IPSG Scientific Meeting 2014 開催されました♪
会員の先生方の発表をご報告させて頂きたいと思います。
トップバッターは、稲葉歯科医院のホープ、佐藤孝仁先生です。
佐藤先生は稲葉歯科医院に勤務して3年、大変丁寧な仕事をされ、患者様からの信頼も厚いです。
毎週のように研修会に参加、知識も豊富でいらっしゃいます。
今回、『目標への階段』ということでお話をしてくださいました。
3年間、稲葉歯科医院で勤務して感じた事は、抜髄されている歯がとても多く、歯周病も放置され場当たり的な治療がなされている患者様が非常に多い事。
その結果、悪くなりすぎて治療が難しくなったら、放置されている。
もしくは、後先考えない治療が多くみられると感じたそうです。
最善の医療を行うためには、技術的な事以外に、歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士・スタッフがサポートし合って初めて最善な医療が提供できるのではないかと思います。
もちろん、歯科医師としての技術の向上は不可欠であると思います。
今回、佐藤先生はひとつの症例を丁寧に発表してくださいました。
患者様は顎関節症で右側クローズドロック。
マニュピレーションで、41ミリまで開口できるようになりました。
口が開いたから治ったわけではありません。
佐藤先生はひとつずつ、問題点をチェックしていきます。
KaVo のアルクスディグマを用いた顎機能検査で、治療前の状態も記録しておきます。
プロビジョナルで患者様の顎の具合を確認し、PDRインサートでバイトを上げた状態で最終補綴物を作りました。
術前のディグマ左右の側方運動にこれだけの差がありましたが、
術後はほぼ均等に。
あきらかな結果をみる事ができて大変素晴らしい症例でした。
そして、患者様からの感想をお伝えしました。
とても満足され、
「症状の治療というよりも、患者の治療をしている姿勢を高く評価します。対話があります!」
ということでした。
ひとつの症例を通じて、色々な事を学ぶ事ができました。
歯科医師の仕事は、単に症状をなくす治療ではなく、患者様の心を治すことも大切だということがわかりました。
と佐藤先生が最後にお話されたことは、大変素晴らしい気付きだと感じました。
次に発表をしていただいたのは、
キャスティックアーツ代表、技工士の中沢勇太先生です。
彼は以前、(株)モリタ歯科技工フォーラム2013の中で、国内外で活躍できるような才能をもつ歯科技工士 ということで優秀賞を受賞した、先ほどの佐藤先生同様、若手のホープです。
中沢先生はかつて、金属床を専門に作る歯科技工所に勤務されていました。
当然製作するのはクラスプのついている義歯。
当時設計についても勉強会に参加し、患者さんの口腔機能を保てるような金属床設計をできるように心がけていました。
しかし、臨床例によっては、泣く泣くもたないであろう設計をせざるを得ないこともあり、
3年支台歯が持てば成功だろうと考えていたそうです。
極力リジットなクラスプ設計をすることの重要性は理解していましたが、
クラスプの形態上、限界があることに悩まされていました。
そういった中でIPSGの学術講演会に参加させていただく機会がありました。
テレスコープシステムについてのお話を聞き、稲葉繁先生のケースには30年以上義歯が口腔内で機能しているということを知り、
素直に驚き、テレスコープを勉強して、長期間患者さんの生体の一部として
機能できる義歯を作りたいと思ったのが入会しようと思ったきっかけだったそうです。
それぞれのテレスコープシステムについて、詳しく説明をしてくださいました。
技工士の視点から注意すべき点を説明してくださったのは、歯科医師にとっても大変勉強になります(^_^)
リーゲルレバーに関して、細かい注意点もいただきました。
下顎の舌側面形態に関して、歯肉を覆ってしまうと清掃性が悪くなってしまうので歯頸部に沿わせ、その代わり金属の厚みを1.5ミリにして強度を確保すると良いというお話もありました。
コーヌスクローネに関しても、同じように技工サイドからの注意点をいただき、勉強になりました。
テレスコープシステムは、非常に高い技工技術と操作が必要な『エクストラ技工』
我が子を送り出すような気持ち思い入れで納品させていただいていると、熱いメッセージをいただきました。
中沢先生の技工は、模型がとにかく綺麗です。
そこからお仕事の正確さも伝わってきます。
患者様は、これから自分の一部になる歯が綺麗な模型で扱われているのを見ると安心されますし、大事にしてもらっていると思われるはずです。
私たち歯科医師もその点をよく見ています。
歯科医師と技工士、お互い仕事のやり取りは丁寧に大切にしたいものですね(^_<)-☆