化石は一つのものを二つに割っても、必ずもとに戻ります。

一個の石をふたつに分けると魚の化石とプリントされた陰型が現れますが、重ねると必ずひとつに戻ります。

総義歯も一緒でひとつの印象を咬合器上で、ふたつに分け、最後に戻すという考えです。

これまでの総義歯はギージーによる歯槽頂間線法則が基本となっていました。 

ですが、歯槽頂間線法則では上顎の頬側のサポートができません。

上下顎同時印象をすると、デンチャースペースが再現できるので、頬側のサポートが可能となります。 


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従来の総義歯のウィークポイントについて 

  1. 患者自身の筋圧で印象不可能
  2. 平均した圧力で印象できない
  3. 機能時の口腔周囲筋の印象が不可能(フレンジテクニックはかなりラフです)
  4. 嚥下ができない
  5. 上下別々に印象を採得するため誤差を生じる(翼突口蓋法線が伸びてしまいます。義歯の脱落の主なものは粘膜面にエアーが入ってくることで、上顎は口蓋からはずれます。上顎の口蓋は封鎖がむずかしいからポストダムをつけ、下顎は臼後三角までしっかり伸ばします)
  6. 来院回数が多くなる
ということが上げられます。
 


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上下顎同時印象法を行って、総義歯を製作するシステムの利点はつぎのとおりです。

  1. 咬合採得、ゴシックアーチの描記、フェイスボートランスファー、上下顎同時印象をわずか1回で行うため、合理的であると同時に来院回数の減少が図れる。
  2. 咬合採得した位置で最終印象を行うため、顎位の誤差を生じない。
  3. 印象採得中に嚥下を行わせるため、口腔周囲筋の印象採得が可能である。
  4. 最終印象をフェイスボートランスファーし、咬合器に付着できる。
  5. 印象面に口腔周囲筋、口唇、舌の形態を再現することができる。
  6. ニュートラルゾーンに人工歯を排列できる。
  7. サブリンガルルームを利用することにより舌による良好な維持が期待できる。床を後舌骨筋窩まで延長する必要がなく、舌の動きを阻害することがない。
  8. イボカップシステムの応用により重合収縮を補正し、適合が良好なため、ウォーターフィルム減少を得ることができ、維持がよい。
  9. 顎堤が極度に吸収している症例でも、頬筋、口唇、舌の維持ができる。
さらにこのシステムを応用し、オーラルディスキネジアや、脳卒中後の麻痺のある患者さんに対してよい成績を上げています、顎関節症を伴う総義歯患者においてもよい成績をあげています。
 


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咬合採得は今までは蝋堤でやっていました。

最近、開発したSIバイトトレーを使うようになってから、咬合採得なんて面倒くさい事やる必要がなくなりました。

と稲葉先生(^_^; 


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そして、 昨年に引き続き、今回も、近代総義歯学の基礎を築いた、スイスの歯科医師のAlfred Gysi(アルフレッド・ギージー)の歴史を勉強しました。

Gysiはカンペル氏の平面のコンセプトを作ったり、 シンプレックス咬合器、トゥルバイト人工歯の開発など、沢山の業績を残しています。

今回、90年前の『ギージーフィルム』(和田精密技研)をご覧いただきました。


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ピッチングテストの様子です。 


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ギージーが咬合器に付着している様子です。


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切歯路角を調整しています。

90年前の総義歯の制作方法、今はどうでしょうか。

これ以上の総義歯を作っていますか?

せめて、これを超えないといけないと思います。

ということで、後半に移ります〜♪ 

 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

2013 『ハーモニックオクルージョン』開催されました☆

 IPSG事務局、稲葉由里子です。 

2013年5月26日、『ハーモニックオクルージョン』〜審美と咬合のハーモニー〜が開催されたので、報告させていただきたいと思います☆

今回は、初めてご参加いただいた方が5名、そして学生さんの参加もありました。 

全体的に年齢層が若めな感じでした(^_^)  


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最初に

“Functional Occlusion From TMJ to Smile Design” 

Peter E.Dawsonの書いた本の話をご紹介させていただきました☆


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『ハーモニックオクルージョン』審美と咬合をハーモニーさせるには、顎関節と筋肉、そして前歯の誘導が必要です。

セラミックで、全顎治療をすることが審美歯科ではありません。

審美と咬合、機能のハーモニーそして、顎関節との調和がとれて初めて、審美歯科と呼べると考えます。 

Dawsonも、審美歯科にはオクルージョンの知識が必要だと、本の中で書いています。 


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〜アンテリア・ガイダンス 〜

下顎運動を決定する要素は、前方決定要素として前歯のガイドと後方決定要素として顎関節です。

下顎偏心運動の際、臼歯の接触を避け、側方力が加わらないように、側方力に強いと言われる前歯にガイドをさせて、臼歯を離開させ、咬耗や破折を防止する役目を持たせることが必要です。

この前歯のガイドを『アンテリア・ガイダンス』と呼びます。

角度を強くすれば、顎関節にストレスがかかるし、前歯のガイドを失えば、臼歯でのガイドとなり、咬耗や顎関節症を生む原因ともなってしまいます。

そのため、日本人の中切歯歯冠形態、顆路角と歯牙路がどのような関係にあるのか知る必要があるため、日本歯科大学補綴科助教授時代、当時の学生さん50名を計測して発表した論文を発表しました。

今回お話させていただいた事をもとに、アンテリアガイダンスをつけて頂きたいと思います。

日本人の平均を知っておく事は非常に大切だと思います。 

そして、咬合器を使う事は必須となります。 


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それぞれの咬合器の特徴についても、詳しく説明がありました(^_^) 


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「私がドイツチュービンゲン大学に客員教授として在籍していた時、遠い地の果てから来た、背の小さい日本人はあまり相手にされませんでした。」

と稲葉先生。

「でも、医局の中で誰も扱えなかったスチュワートの咬合器を扱う事ができたことで、先生達の目が変わりました。咬合器の事を先生達に教えることになり、それからProfessorと呼ばれるようになった思い出の写真です。」


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スチュワートの咬合器は、矢状顆路角、側方顆路角、イミディエートサイドシフト、シフトアングル、顆頭間距離、すべて調整できる、全調節性咬合器です。 


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審美の分析についても詳しく話しがありました(^_^)

アピアランスガイドについては昨年のセミナーのご報告の中でもご紹介させていただいているので、よろしければご覧ください☆

昨年のセミナーの模様

今回、学生さんもいらしているので、稲葉先生から質問

「咬合平面って知ってる?」

「・・・・」

「Occlusal Planeは、下顎切歯の切歯点と左右の7番遠心頬側咬頭頂、3点が作る面ですね(^_^)」

と、基準線、面についてもやさしく説明がありました。


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全顎補綴の印象法でぜひ覚えていただきたいのがこちら。

ドイツ、マールブルグ大学のLehmann教授が開発した、コレクトア・アップドュルック(精密印象)です☆

ドイツでは寒天印象ではなくほとんどが、シリコン印象です。

詳しくは、IPSGのFacebookページでご覧頂けます。  

コレクトア・アップデュルック 

寒天印象で、下顎の全顎印象はとても大変だと思います。

すごく簡単で、ポケットの中、根分岐部まで綺麗にとれてしまいます。

私もほとんどこの方法です(^_^)  


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こちらは、以前、私がドイツの技工所を見学した時にみせていただいた仕事です。

先生方が一度セラミックを焼いてみる。

というのもいいと思います。

どれだけ大変で繊細な仕事かわかりますし、患者様にも何が違うのかを説明することができます。

今回お伝えさせていただいたのは、ほんの一部で、まだまだ稲葉先生は沢山の引き出しを持っています。

毎回新しい気づきが必ずあるので、ぜひまたご参加いただきたいと思います。

ご参加された先生方から感想をいただきました☆

*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。

■ “審美眼”を養うには一朝一夕の知識だけでは無理だと改めて感じました。先生の知性、知識、教養にただただ圧倒されました。今日は学びのきっかけとなりました。また是非参加したいと思います。有難うございました。 

先生が最初にお話しされた様に審美のセミナーというと、材料学メインの内容がほとんどだと感じていました。歳をとっても白くキレイな口元というのも素晴らしいのですが、加齢と共にある機能美というものもあるとは感じていましたが、咬合学はなかなかとっつきにくく、後回しになっている自分がいました。稲葉先生のお話から機能美とは?そして咬合学を勉強するきっかけとなればと思い、今回参加することにしました。

イリュージョンのお話、面白かったです。新しいことが沢山で帰りの電車で悩みそうです。難しい話が多かったですが、楽しく受講することが出来ました。基本的な知識をしっかり学び、他にも歯科だけでなく色々なことに目を向けていこうと思いました。 

■ “前歯と顎関節の誘導によって咬合面の形態が決定される”これは大事な慣用句だと思います。すなわちハーモニーですね。“医療は個性美である”いい言葉ですね。明日から実行しようと思うのは、アピアランスガイドを記入します。この次は「咬合治療の臨床」を受講したいたなと思いました。

総義歯の考え方から噛み合わせを見ていくと、歯が萌出してくるにはそれなりの理屈があり、理想に近づけるためにどう咬合育成して(子育て中)いったらよいか。ハーモニックオクルージョンの一考察としてお話して頂けたら幸いです。また乳歯咬合は正常な永久歯咬合を作っていくにはどうあるべきか稲葉先生のお考えを聞きたいです。

審美歯科を行う際、単に見た目だけでなく、エステティックとファンクション両方を考えて顎関節までを考慮にいれた治療をしなければならなかったことがよくわかりました。美の追求、理にかなったアートだと思いました。歯科とはちょっと違った角度から美を学べて楽しかったです。有難うございました。

動物や人類の進化も考慮にいれた理論の組み立て、説明に今更ながらおどろきました。深い洞察力から生まれる学問の検証等あらゆる要素を包含した理論体系をもっと学びたいと思いました。審美的法則性など他では絶対に聞けない内容でした。顎関節も治してしまう全顎審美補綴はすばらしい内容でした

3回目の受講です。今回も大変勉強になりました。今後に役立て正しい歯科治療をしていきたいと思います。今日は有難うございました。

同じ議題でも毎回新しいことが学べて出席する価値があります。

“前歯と顎関節の誘導によって咬合面の形態が決定される”これは大事な慣用句だと思います。すなわちハーモニーですね。“医療は個性美である”いい言葉ですね。明日から実行しようと思うのは、アピアランスガイドを記入します。この次は「咬合治療の臨床」を受講したいたなと思いました。

審美眼を養うことは歯を見る。口をみる。身体を見る上で重要だと思いました。人間ウォッチングをしていきたいと思います。 

*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。

ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました☆

次回6月23日は『総義歯の基礎と臨床』です!

詳細に関してはこちらをご覧ください。

↓↓↓ 

『総義歯の基礎と臨床』  

沢山の先生方からのご参加お待ちしております♪

 

 

  

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【IPSG包括歯科医療研究会】

『顎関節症の臨床と治療』稲葉繁+IPSG副会長岩田光司コラボセミナー【後編】

前編に引き続き、『顎関節症の臨床と治療 稲葉繁+IPSG副会長岩田光司コラボセミナー』の模様をお伝えいたします☆

後半は、IPSG副会長、岩田光司先生のセミナーです☆♪

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岩田副会長は学生時代から稲葉先生のもとで勉強し、日本歯科大学卒業後、当時の稲葉先生の高齢者歯科診療科、総合診療科の医局員としてずっと支えてきてくれました。

稲葉先生の診療を忠実に守り、実践されている、稲葉先生の弟子です。 

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岩田先生のセミナーの内容、本当に素晴らしかったです。

今回、具体的な臨床例として4症例ありましたが、ひとつひとつ大変奥が深く、沢山の学びがありました。

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顎関節のクリック音がでるメカニズムや、下顎頭の動きとディグマの動きを連動させたパワーポイントは、本当にわかりやすく、目からウロコでした。

ベネット運動
イミディエートサイドシフト

などについても説明がありました。

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また、てこの作用についても、作り込まれたパワーポイントは、また稲葉先生と違った視点から学ぶことができ、大変勉強になりました。

また、症例の中に、沢山の動画を盛り込んでありました。

患者様の治療後のインタビューで、

「動画、診査した内容をこうやって目視してみせもらえたことで、感激しました。

岩田先生に、診断していただいたことで、体のメンテナンスは大事だと思いました。」

とお話しされていました。

患者様は素人です。

歯科医師が、きちんと伝えることの重要性も理解できました。

私が大変びっくりしたのは、

治療前治療後のディグマのデータが、まった別人の顎の動きのように、オクルージョン、咬合調整で変わってしまったことです。

これは、とってもすごい事だと思いました。

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パワーポイントがとにかく綺麗で素晴らしいのに加え、岩田先生の臨床精度の高さにはびっくりしました。

頭位および顎位の変化が重心に与える影響、咬合器の精度実験なども話があり、興味深い内容盛りだくさんでした☆ 

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最後に、稲葉先生から、顎関節の解剖の動画を用いた説明がありました。

雑音時、やクローズドロックで円板が詰まっている、前方転移の状態の動画なんて、なかなか見ることはできません。


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しかも、稲葉先生の解説付きです。

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クローズドロックのマニュピレーションの方法を、やはり、実際の患者様の症例でご説明させていただきました。

「咬合調整は、関節の調整です。関節の理想像を作るための咬合調整です。咬合診断は円板にのせてからする。ということを覚えていただきたいと思います。」

 

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チュービンゲン大学独特の検査方法、レジリエンツテストです。

関節円板の脱落を検査する方法です☆

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質疑応答では、中心位の具体的な採得方法について、デモがありました。

北海道大学の小畑先生がモデルになってくださいました(^_-)-☆

稲葉先生、小畑先生のお口の中を全く見ていないのに、中心位を触っただけで、

「上顎の臼歯の舌側内斜面に干渉があるね」

と(@_@;)

「その通りなんです!インレーを一年前にいれました。」←小畑先生

ということで、本当に盛りだくさんのセミナーで、先生方には大変満足して頂けたのではと思います。

先生方の感想を一部お伝えいたします。

*:..o゜・:,*:..o*:゜・:,*:.o゜・:,

◆咬合調整の目的は、顆頭一関節結節を密着させるように1級のテコ⇒3級のテコに調整し、理想的な関節の状態にすること。今日、最も勉強になったことでした。

◆非常に勉強になりました。顎関節の動画、症例の動画などイメージが湧きやすくなると思いました。しっかり復習して咬合診断コースが受講できるようにしたいと思います。そこからテレスコープや総義歯も受講できればと思います。有難うございました。

◆大変貴重なお話有難うございました。知識不足もあり周りの先生より理解ができていないので一緒に受講した院長、副院長に復習してもらいたいと思います。中心位やロックの外し方なども今まで曖昧だったものに対しての考えを深めることができたのでとても面白かったです。

◆今まで顎関節症の患者さんはお手上げでした。明日からすぐ実践というわけにはいきませんが模型をプロターに装着することから始めたいと思います。とても勉強になりました。有難うございました。

◆自分の不勉強なところがまたはっきりしたように思います。「咬合干渉」について実際に臨床にいかせるこほどまだ知識がないのでまだまだ勉強していきたいと思います。IPSGには総義歯やリーゲルなど興味深いものがたくさんあるのでもっと勉強していきたいです。

◆顎関節症を知ることで咬合のことも今までぼやけていたこと所がわかってきました。もっと知りたいと思いました。ありがとうございます。

◆セミナーは何回目かですが、同じようでまた新たな知識が得られた気がします。

◆非常に素晴らしい講演を有難うございました。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

◆ポイントのつまった素晴らしい講義でした。

◆症例がたくさん見れ、大変勉強になりました。反復して学ぶことで新たに気づきが沢山ありました。今日は有難うございました。

◆「一番印象に残ったこと」→中心位採得時には下顎の筋反射を利用すること。オトガイと斜めから下へ刺激する方法で誘導する方法を明日からやります。 「明日から実行しようとおもったこと」→レジリエンツテストもやります。

 

 

 

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【IPSG包括歯科医療研究会】

『顎関節症の臨床と治療』稲葉繁+IPSG副会長岩田光司コラボセミナー【前編】

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2013年3月3日、『顎関節症の臨床と治療 稲葉繁+IPSG副会長岩田光司コラボセミナー』が開催されたので、ご報告させていただきたいと思います。

とてもボリュームのあるセミナーだったので、前半と後半に分けてお伝えいたします☆♪

現在、日本では顎関節症はオクルージョン(咬合)とは関係ないと言う風潮があります。

アメリカのA.A.O.P(アメリカンアカデミーオブオロフェイシャルペイン)という団体が、顎関節症における咬合の重要性が低くなったと伝えたことに影響されているものと思われます。

本当にそうなのでしょうか?

ヨーロッパでは顎関節症とオクルージョンの論文、書籍が沢山でています。 

ドイツでは、マールブルグ大学の、lotzmann教授、オーストリアではウィーンのSlavicek教授もオクルージョン(咬合)からのアプローチで、顎関節症を治療しています。

ヨーロッパでは、顎関節症とオクルージョン(咬合)は密接に関わっていることを前提としています。

咬合と顎関節症は関係ないからとして、

ただ単に、口の中をみる。模型を手で合わせて異常なし。

なんてことは本当にナンセンスだと思います。

フェイスボートランスファー、スタディーモデルもとらないで咬合は関係ないなんて、決してありえないと感じます。 

稲葉先生は、40年間の臨床経験で、咬合からのアプローチで顎関節症の治療を行ってきました。

今回のセミナーではまず、どのような経緯で稲葉先生が治療を行ってきたのかという話がありました。 

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これは世界で最初のワインのコルクで作られたスプリントです。

否定はされていますが、関節を下にさげるという、コステンのアイデアはすごいと思います。

◆咬合を念頭においた顎関節症に対する考え方の変遷

●1930年代のCosten Syndromeは低位咬合による顆頭偏移が難聴をはじめとするさまざまな症状を引き起こし、その治療法として咬合拳上が有効であるという考え方が受け入れられました。

●Schuylerをはじめとして、ただ画一的に咬合拳上するのではなく下顎運動時の影響を重視し、昨日的に咬合を考える人もいました。

●咬合を単に器械的にとらえるだけでなく、顎機能あるいは歯周病との関係を重視した生理的咬合の考え方を主張する術式は、Ramfjord,Posselt,Krogh Poulsen,石原などの傑出した学者を生みました。

●1970年代に入ってLaskinの影響を受け、咬合が軽視され、筋機能障害が重要視されましたが、Farraerは臼歯部の咬合支持の欠如が関節円板障害の原因として重要であることを強調しました。

●1970年代から80年代にはWeinberg,Gerberは顆頭偏位と咬合異常に関するX線的研究が発表され、クリッキングやロッキング症状として現れる顎関節内障が注目を集めるようになりました。

●1980年代は顎関節内障全盛となり、CT、MRIを使った診断技術が向上しました。

●1990年代になってふたたび咬合異常が軽視され、疼痛を重要視するようになりました。これに対し、日本、ヨーロッパでは顎機能障害の病因として咬合異常を重視する考えで、確実に診断方法が進歩しています。
現在ではストレスや習癖を考慮した合理的咬合治療がおこなわれています。

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Niles F.Guichet、(ギシェー)は稲葉先生が崇拝する先生です。

ギシェーは、1957年Arne Lauritzenより咬合に関する疾患と治療法について学びました。その後Charles E.Stuartの門をたたき、咬合について特に顎運動の精巧さと顎運動が咬合面に与える影響について深く学ぶことになります。

時を同じくして、John Woehler,L.D.Pankeyに影響を受け、歯科治療を見極める目を教えられました。
その他D'Amico,Earl Pound,Peter Neff,Parker Mahan,P.K.Thomasら多くの方々の影響を受けました。
そのためこれらの人の考えをまとめ、Guichetの理論を作り上げました。
その結果、
1.咬合の各学派の考え方をうまく取り入れた理論です。
2.常に実践的です。
3.咬合理論の統合と普及を行いました。
4.咬合病の考え方を発表し、咬合と姿勢、筋骨格系との関連をさせたこと、X線診断を関連付ける業績を残しています。

Dener Mark Ⅱ・D4H・D4A・D5Aの開発者でもあります。

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「この写真は、実際に私がギシェー先生の実習を受けた時のものです。」 

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左上の写真は稲葉先生が、ドイツ留学時、カールスルーエで、P.K.Thomas のワックスコーンテクニックの実習を受けた写真です。

葉巻をくわえ、ウィスキーをグイっと飲みながら実習していました。

彼はハリウッドで開業していて、バチカンで聖母マリアのキリストの腕が、折れてしまい、彼は財を投げうって修復したことでも有名です。

そしてその右は、クローポールセン先生です。

彼からは筋触診法を学びました。

右下はジャンケルソン先生。

やはり、ドイツに留学していたときにフライブルグ大学で研修を受け、マイオセントリックの概念を勉強しました。

左下は、ラウリッツエン先生。

ナソロジーを学びました。

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チャールス・E・スチュアート先生は、アメリカでナソロジーの開祖として有名な人で顎の運動と歯の形態などのナソロジーの基礎を勉強し多くの影響を受けました。

スチュアート先生の実習は全部で3回受けました。

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こちらは、スチュアート先生の奥様の口の中の写真です。

アンテリアガイダンスがきちんと付与されていたそうです^_^

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こちらが、稲葉先生がドイツへ留学することになった大きなきっかけとなった論文です。

チュービンゲン大学の口腔外科、シュルテ教授の論文で、大変衝撃を受けたと言います。

素晴らしい内容で、シュルテ教授の講義を受けたくて、チュービンゲン大学に留学した、稲葉先生。

朝8時から夜の9時まで毎日2週間、顎関節症のレクチャーを受けました。

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こちらは、チュービンゲン大学独特の顎関節症のスプリント、Tuebingerintersepterです。

この他にも、てこの原理や、シュルテ教授の顎関節症のフローチャートなど、盛りだくさんの内容でした。

後編に引き続きます!!

 

 

 

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ラビリントレーナー

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その4】

◆摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その4】

ということで、今回は、哺乳瓶の弊害についてお伝えしたいと思います。

間違った種類の哺乳瓶を使うことにより、 舌が間違った飲み込み(嚥下)方法を脳に記録してしまう・・・

それにより生じる、歯並びの異常、発音の異常が生じることについてなど、お伝えしたいと思います☆♪ 

ラビリントレーナーが開発された、原点の話です。

☆ 彡:・;.*:・。゜゜・:゜*:。゜.*。゜.o。・。゜。o.゜。・*。・゜.。☆彡

発音の悪さが目立つ時代

近頃テレビを見たり、ラジオを聞いていると、発音の悪い人が目立って多くなってきた気がします。

それも戦前、戦後の食糧事情があまり良くない時代に育った中高年の人には見られず、景気回復の兆しが現れてきた昭和30年代以後から飽食の時代といわれる現代に生まれた人たちの中に多く見受けられます。

最近の若い人、アナウサーやキャスターでさえも発音の悪さが目立っているのはなぜでしょうか。

「サシスセソ」と「タチツテト」の発音が区別できず、甘ったるいような、聞き取りにくい発音をしている人がいます。

このような人を気にしてみていると、例外なく歯並びが悪かったり、オープンバイト(前歯が開いている噛み合わせ)である人が多く、特に前歯が叢生(歯並びが悪い)で、犬歯が八重歯になっていて大変気になります。

このような歯並びの状態の人たちは、ただ単に見た目が悪いと言うだけでなく、将来審美性の問題や顎関節症の治療の必要性を抱えた潜在治療困難患者であり、将来必ず歯科治療を希望して来院することが予想されるからです。

哺乳瓶の歴史は100年

人類の進化過程では、自然環境の中で生活し、食糧も動物を捕獲したり、植物を採集し、自然の食物を摂取してきました。

人工的に食物が栽培されたり、家畜が飼われて、それを食糧として生活したのは農耕文化が入ってきた縄文時代以後のことでしょう。

前期弥生の農耕民の遺跡から、親子の牛の遺体が発見されています。土師器文化期になると家畜の飼育が盛んになっていることから、1400年前には牛乳の飲用が行われていたと考えるのが妥当だと考えられます。

そこでは、子どもを育てる場合には母乳による保育が行われていたことは当然ですが、家畜から乳を母親代わりに与えたことも考えられます。

牛乳の与え方も、器から直接飲ませたり、匙のようなもので与えたのではないかと想像されます。

粉ミルクを哺乳瓶で飲ませるのが一般に広まっていたのは戦後になってからのことです。

牛の乳を哺乳瓶を用いて飲ませるようになった歴史は比較的新しく、1897年(明治30年)前後にオランダ製口吹ガラスのものが、ごく一部の人に使われたのが最初と言われます。

それまで竹の筒におかゆ等を入れ、飲んでいました。

進化過程を再現する胎児

宇宙の惑星である地球上に生命が誕生したのは、今から40億年前にさかのぼります。

太陽からの紫外線を避けて、海中に原生動物が誕生し、その後デボン紀に硬骨魚類が生まれ、進化をした魚は両性類として陸に上がってきました。

その後、爬虫類が生まれ、哺乳類が出現しました。

ドイツのヘッケルは「個体発生は系統発生の繰り返しである」という設を唱えました。

それは、卵から発生が進んで成体に達するまでの過程は、その生物が辿ってきた進化の過程を短時間で再現している、というものです。

母親の胎内で一個の卵子と精子が結ばれ、受精卵ができ、生命への第一歩を迎えます。

その後、母親の羊水の中で39週間を過ごし、その間12~15週間には、羊水を飲み始めると同時に、生まれてから母親の乳頭に吸い付くための準備運動である指しゃぶりを始めます。

このことは最近の超音波診断器の発達により証明されています。

うまれてからは、しばらくたつと手と足を使い上手に腹這いを始め、高這いを経て、体を浮かせ立ち上がります。

これは、生物の進化過程と同じ経路を辿っているように思います。

海水中の魚から両生類として陸へ這い上がり、爬虫類を経過して哺乳類となり、直立二足歩行が完成するのと同じということです。

お乳は、吸ってもらって初めて出る

人間の胎児は、哺乳動物としては未熟のまま生まれてきます。

つまり、大脳皮質が良く発達しているため、頭が大きく自力で立ちあがることができません。

そのため自分から母親のお乳を吸いに行くことができず、母親からの授乳により生命が保たれます。

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哺乳という行為は自然の摂理であり、赤ちゃんが乳頭を吸うことにより、下垂体から分泌される催乳ホルモン・プロラクチンによって乳汁が促され、積極的に授乳することで、十分な母乳が出てきます。

小児科医は

「お乳は出るから赤ちゃんに吸わせるのではなく、赤ちゃんい吸ってもらって初めて出るのです」と訴えています。

人間の進化過程で、現在のように人工的に哺乳瓶を用いて母親の代わりに授乳させてきた時代はなく、それは乳児の成長に大きな影響を与えています。

どんな乳頭の形態といえども、人間の乳首に勝るものはありません。

乳児期に良い歯列(歯並び)を作り出す大きながっしりとした顎を母乳により作り上げる必要があります。

母親の胸に抱かれての授乳は、生まれたばかりの赤ちゃんにとって最大の運動であり、額に汗を流しながら夢中になって母親の乳頭に吸い付き、疲れ切ってすやすやと眠りに入ります。

しばらくすると思い出したかのように再び吸い始めます。

この行為は口の周りの筋肉発達、歯並び、発音に非常に重要であり、誤った哺乳行動は、舌の機能障害を生む要因となります。

その結果、ディスクレパンシー(歯並びが悪くなる)を引き起こし、発音の悪さに大きく関わりあいがでてくるということです。

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国産のニップルは乳頭が長くて穴が大きく、空気孔もあり、努力しなくても乳が出ます。


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こちらは、ドイツのNUK社の乳首です。

母乳と似たような哺乳行動がとれるように設計してあります。

国産のものに比べ、空気孔は小さく、一生懸命吸わないとミルクがでないようになっています。

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こちらは、NUKのおしゃぶりを吸っている赤ちゃんです。

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ラビリントレーナー

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その3】

◆摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その3】

ということで、今回は、舌の正しい使い方、間違った使い方がなぜ生じるか。

そして、哺乳行動(赤ちゃんがおっぱいを飲む行動)と顎の発達

についてお伝えしたいと思います☆♪ 

ラビリントレーナーが開発された、原点の話です。

☆ 彡:・;.*:・。゜゜・:゜*:。゜.*。゜.o。・。゜。o.゜。・*。・゜.。☆彡

哺乳(おっぱいを飲む)行動と顎の発達の相関

以前、日本にしばらく滞在していたドイツの大学の歯学部教授から、

「日本の若い人には、犬歯が唇側転移している例を多く見かけるが、何故なのか」

という質問があり、かなり日本人の歯並びの悪さが気になっている様子でした。

欧州では、八重歯はお揃えいい吸血鬼ドラキュラの牙と同様に見られ、あまり良い印象を受けないために、そのような質問が出たのではないかと思います。

ドイツでは乳幼児の顎の正しい発達のために、Dr.MüllerによりNUKのニップル(哺乳瓶の乳首)が開発されました。

これは乳児の発達程度に合わせ、ニップルの大きさやミルクの出る穴の大きさを変えて使用できます。

この乳首の持つ機能は、母親の乳頭に最も近似していて、乳児が正しい舌の使い方をするとミルクが出てくるように設計されています。

正常な哺乳行動では、乳児は母親の乳頭を口にくわえ込み、乳首を舌先で強く口蓋に押し付け、数か所の乳管開口部から分泌される乳汁を飲み込みます。

そのとき、唇に力を入れて吸引しながら下顎はわずかな前後運動をすると同時に、舌は口蓋へ押し付けられます。

その結果、乳児は舌の正しい動きを学習し、口唇には力が付き、口蓋は広大し、歯の生えてくる十分なスペースを確保することができます。

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人工授乳においても、このような哺乳行動が行わなければ、正しい顎の発達は望めません。

NUKは、この点を考慮して開発されたものです。

つまりNUKのニップルでは、ミルクの出てくる穴が口蓋側にあり、舌で押し付けることにより、ミルクは口蓋鄒壁に沿って排出され、舌いっぱいに広がった後、飲み込むように設計されています。

同時に咀嚼筋(口の周りの筋肉)の発達を促し、口の周りの機能は正常に発達してきます。

適正でないニップルの弊害

通常市販されているニップルは、乳首が長過ぎ、そのうえ大きな穴が先端にあり、しかも空気の取り入れ口まであるために、哺乳瓶を傾けただけで自然にミルクが流れ出してきます。

こうしたニップルを用いた場合には、乳児の意思に関係なくミルクが出てくるために、乳児は何の努力をしなくても、ただ飲み込むだけでよいということになります。

この場合、乳児は舌を細長く丸めニップルを包み込み、自分の意思とは関係なしに出てくるミルクをストップさせるために前方に押し付け、ピストン運動をするように前後に動かします。

その結果、人生の出発点である乳児期に間違った舌の運動を学習してしまい、飲み込み(嚥下)運動の際、舌を口蓋鄒壁(こうがいすうへき)に押し付けることができず、前に押し出す癖を脳に刷り込んでしまいます。

このような癖を持った人が成長すると、不正な歯並び、それに伴う発音の異常、さらに顎関節症等、様々な症状が現れてくることが予想できます。

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飲み込み(嚥下)運動の際、口蓋鄒壁に舌を押し付けた場合には、舌は下顎側にあるため、下顎は後退し、顎がリラックスできる位置とほぼ一致するため、バランスが保つことができます。

逆に舌の突出癖がある場合には、下顎は飲み込みの回数に応じて前後に動きます。

通常、飲み込み(嚥下)は一日に600回から2000回といわれるので、この癖を持つ人では、正常者に比較して、下顎の前後運動に関与する筋の疲労が増すことが当然考えられます。

舌は下顎の水先案内の役目をしており、舌を前に突き出せば、それに伴って下顎は自然に前に出て行き、舌を側方にだせば下顎も同じ方向に移動します。

したがって舌の動く方向に下顎も移動することになります。

舌を突出させる飲み込み(嚥下)運動は正常な筋肉の使い方ができず、頬筋、口輪筋、オトガイ筋という口の周りの筋肉の緊張が強く現れてきます。

このようなアンバランスな筋肉の使い方の結果、臼歯は頬筋の緊張の影響で頬側から力を受け、歯並びは狭まり、前歯が広がり臼歯は内側に倒れてくる、Ωオメガ型歯列を形作ってしまうことになります。

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舌圧の研究

飲み込み(嚥下)をした時の口腔周囲の筋肉の圧力に関しては、舌側からの圧力よりも強いと言われています。

「正常咬合者と不正咬合者の上下前歯部における口腔筋圧の研究」という根津の報告によると、正常咬合者の場合、安静時には、上顎唇側圧平均7.2g/cm2、同舌側圧平均10.1g/cm2,下顎では唇側圧8.6g/cm2、舌側圧14.6g/cm2であり、上下とも舌側圧が唇側圧を上回っていました。

さらにつばを飲み込む時では、上顎唇側圧は60.0g/cm2、同舌側圧は123.2g/cm2で、舌の圧力が唇の圧力の2倍を示した興味ある結果を得ています。

この報告から、舌の力と唇や頬の力の不均衡が起きることにより、歯並びが悪くなることは容易に納得できます。

歯並びが悪い方は、飲み込み嚥下の際に上下の歯列の間に舌を突出させています。

「サ行「「タ行」「ラ行」の発音の際にも舌の突出が見られ、明瞭な発音の違いを区別できない結果となります。

このようにして、歯並びが崩れた治療に際しては矯正治療やかぶせ物の治療を行うことがしばしばありますが、見かけだけの修正という現象のみを治しても、その症状を現した原因を除去しなければ、発音の異常や口の周りの機能異常を治癒させることは不可能です。

「生命現象とは、内部環境を恒常に保つための努力である」といわれます。

生きている人間の心身は動揺しつつ安定を保っているものであって、もし恒常が破れて安定状態に戻ることができない程になったとき、それは病気となります。

そのため、人間の身体全体を考えたとき、どの部分から見てもバランスがとれ、左右・前後に偏らないことが理想です。

これは歯の位置についても同様です。 

 
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嚥下の際の舌は口蓋鄒壁に押し付けた後、舌背部を徐々に押し付けていきます。
◆根津論文(歯学学報より)

ラビリントレーナーは、このような舌の癖、飲み込む時の癖を、治すために、開発されました。

そして、発案後、様々な効果があることを発見しました。

次回も、歯並びや発音が悪くなる原因について、より詳しくお伝えいたします。

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【IPSG包括歯科医療研究会】

石原明先生マーケティングセミナー第5回開催されました☆

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2013年02月24日(日)石原明先生マーケティングセミナー第5回が開催されましたので、ご報告させていただきます。 

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毎回稲葉先生とのコラボとなっていますが、今回の内容はシークレットということで発表してなかったにも関わらず、沢山の先生にお集まりいただきました(^_-)-☆

稲葉先生が今回お話しさせていただいたのは、

稲葉先生がこ『れまで歩んできた歴史』、そして、『これからの歯科医院経営』についてです。

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最初の出発点を間違えないように。

ボタンの掛け違いをすると最後、終わるころに気づいても遅いのです。

なぜなら、出だしを間違えると50年間間違ってことをしてしまう。

なので、できるだけ、早い時期に質の高い治療を身に付けていただきたいと思います。

稲葉先生は、昭和39年、日本歯科大学の大学院に入りました。

当時、178名の中で大学院へいったのは8名だったそうです。

27番目(歯学博士)

というぐらい、大学院に残る人は稀でした。

当時は、歯科医師が少なく、朝6時から整理券をもらって何時間も待ち、行列を作り、実際の治療時間は3分。

何もしなくても、患者様は溢れていました。

日本中歯科医師がたりなくなってしまった。

7校しか歯科大学がなかったため、その後、国立大学ができ、29校になりました。

「昭和30年代の歯科大学は相当いい加減だった。」

と稲葉先生^_^;

歯科の雑誌も歯界展望、歯科評論ぐらいしかありませんでした。

なので、外国にでないとどうしても勉強できなかったと言います。

「勉強しようと思わなかったけれど、あまりにもいい加減だったので、どうにかしないといけないと思った」

ということで、稲葉先生は、文献を一生懸命読んで、海外へ出て行きます。

最初に興味をもったのはオクルージョン(噛み合わせ)と、顎関節症の治療です。

世界の巨匠から一次情報を得ることによって、下地を作ってきました。

昭和44年、稲葉歯科医院、開業。

当時は、大学に勤めていたので夜間開業をしました。

大学院のときは、成績は決してよくなかったといいます。

スピードスケートでは国体に3回でましたし、大好きなバイクに夢中になっていたそうです。

でも、その当時から、稲葉先生は保険治療を行っていませんでした。

そのころの患者さんがいまでもいらしていただいています。

歯科医師人生、最初の記録はずいぶん残しましたが、ゴールをこれからみようとしています。

と、先生たちにお話しさせていただきました。 

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稲葉先生が築いてきた、患者様とのコミュニケーションについて、お話しがありました。

◆患者様と、信頼関係を結ぶテクニック

  • 目標設定をする
  • 問題点の抽出
  • 情報収集
  • 学問的である
  • 相手に有利になる
  • 妥協と解決点
  • 同意と確認

常に、患者様に対して学問的に説明をさせていただき、患者様の有利になることを伝えることが信頼関係を結ぶのに非常に大切なことだと感じます。

反対に。

◆患者様との信頼関係がとれないミステーク

  • 出たとこ勝負
  • ギブアンドテークを無視
  • 脅迫めいた言動
  • 忍耐心がない
  • 感情的になる
  • 患者様の話を聞かない
  • 説得せずに議論してしまう
  • 対立反対を恐れない

ということだそうです

やはり、患者様の聞かないで、一方的に話をすることは、大きなミステークです。

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そして、先生方自身の自己管理も重要です。

この写真は、フィンランドを訪れた時に、保健所に貼ってあったポスターです。

『自己管理をしなければ、院長の信頼を失う』

なんて、ちょっと怖いですね(@_@;)

院長としての立場を考え、
リーダシップをとり、尊敬され安心して仕事にとりむめるよう自分自身を管理する。

良い趣味を持ち、仕事以外にライフワークを持つ(できるだけ、趣味は本格的にやる)

など、とても大切な話がありました。

その他にもおもしろい話が沢山ありましたが、この続きはぜひDVDをご覧ください☆♪

そして、次に石原先生にお話しをいただきました。

今回のマーケティングセミナーの内容は・・・

◆歯科医院の組織化とスタッフの教育

についてです。
 

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組織化?

ってなんだろう。

10人とか20人とか組織が大きくなったら考えるものなのかな・・・

ぐらいしか思い浮かばなかったので、

「何人からが組織なのでしょうか?」

と質問させていただいたところ、

「2人からです」

え~!!って感じで、急に他人ごとではなくなりました(@_@;)

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先生方は歯科医師としては一流ですが、経営や組織運営に関しては学んだことがないと思います。

先生方の歯科医院を取り巻く環境の中で、スタッフや組織がきちんと機能しているかどうかという事はとっても重要になってきます。

と、お話しをいただきました。

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石原先生のこのような組織化のお話しは、他ではまだしたことがないっておっしゃっていました。

「だから、みんなに内緒ですよ。」

って先生方に伝えている写真です^_^

お話しが終わった後、数人の方とすれ違いざまに聞いたコメントは、

「なんだか、自分がいい人になれそうな気がする。」

「今まで何やってたんだろう」

「これだけ、わかりやすく話すための石原先生の知識は計り知れません」

など興奮したご様子でした^_^

最後に岩田副会長が、

「あまりにもボリュームが大きすぎて、最初の方の内容を忘れてしまうぐらいでした」

というぐらい、お腹いっぱいの内容でした。

DVDで販売するのもちょっともったいないかなって思いますが、もしご興味がありましたら、やはり第1回から第6回全巻すべて見て、聞いていただきたいです。

そうでないと、今までの繋がりも見えないと思います。

以前、石原先生の『成功曲線を描こう』というセミナーを3年ぐらい前に受講したことがあります。

(みんな次の日から、人生が変わってしまうというぐらい衝撃的で、すごいセミナーです。)

私は、今回そのセミナーを受けた時と同じような感覚になりました。

次回第6回マーケティングセミナーでは、『医院のブランディング』について、お話しをいただく予定です。

4月28日 (日)です!

お申込みはこちらからお願いいたします☆♪

『石原明先生第6回マーケティングセミナー』

ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました(^_-)-☆