『顎関節症ライブ実習コース』〜その1〜に引き続き、
朝はやくからお集りいただき、先生方の熱心な様子が伝わってきました。
9時から10時まで、大画面モニターを用いて、実習形式で講義がありました。
大変重要な内容だったので お伝えしたいと思います。
前日にマニュピレーションをし、患者様の口を開けましたが、そうなった原因は取り除いていないので、また再発する可能性が高いです。
私たちは咬合診断により原因を突き止め、原因を治療することにより、再びロックしないように、口が開く状態を永続性があるようにしなければなりません。
咬合調整の目的は・・・
顎関節を考えた咬合調整をすること。
顎関節と円板をタイトにすることです。
ギシェーは顎関節を第4大臼歯と呼んでいるほど、咬合と密接に関わっています。
顆路とは側頭骨の関節窩に対して、下顎頭(顆頭)が関節円板を介して、顎が動いていく状態のことを言います。
その中で、下顎が前方に動いていく道を『矢状顆路角』といいます。
側方運動では、平衡側で矢状顆路角の前内下方を通ります。
これを『側方顆路角』といいます。
通常、この矢状顆路角、側方顆路角は咬合平面に対する角度で表し、咬合平面は、カンペル平面(補綴平面)とほぼパラレルであるため、カンペル平面となす角度としてとらえることができます。
ギージーは矢状顆路角は平均33度としています。
側方顆路角は矢状顆路角より、さらに内方を通るため、角度は5度程度急になります。
矢状顆路角と側方顆路角のなす角度を『フィッシャーアングル』と呼んでいます。
フィッシャーアングルは5度です。
さらに、これを水平面に投影した角度を『ベネット角』といいます。
その角度はギージーによれば、13.9度でありますが、ランディーンによれば、下顎の側方運動開始から4ミリのところで、サイドシフトとよばれる動きが現れます。
(これをイミディエートサイドシフトと呼んでいます)
最初の4ミリを超えると、差がなくなり、その平均値は7度で個人差はみられません。
側方顆路角の平均値は7度と覚えておくだけでも、大きな助けとなります。
●イミディエートサイドシフトとは。
下顎側方運動の際、作業側で下顎頭は回転し、平衡側では前内下方に動きますが、作業側の下顎頭は純粋な回転ではなく、わずかに側方に移動しながら平衡側は動きます。
したがって平衡側では動き初めに即座に作業側の方向に動きます。
これを『イミディエートサイドシフト』といいます。
この運動は、咬合面に描かれるゴシックアーチの形態に影響してきます。
中心支持咬頭(セントリックカスプ)の動き初めにその軌跡が変化しますので、中心位からの作業側、平衡側ともに干渉をおこしやすくなります。
そのため、中心位における運動の出だしを調整する必要がでてきます。
これを再現するためには、作業側顆頭の性質を再現できるような咬合器を使用することが必要です(^_<)-☆
咬合調整
◆BULLの法則
咬合調整の時に咬合紙の色が印記された歯が上顎と下顎どちらを削ったらいいのか悩むことがあります。
その時、どちらを削るのかという法則です。
ぜひ、模型をみていただいて、確かめていただきたいと思います。
● 非作業側→上顎では下顎歯の咬頭が通過できるよう。また下顎には上顎歯の咬頭が通過できるように、溝を形成します。
● 作業側→BULLの法則を適用します。
BULLの法則といいうことは、上顎(U)の頬側咬頭(B)、下顎(L)では舌側咬頭(L)を削るというルールです。
下顎の前歯の切歯点を結んだ三角をボンウィルの三角(10センチ)といいますが、最低でもこの大きさの咬合器でないといけません。
ボンウィルの三角と咬合平面(曲面)とのなす角はバルクウィル角(平均26度)ですね☆
「咬合診断を行うためには、このような基本をきちんと抑えておく必要があります。」
と稲葉先生。
基本をしっかりと抑える。
大切なことですね!!!