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『リーゲルテレスコープセミナー』開催されました☆
IPSG事務局、稲葉由里子です。
先日開催されたセミナーのご報告をさせていただきたいと思います。
2012年2月26日、「リーゲルテレスコープのアニメーション」と、稲葉繁著書「予防補綴に最適なテレスコープシステムの臨床」、石原明先生の「成約率UPの方法解説DVD&テキストマニュアル」それに加え「リーゲルテレスコープセミナー」 4つをセットにしたセミナーが開催されました。
全国各地から50名もの先生に参加していただき、お陰様で、会場は満員でした☆
当日はIPSG顧問の石原明先生の特別講演がありました。
稲葉先生の技術に加えて、石原先生のマーケティングのお話しがあり、とてもバランスのよいセミナーだったと思います。
最初に稲葉先生の長期症例、30年以上経過している患者様の初診時、そして30年後のテレスコープの写真がでてきました。
30年以上の初診時の写真をきちんと保存しているということがとてもすごいことだと思いました。
記録しておくことの重要性を痛感しました。
テレスコープシステムで治療したすべての患者様が30年以上使っていただいているという保証は必ずしもありませんが、歯の状態やバランスが良いと、しばしばこのような症例に出会うことがあります。
今回は典型的なドイツのテレスコープ、リーゲルテレスコープについて詳しく説明がありました。
リーゲルテレスコープは一時期のコーヌスクローネの陰に隠れて、日本では用いられることが少ないテレスコープです。
稲葉先生がドイツに留学した当時、文献でも見た事のない、リーゲルテレスコープに大変びっくりしたこと、そして補綴をすることで長持ちをさせる方法をはじめて知ったことなど、話がありました。
患者様の満足度は高く、素晴らしい治療方法なので、ぜひ覚えていただきたいと思います。
ドイツにはたくさんの種類のアタッチメントがありますが、その中でもリーゲルテレスコープは大変頑丈で、審美的にも機能的にも優れている方法です。
回転リーゲル(ドレーリーゲル)、旋回リーゲル(シュベンクリーゲル)の二つを覚えていただければほとんどの症例をカバーすることができます。
ドイツ人は一度作ると、修理をしながら長く使うという国民性があります。
それは義歯でも同じです。
ひとつのものを患者様に長く使っていただけるということを経験してみて、それは患者様にとって心理面でも非常に信頼感を得るということがわかりました。
30年が経過し、装着感、オクルージョンに狂いがないと、患者様は
「当時は高い治療でしたが、今考えると、とても安かった。」
と口を揃えておっしゃいます。
ドイツの補綴は見えないところまでがっちり作ってあります。
可撤式というのは私たち歯科医師にとって余裕を生みます。
固定式はセラミックが破折したら、天国から地獄です(>_<)
そして、ひとつの症例の中から先生方に感じていただきたいと思います。
この方は、学校給食に勤めていました。
3年間歯医者さんに通って、これで、治療が終了したそうです。
ごらんの通り、口の中は金パラだらけ。
私たちの目がこの状態に慣れすぎてしまっています。
定年退職した自分へのご褒美として、全顎リーゲルテレスコープで治療をされました。
患者様が求めるのであれば私たちはそれに答える必要があると思います。
治療のゴールは天然歯の戻す事、他人に治療の後をさとられないようにすることです。
審美歯科は特別のことではなく、当たり前の事です。
テレスコープであっても、審美の分析、歯軸の方向や形を考慮することは非常に大切です。
その後、リーゲルテレスコープ、コーヌステレスコープの詳しい製作法などを先生方にお伝えしました。
今、一番問題なのは、テレスコープシステムを製作することができる技工士が非常に少ないことです。
日本の技工士が育たないのは歯科医師の責任が大きいです。
海外で名を馳せた、素晴らしい技工士の先生も沢山いらっしゃるのに、それが全然生かされていません。
IPSGでは、テレスコープシステムのセミナーを技工士の先生方に向けて開くことも考えています。
その後、先生方からの沢山の質問をいただきました。
今回初めて参加される方、そして何十年かぶりに改めて参加される方など様々でした。
先生方の熱意をとても感じ、うれしく思いました☆
そして、IPSG顧問の石原明先生の特別講演です。
石原先生は、稲葉歯科医院のお世話をしてくださっているのですが、昨年の暮れから、IPSGの顧問として、会全体をまとめてくださっています。
稲葉先生の専門的な技術に加え、石原先生のマーケティングを学ぶことで、 先生方が豊かな経営をして、患者様に質の良い治療を提供できるようなアドバイスをいただいています。
石原先生は、経営コンサルタントではありますが、歯科専門というわけではいので、この業界を外から観察することができます。
業界にいると勢いでみんな同じ方向に行ってしまうことが多いといいます。
いつも聞いていておもしろいな、と感じるのは、他の人が右に行ってる時は左に、左に行っている時は右にいきましょう^_^とおっしゃるところです。
ビジネスをする上で、おもしろいマーケットというのは誰かが何かをすることで、結果的に生まれてしまうマーケットで、それに対してサービスをすると、すごく儲かるというお話しがありました。
例えば、携帯電話が売れることで、携帯ストラップが売れるということです。
歯科においても同じようなマーケットがあります。
インプラント治療が主流となっている傍ら、インプラントが怖くてできないという患者様がいらっしゃいます。
そして、保険治療でまわしているせいで、噛み合わせが置いて行かれてしまい、結果、顎関節症になってしまう患者様が激増しています。
IPSGは、テレスコープシステム、そして噛み合わせ、顎関節症を得意としています。
誰かが何かをすることで生まれるマーケットにIPSGが得意とすることはぴったり当てはまるというお話しがありました。
確かに・・・意識していたわけではありませんでしたが、IPSGでやっていることは今まで王道から外れず、マイペースだったのがよかったのかもしれません。
家族の次に大切なのは患者様です。
患者様の健康を守るには、やはりコツコツと勉強することが大切です。
稲葉先生も、そうだそうだと真剣に聞いていました^_^
そして、IPSGの会員数を250名までにすること。
インプラントの様に何千人もの先生が同じ治療をすると、マーケットが壊れてしまうとおっしゃっていました。
質疑応答もたくさんの先生方から質問をいただきました。
今回残念ながら参加できなかった先生もいらっしゃると思います。
セミナーの内容はDVDとして後日販売する予定なので、ぜひ楽しみに待っていてくださいね☆
本当に全国各地からたくさんの先生方にお集まりいただき、ありがとうございました。
今回のセミナーの感想の中で多かったのは、リーゲルテレスコープのセミナーは基礎コース、応用コース、実習コース、フォローアップセミナーのようないくつかに分けたコースを開催してほしいとのことでした。
もう一つ、テレスコープができる技工士を紹介してほしいという声も聞かれたので、リストを作成したいと思います。
『技工に関してのお話しが多く、正直、すごく難しい手法のような印象を受けました。でも由里子先生のお話しを聞いて、少しほっとしました。』
という感想もいただきました(笑)
確かに、インプラントも最初にセミナーを受けた時は、すごく難しい手法だと思われるはずです。
それが毎日インプラントをすることで、やさしくなり、簡単に医院に取り入れることができます。
テレスコープシステムも同じです。
確かに難易度が高い治療だと思いますが、自分の医院に取り入れて治療をしていくうちに、やさしくなっていくと思います。
インプラントでもテレスコープでも、どの歯科治療をするのにも必要な知識は、咬合、咬合器の操作、中心位の採得などです。
ぜひ、IPSGで包括的に学んでいただきたいと思います。
投稿者 shige : 17:51 | コメント (0) | トラックバック
2012『パーシャルデンチャーの設計と製作実習コース』開催
こんにちは。
IPSG事務局、稲葉由里子です。
2012年2月11,12日、 『パーシャルデンチャーの設計と製作実習コース』がKAVOセミナールームで開催されましたので、ご報告させていただきます☆
「パーシャルデンチャーの修復に際し、必要な知識と技術はクラウンブリッジの要素から総義歯の要素まで必要です。パーシャルデンチャーは総義歯になるための移行義歯では決してありません。」
「インプラントがあるから、パーシャルデンチャーは必要ないという人、じゃまだったら抜いてインプラントにすればいいと言う人もいます。本当にそうでしょうか?あまりにも無知すぎます。皆さんにはパーシャルデンチャーの正しい知識を身につけてほしいです。」
と最初に話がありました。
ドイツの歯科大学では、パーシャルデンチャーの設計を教授の前で、発表したり、お互いが言い合ったりという時間が当たり前に授業の中にあります。
自分で考えた設計に対して教授を含めてみんなで議論するそうです。
日本では、国家試験のための問題をマークシート方式で丸覚えのため、日本ではパーシャルデンチャーの知識がとても欠けてしまっています。
8020の達成の鍵はパーシャルデンチャーです。
現実は85歳で6割が総義歯ということは、私たち歯科医師の存在価値を疑われてしまいます。
まずは、歯が抜けるのは老化現象ではないということを理解して頂きたいと思います。
患者様の現在ある歯をいかに長持ちさせることができるかということに集中して設計をしないといけません。
欠損を埋めるだけがパーシャルデンチャーではありません。
クラスプが曲者です。
レストの付属品がクラスプなので、最初にレストの設計をします。
クラスプは義歯が外れないためのものと考えてください。
支持と維持の認識が大切です。
と話がありました。
IPSG副会長の岩田光司先生からも実際の症例をまじえて講義がありました。
岩田先生は、患者様にわかりやすく説明するのがとても上手です。
たくさんの症例をみさせていただきました☆
パーシャルデンチャーの設計で大切な事は全身から診断する。
すなわち三次元的に基準面を揃えることが大切です。
クラスプは歯を傾斜移動させて、揺らしてしまいますが、テレスコープは歯体移動のため、歯の歯軸方向に力が加わるため、歯牙を動揺させません。
ということで、テレスコープについてもたくさんの話がありました。
ラボ・インテック代表の高木先生のデモンストレーションの様子です。
レジリエンツテレスコープ、コーヌステレスコープの作り方を実際に先生方にみていただきました☆
コーヌステレスコープも設計を間違えると歯根破折を起こします。
失活歯を維持に使うとだいたいが割れてしまいます。
そういうこともすべて考慮して設計するので、一つ一つの症例に真剣に取り組む必要があります。
そして、色々な欠損症例の模型を使って、シュパルテ、トーションバー、リンガルバー、金属床の設計をしました。
インプラントとテレスコープのコンビネーションについても、
遊離端の義歯のアンカーとして使用することによって粘膜の沈み込みがおさえられ、(遊離端義歯は、0.3から0.5㎜の沈み込みをします)義歯が確実に安定し、骨吸収を抑えることができるので、非常に有効だという説明もありました。
参加いただいた先生方から、本当にたくさんのご質問をいただき、内容が濃く、充実した時間でした。
先生方から感想を一部ご紹介いたします☆
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。
◆学校で教わっただけでなんとなくになっていた義歯の設計を総復習でき、なおかつ新しい技術についても習うことが出来たので自分としては驚きの連続でした。是非明日からの臨床で活かしたいです。
◆設計の手順、積杯線といった大切な話を改めて聞くことができてとても楽しく勉強になりました。学ぶことの楽しさ、大切さを改めて感じることが出来ました。有難うございました。
◆患者さんの歯、健康を守る方法見つかったという感じです。
◆設計の話で大連結子の形、支台歯の数などよくわかりました。
◆テレスコープについては知識ゼロでしたので正しいテレスコープを学ぶことができて本当に有意義でした。今日も学んだことを何度も復習したいと思います。
◆もっと深く学ばなければならない内容が多いとつくづく感じました。リーゲルの作製法などは技工士さんの教育も必要だと感じました。
◆パーシャルデンチャーはクラスプとパラタルバー(リンガルバー)だけしか知らなかった。
メジャーコネクタに種類があること自体知らなかった。トーションバー、シュパルテなど初めて習った。
◆自分が今までやってきたことを検証する意味で非常に役に立っています。方向性は間違っていなかったと思いますが手段や方法が違っていました。基本は「自分の患者さんを守る」ということを考えていきたいと思います。資料やステップ毎の進め方などもっと詳しく教えて頂ければと思います。
◆今日も目からウロコの話ばかりだった。設計に関してすごく勉強になりましたがテレスコープを始めるにあたり技工の問題など不安があります。飯塚先生から明日からやれと言われたことを頑張ります。有難うございました。
◆トピックスの連発ではなく、いつもながらどっしりとした王道に触れることが出来ました。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。
ご参加いただいた先生方、2日間、本当にありがとうございました。
また、会場を提供いただいた、カボ・デンタルシステムズ・ジャパン のスタッフの皆様にもお礼申し上げます。
バレンタインデーが近かったこともあり、こんなおもしろいチョコレートを皆さんにプレゼントしてくださいました☆♪うれしかったです(^_-)-☆