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「上下顎同時印象による究極の総義歯」開催されました。
6月26日「上下顎同時印象法による究極の総義歯」~インプラントができない患者さんはお手上げですか?~開催されました。
全国各地、北は北海道から南は佐賀県まで、48名の先生方にお集まりいただきました。
参加いただいた先生方、本当にありがとうございました。
稲葉繁が最終印象を上下顎同時印象するシステムを開発するの大きなきっかけとなったのはDr.shleichです。
Dr.shleichが引退する際、彼の資料をすべて稲葉先生に託しました。
日本における総義歯の大家といわれる方々は少なからずDr.shleichの影響を受けています。
たとえば村岡博先生、稲葉先生も仲良くさせていただいた方ですが、晩年はサブリンガルルームを舌棚と称し、義歯の安定に重要だと主張していました。
今回は上下顎同時印象法の歴史をたどることにより、新しい発見がたくさんありました。
オリジナルを勉強することはとても大切です。
オリジナルを知っていれば新しい技術に惑わされなくなります。
新しい技術のように発表されたことは、実はすでに、何十年も前に行われていることだったりします。
今回勉強した数々のスライドは決して色あせていませんでした。
このスライドは稲葉先生が Dr.shleichに提供したものです。
日本の木床義歯、蜜蝋で上下顎同時印象したもので、起源は実は日本にあったというものです。
この写真はDr.Schleichが日本に来日したときの実習風景です☆
なんだか、まわりは女性ばっかり・・・・・(笑)
Dr.Hans Schleichの業績はどのようなものだったのでしょうか?
ヨーロッパの多くの学者の業績をまとめあげ、Ivoclarのデンチャーシステムを完成させました。
Prof.Boettgerの開発したナソマート咬合器、Prof.marxkorsの印象トレー、ゴシックアーチトレーサー、Gnatho meterはProf.Kleinrok、人工歯OrthositはDr.Strack、そして重合方法Ivocap Systemは Dr.Schleichのオリジナルです。
Strackによる総義歯理論についても講義がありましたDr.Reiner Strackはチュービンゲン大学出身です。稲葉先生もチュービンゲン大学に2年間留学していたので、当時ケルバー教授からStrackについてよく聞いていたといいます。
1949年Strackは義歯の安定に対し、それまでのギージーによる歯槽頂間線法則を否定し、口腔囲筋による安定を求めました。
歯列に対し、口腔周囲筋・唇・舌の力の均衡が取れるところ、即ち、もと歯が有ったところ(ニュートラルゾーン)に歯を並べると共に、頬筋・唇・舌により義歯を安定さえる方法を開発し、さらに顎機能に調和した人工歯を開発し、特許を取得しました。
現在使われているオルソシットがそれです。
最初は陶器で有名なフュッチェンロイター社の陶器でしたが、30年前からリヒテンシュタインのIvoclar社のイソシットを使用したコンポジットの人工歯となりました。
人工歯が誘導し顎関節を守るというコンセプトです。
誘導方法も一般のフルバランスドオクルージョンとは少し異なり、側方運動では作業側は4,5の誘導と平行側では6,7番のスタンプカスプの内斜面同士で誘導します。
前方運動での誘導は、下顎の6番の近心頬側咬頭外斜面と上顎の5番の遠心頬側咬頭内斜面がガイドするようになっています。
スタディーモデルの印象はIvoclar からでているAccu-dentがおすすめです。
サブリンガルルーム、バッカルシェルフの印象が驚くぐらいきれいにとれます。
印象は、スタディーモデルであっても、翼突口蓋縫線が伸びてしまうので口は必ず閉じて印象します。
後ろからみて翼突口蓋縫線がつながっているのかを確認するだけでも顎位の確認になります。
ハーミュラーノッチの印象は辺縁封鎖するため、絶対にとらなければいけないポイントです。
そして、咬合高径は上唇小帯から下唇小帯まで、3,8センチから4センチに合わせればほとんど決まります。
これをやればほとんど咬合採得に時間はいりません。
義歯の印象面は精密にとる必要はない。粘膜面までしわしわにとると出来上がったもの義歯が大変不潔になります。
最終印象はレギュラータイプの印象材で出来上がりはピカピカになるほうがいいです。
と、たくさんのポイントをお伝えしました。
咬合高径はウィリス法をシュライヒ先生は使っていましたが、稲葉先生はそれにダビンチの比例法も取り入れています。
発音のチェックも非常に大切です。
さ、た、ら は口蓋皺癖の音ですが、具体的にDr.Schleichはこのようなスライドをセミナーに用いていました。とてもわかりやすいですね☆
左はタ行、ナ行。右はラ行。
左はキ、右はヒの発音時に使われるところです。
これを参考に、患者様の発音をよく聞き、義歯の調整をするといいでしょう。
最後に岩田先生の実際の臨床について講義があり、とても参考になりました。
今回のセミナーの模様、写真を、Dr.Schleichにお伝えする予定です。
この写真は今年の正月に送っていただいた家族の写真です。
本当に素晴らしい業績を残されたDr.Schleich、日本が大好きなので、ぜひ、また講義を聞きたいですね!
今回ご参加いただいた先生方から感想をいただいているので、一部ご紹介いたします。
◆コンプリートデンチャーの歴史を学ぶことで知識の整理になった。正しい情報を正しく学ぶことが重要ですネ!!
◆稲葉先生のユーモアが冴えわたり、非常に楽しく受講させていただきました。総義歯にも取り組みたい興味がわきました。ライブが楽しみです。
◆「古きを尋ね」大変興味深く面白く拝聴しました。我々もこの歴史の流れの末端で末永く勉強してゆけるよう集中していきたいと思います。現在の大学教育の内容がもっと臨床に合ったものとなるよう先生の更なるご努力を期待しております。
◆印象のとり方から配列、咬合調整まで大変興味深い内容でした。今後の治療に役立てられるように努力していきたいと思います。
◆義歯について重要となるポイントを知ることができました。
◆昨年度の上下顎同時印象法による総義歯の実習ライブを稲葉歯科医院で受講させて頂いてから少しづつでもありますが、臨床に取り入れて日々診療をしております。これからも何卒宜しくお願いたします。
◆究極の総義歯システムが優れている理由が良くわかり大変勉強になりました。今日はありがとうございまいした。
◆とても面白かったです。実習コースにも参加してみたいと思いました。また開催されるようであれば参加させていただきたいです。
◆初めて参加したものですが、とても分かり易く勉強ができて、ありがとうございました。
◆毎回参加させていただいておりますが、今回初めて見ることが多く、また今日も大変楽しく参加することができました。少しずつではありますが、できるように楽しんで頑張っていこうと思います。感謝いたします。ありがとうございました。
◆国家試験には正しいことでも、実際の臨床においては間違っていることが多かった。稲葉先生が作っているような総義歯が作れるようになりたいと思った。毎回モチベーションがあがるとても貴重な講演を聞けて幸せです。ありがとうございました。
◆かなりハイレベルなFDの製作法で、使いこなせれば間違いなくstepup したFDが作れそうです。
◆大変勉強になりました。7月のライブデモのセミナー楽しみにしております。
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参加いただいた先生方も、本当に勉強熱心で、充実したセミナーが開催され、うれしく思いました。
稲葉先生のダジャレに受けている先生方の様子。 会場も和やかな雰囲気でした☆♪本当にありがとうございました!!
投稿者 shige : 09:52 | コメント (0) | トラックバック
「予防補綴に最適なテレスコープシステム」
顎咬合学会学術大会のテーブルクリニックで「予防補綴に最適なテレスコープシステム」発表のご報告です☆
日本ではコーヌスクローネしか知られていませんが、ドイツではたくさんのテレスコープシステムがあるのをまだ知られていません。
今の若い人たちは予防が進んでいるので、問題はありませんが、団塊の世代は今、口の中が非常に悪くなってしまっています。
インプラント主流の歯科界ですが、今、日本ではテレスコープシステムが求められることが確実になってきていると思います。
リーゲルテレスコープは着脱に力がかからないので支台歯に負担がありません。
粘膜負担義歯のテレスコープシステム、レジリエンツテレスコープもほとんど知られていませんが、最後総義歯になるまで快適に過ごすことができます。
30年症例をもっている先生は本当に少ないと思いますが、稲葉先生はたくさんの症例をもっています。
しかも、ほとんどが一度もリベースなしです。
「口の中が金属の墓場となっている患者様をよくみかけますが、私たちは保険だからと言ってあきらめるわけにはいかない」
と訴えていました。 そして、
「咬合が崩壊し、ある一定の状態になったら全面介入する必要がある」
と予防補綴を推奨しました。
テーブルクリニック発表終了後も熱心な先生方からの質問に稲葉先生答えていました。
ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました!!
投稿者 shige : 13:40 | コメント (0) | トラックバック
「日常診療におけるカボ社咬合診断システムの応用」
2011年6月12日 第29回顎咬合学会学術大会のKaVo社主催のランチョンセミナーで稲葉繁先生の講演が開催されました。
講演内容は「日常診療におけるカボ社咬合診断システムの応用」です。
230名の先生方にお集まりいただきました。
KaVo社のPROTAR evo 7 咬合器、フェイスボー、ARCUSdigma2下顎運動測定器、を用いた咬合診断システムについて講演をしました。
http://www.kavo.jp/←KaVo社のホームページです☆
先日開催された「顎関節症ライブ実習コース」の模様をフルハイビジョンの動画を用いて診断の流れを動画で発表、百聞は一見に如かず、目の前で患者様の治療を見ているようでした。
患者様は顎関節症で開口量が1,9センチ、クローズドロックの状態で6年間過ごしてきました。
まず、口を開けないと咬合診断ができないので、マニュピュレーションにより4センチまで開けたところもライブで流しました。
その後、KaVo社の診断システムを使った咬合診断です。
PROTAR evo 7 咬合器の強調すべき特徴は
◆セントリックラッチの強固性
◆正確な咬合器の互換性
0点がしっかりできているので、咬合器を何個も持つ必要がありません。複数の咬合器ではなく、模型の移動だけで済みます。
そして、確実なセントリックの確認ができます。(マウンティングプレートの磁石を外すことで確認できるのが特徴です)
◆豊富なアクセサリー
◆操作性の良さ
などが挙げられます。
上顎模型を PROTAR evo 7に再現するツールとして、KaVoのフェイスボートランスファー。
フェイスボートランスファーはすべての補綴物に必須のアイテムです。
しかも、ものすごく簡単。
フェイスボートランスファーなしで全顎の補綴物を製作することへのリスクについて説明しました。
KaVoのフェイスボー再現性が非常に高く、しかもシンプルです。
患者様の口の中はすべてが平均値ではありません。
そして、咬合調整前と調整後のDigma2を用いて比較をしました。
結果のすべてがこの画像で証明されています。
開口量1,9センチの時の回転運動のみの状態から、最終的には4,4センチまで開いて関節結節を関節円板にのって動いている顎運動の状態を比較し、治療前と治療後のDigmaの結果はまるで別人のようでした。
顎関節の状態がすぐに3Dで確認できるこのDigma2、素晴らしいです。
KaVoの診断システムはシンプルで正確、しかもデザイン性も高いです。
今後、ドイツ、ヨーロッパだけではなく、日本でもこのシステムが広がると確信しています。
KaVo Dental systems Japan、IPSGのスタッフの皆様のご協力があって今回の発表は大盛況でした。
本当にありがとうございました☆♪
KaVoのブースもとても賑わっていました!!