こんにちは。
IPSG事務局、稲葉由里子です。
2012年7月14.15.16日『総義歯ライブ実習コース』 が開催されましたので、ご報告させていただきます☆
今回も全国から沢山の先生方にお集まりいただきました^_^
今回の患者様は63歳女性です。
稲葉歯科医院の患者様で、もともと歯周病治療で通われていましたが、数年前に総義歯となり今回、ご協力いただくこととなりました。
一日目はスタディーモデルの印象です。
今回新しく開発したSIバイトトレーを初めて使ったシステムで進めていくことになりました。
SIバイトトレーとは、スタディーモデルを中心位でトランスファーするためのトレーです。
上下顎同時印象を実行する場合に重要な事は、個人トレーとゴシックアーチの描記に使用する装置を製作しなければなりません。
今までは、スタディーモデルを咬合器にトランスファーする際、平均値で製作していたので多少の誤差を生じることがありました。
その誤差を精密印象時に修正していましたが、今回開発されたSIバイトトレーを用いると、より精度が増し、最終印象まで、スムーズに進むことができるようになりました☆
スタディーモデルの印象を採った後、SIバイトトレーにパテタイプのシリコン印象材を盛り、口の中へ入れ、噛んでいただきます。
その際、中心位で噛ませてください。
そして、フェイスボートランスファーを行うために六角棒を装着。
この状態で、咬合高径もだいたい決定させます。
ダヴィンチの比例法を用いています。
KaVoのフェイスボーを使って、正中を記録します。
SIバイトトレーを口の中から取り出します。
SIバイトトレーを用いると、このように上下の模型を簡単に咬合器に付着する事が出来ます。
これを思いついた稲葉先生はすごいと思います。
SIバイトトレーには六角棒が入る穴が二つあり、記録がずれないように固定する役割と、トランスファースタンドに六角棒が当たらないように、ずらすことで、同じ状態を再現することが可能です。
SIバイトトレーで精度の高い個人トレーを製作し、いよいよ上下顎同時印象です☆
ガンタイプの印象材を口腔内に注ぎ込み、
嚥下をしていただきます。
先生方にもじっくりご覧いただきました^_^
上下顎同時印象法による、口腔内のすべての情報をコピーした、印象です。
素晴らしいですね☆♪
技工はIPSG技工インストラクターの、岡部宏昭先生です。
岡部先生は、Dr.Schleichの総義歯コースのインストラクター、阿部晴彦先生の元技工インストラクターで、その腕は世界一といってもいいと思います。
もちろん、今回も稲葉先生と岡部先生のコラボは最強でした☆
重合は、イボカップシステムです。
この方法が開発されて30年以上経過しますが、いまだかつてこの重合方法を上回るものはありません。
保険の義歯とイボカップを重合方法を比べると、その精度の差は明らかです。
そして、イボカップで重合した義歯は、保険の義歯と比べて、着色、臭いを吸収しにくいので、入れ歯洗浄剤を使う必要はあまりないということ、通常のように歯ブラシに少し歯磨き粉を使っていただくだけでも十分だというお話もありました。
ポリデントは厳禁です。
義歯の色が白くなってしまいます。
「え?そうなの?!」←私
先生方も気を付けてください・・・・^_^;
重合方法のお話のあと、義歯をイボカップから取り出し、研磨作業です。
この作業がとても勉強になりました。
患者様への義歯の修理のヒントなどを沢山得ることができました。
オーバーインプレッションの部分をどのように研磨するのかなど、ヒントが沢山ありました。
ブルーの線は顎舌骨筋線、ここから下はすべてとってしまいます。
この部分は、舌の動きのじゃまをしてしまいます。
「また、このように外側から押すと、義歯がスポンっと外れてしまいますよ」
と岡部先生^_^
そして3日目、いよいよセットです☆♪
「ほら、全然外れない」
と自信満々な稲葉先生。
すべての先生方に確かめていただきました。
先生方、びっくりすると笑ってしまうようです・・・
こちらの先生も、うれしそうに笑いながら確かめてくださっています。
上顎の吸着もすごいですが、
下顎だって外れません。
私も心配だったので、触らせていただきましたが、安心な吸着ぶりでした☆
ライブなので、何があるかわかりません。
患者様も毎回違います。
会員の先生からご紹介いただいた難症例の方をライブで実習したこともあるこのコース、本当に大盛況でした☆♪
そして完成した総義歯がこちらです!
↓ ↓ ↓
上顎の口蓋はイボカップシステムの重合により、透けるほど薄いです。
下顎の形も特徴的ですね♪
芸術的です^_^
何より、患者様に一番喜んでいただきました。
ワクワク、うれしくて前の晩は寝れなかったとおっしゃってくださり、
「最高の総入れ歯です」
と言葉をいただきました。
すべて、DVDに記録をしてあるので、患者様の声を含め一連の作業をご覧いただくことができます。
セット後すぐに先生方の前で一緒に食事をしました。
お弁当の中で、一番食べずらい物を稲葉先生勧めます。
ごぼう、イカ、こんにゃく、ゴマのついたおしんこなどです。
患者様が奥歯へ食べ物を持っていこうとすると、
「だめだめ、前歯で噛み切ってね」←稲葉先生
義歯は前歯で噛み切ることが一番苦手ですね。
なんでも食べることができました。
痛いところもないそうです。
まさに究極の総義歯を見ることができました(^_-)-☆
先生方からも沢山の感想をいただいたので、一部ご紹介させていただきます。
*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。
◆世界最高の義歯への道のスタートラインに立つことができました。感謝します。一流の技に触れることができとても幸せです。一つ一つ実践し、自分のものにしたいと思います。ちょうどこの講習会に参加しはじめて丸一年がたちました。ありがとうございます。顎関節症、咬合、義歯等色々勉強させていただき、臨床が楽しくなりました。
◆素晴らしいです。全て理にかなった手法だと思います。
◆わずか3日間という短期間で、これ以上ないくらいの完成度の総義歯が出来上がるということをこの身をもって体験させていただき、ありがとうございました。
◆本物を確信しました。
◆究極の総義歯のDVDを何度も繰り返し見て勉強していましたが、今回の実習で生で見ることでわからなかった部分がよく理解出来ました。上下顎同時印象による総義歯のシステムはすべてが計算しつくされていて、まさに究極だと思いました。岡部先生のセミナーも受講して早く実践できるようになりたいと思います。
◆6月の講義からこのライブ実習までとても楽しみでした。アキュトレーを使ったスタディーモデルの印象からSIバイトトレー、上下顎同時印象など、どのステップも規格化されており、臨床にすぐに活用できそうです。実際に患者さんの吸着を触れることができて、その吸着力に驚きました。明日からの臨床、頑張れそうです。今日もありがとうございました。
◆総義歯のイメージを新たにしました。ありがとうございました。稲葉先生のお話の中に出てくるデンチャーセミナーを過去に受けたことがありますが、この方法をぜひ自分に身に付けたいと素直に思いました。今後共、ご指導ご教授の程よろしくお願いいたします。
ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました。
このような素晴らしいセミナーを開催できたのも、先生方が純粋に勉強をしたいというお気持ちと、積極性によるものだと感じます。
会場を提供してくださったKaVo Dental Systems Japanの方々、田中歯科機械店の方、そしてスタッフの皆様に心より感謝いたします。