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咬合診断実習コース開催されました!
2010年10月23,24日 「咬合診断実習コース」開催されました!
今回の実習コースは患者さんのデモンストレーション、マウスピースの作り方、模型診断方法などを中心として行われました。
先日、稲葉歯科医院に来院した患者さんが咬合診断のモデルとして引き受けてくださいました。
顎関節症、クローズドロックで顎の痛み、口が開けられないという症状がありました。
調整しているほとんどが、以前治療した詰め物(インレー)です。もちろん、その前に2,2センチほどの開口量を4,4センチまで復位させています。
私の気づき
↓ ↓ ↓
上顎の斜走隆線は下顎が後方にいかないようにストップさせる働きと、左右に動く時に誘導させる働きがあります。
なので、皆さんここ削って簡単にインレーを入れるのはやめましょうね☆
咬合調整をしている様子です。
「ほとんどが、やはりインレーだね。」とつぶやいていました。
岩田先生によるKAVO社のディグマのデモンストレーション。
これで、治療前と治療後を比べます。
岩田先生は咬合診断をするのとセットで必ずディグマで顎機能検査を行います。
中心位の指導。やはり、一度自分で体験すると習得できますね☆
最後にスプリントを患者さんに作りました。
歯ぎしりをする患者さんにマウスピースを渡し、顎の音もなくなり、とても喜んでいただきました。
稲葉先生、
「これで歯ぎしりもなくなるね。歯ぎしりしないことに歯ぎしりしちゃったりして。ハハハ」
「・・・・・」←受講生
今回、うれしかったのは、小さいお子さんがいらっしゃる女性の先生が2名参加されたことです。
なんとかお子さんを預けての参加だったと思います。
本当にありがとうございました。
私も同じ立場なので、このように一生懸命勉強をされている先生をみて、 刺激をうけました。
受講された先生からの感想もいくつかいただきました!
★昨日はありがとうございました。
とっても楽しかったです。
2日間がすごく早く感じました。
もっともっと勉強したいって思いました
また来月参加させていただきますのでよろしくお願いいたします。
2日間、参加いただいた先生方、ご苦労様でした!!
投稿者 shige : 12:52 | コメント (0) | トラックバック
口臭について
口腔衛生にもっと関心を
稲葉繁先生が日本歯科大学第2補綴講座助教授時代、毎日新聞の夕刊に掲載された記事です。
その内容をご紹介いたします。
【歯みがきとうがいが大事】
国語辞典で「におい」とひくと、二つの漢字がでてきます。「匂い」と「臭い」。音は同じでも、意味は正反対です。一方は心地よく、他方は顔をしかめます。もちろん口臭は後の方。その発生のメカニズム。どうしたら「臭い」を消して「匂う」ようなさわやかな息にできるのでしょうか。歯や歯ぐきを健康に保てるのでしょうか。
においとは何でしょうか?
「においは目に見えず、形がなく手でも触れませんが、科学物質の粒子です。正体不明のものではなく、ちゃんと化学的に分析できるものです。においは原因があるわけですね。」
それでは口臭の原因は何なのでしょう。
「口臭には内臓などの病気による場合やニンニク、タマネギ、アルコールなどの摂取からくるものもありますが、最大の原因は口腔内の清掃が不十分で食べ物、飲み物のカスがたまって発生させるのです。」
どんな状態なのですか?
「口の中は温度も湿度もあって、細菌が住むには好都合なところですが、これに適当な隠れ家があれば言う事なし、です。食べ物のカスが歯の間に残っていればピッタリの条件。すると、そこからメチールメルカプタンという揮発性硫黄化合物が発生。これがいやな臭いの素なのです。」
なるほど。ところで特に朝起きた時に口が臭うのには理由があるのでしょうか。
「寝ている間はだ液の流出が少ないために、だ液の自浄作用が衰えるのが大きな理由です。だから寝る前に歯をみがき、うがいをするのが大事なのです。」
口臭の出やすい人というのはいるのでしょうか?
「非常に歯並びの良い人ですと、唇の動きで歯の表面をこすって前歯の部分はかなり清掃されますが、だいたい歯並びのいい人というのは三割ぐらいしかいないでしょう。」
すると口臭防止の対策は?
「歯磨きとうがいはとても大切です。歯磨きだけでは届かないところがある。そこをうがいできれいにする。 うがいに使う液の中に細菌の繁殖をおさえる成分が入っていればなお効果的です。うがいについては、日本人はまだ軽視しているところがありますが、欧米はうがいの先進国。良い洗口液もあります。日本でもこれから高齢社会を迎え、歯磨きがしづらい人も多くなります。うがいについてもっと認識を深めてもらいたいですね。」
歯磨きは面倒だが、うがいなら簡単という人もいるようですが。
「やはり歯磨きは大事です。ただ、一週間全く歯をみがかずにいて、歯の汚れを調べた実験で、洗口液だけは使っていた場合には、かなり汚れが落ちていましたから、効果は大きいと思います。」
歯磨きで取りきれない汚れもあると思うのですが。
「歯科医院で定期的に衛生士にチェックしてもらう必要があります。歯磨きで取りきれない汚れ、硬くなってしまった歯石は自分ではとれません。ほうっておくと、口臭だけでなく、歯周病が悪化してしまうこともあります。」
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きれいにお手入れされた歯は自分もまわりも気持ち良くするものです。
歯みがきもうがいもしないと、きたない歯になりやがて入れ歯になってしまいます。
そして、口臭があると楽しいデートや友達とのショッピングなど台無し。
ぜひ、毎日歯みがきをして、しっかりうがいをしてください。
稲葉歯科医院では口臭に対するアドバイスもしております。
口臭で悩んでいるあなた、きっと解決する方法があるので、私たちに相談してくださいね。
投稿者 shige : 11:35 | コメント (0) | トラックバック
オーストリアにおける診査診断治療計画
田嶋健先生、「オーストリアの診査診断治療計画」2010年10月17日、東京八重洲ホールで開催されました。
オーストリア、ウィーン大学に7年留学していた田嶋健先生、帰国して初のセミナーが開催されました☆
ドナウ大学でマスターオブサイエンス日本の歯科医師でただ一人取得。稲葉繁先生の学生時代からの教え子であり、弟子です。
日本の歯科医はアメリカ方面に留学することは比較的多いですが、ヨーロッパに留学する方はとても少ないです。その中でも実際に臨床、講義をできる先生はごくわずかです。 実際に、患者さんの治療をできるのは本当にわずかな人です。というのは、日本のドクターというだけのタイトルではEUでは臨床ができないからです。
田嶋先生はマスターを取得したことで、社会的地位があがり、臨床もでき、歯科医を教える立場になれるそうです。スピード違反も免除されたとか・・・・(笑)
シークエンシャルオクルージョンで有名なシュラビチェック教授の右腕として活躍してきました。
これからも、日本でというより世界で、セミナーのオファーがあるそうで、忙しいようです。
さて、今回の「診査診断治療計画」 の話の余談・・・・
油田が沢山あるドバイの歯科医師は、研修会のついでに数百万円の咬合診断装置即金で買っていくそうです。
アラブでは治療の失敗は首をはねられるそうなので、治療の証拠を残すのは大切だそうです。
それほど、「診査診断治療計画」「咬合診断」は重要なのです。
参加されていた先生方は、背筋を伸ばして聞いていました(笑)
午後はシークエンシャルオクルージョンについて、稲葉先生のするどい突っ込みをされながらのお話。
稲葉先生は舌、Swallowの動きや、口腔周囲筋の働きをとても重要としていますが、シュラビチェックの考えの中にはあまり、これについては触れていません。
上顎6番の斜走隆線は下顎が後方にいかないようにバリアーする役割があるなど、きれいなパワーポイントで説明。
改めて天然歯のすばらしさを実感しました。
同じ咬合の話でも稲葉先生が話すのとはまた角度が違ってとっても勉強になりました。
やはり、ヨーロッパの歯科傾向は咬合治療です。顎関節症、抗鬱薬を投与するアメリカの傾向に傾いている日本も本当に気をつけないといけません。
田嶋先生、たくさんの資料をおしみなく見せてくださり、本当にありがとうございました。
その後、懇親会が開かれて、20名ほどの先生方が参加してくださいました!!
私も、子連れだというのに、楽しくて2次会まで参加させていただきました☆
田嶋先生ご家族、稲葉先生と乾杯!!
充実した後のお酒はやっぱり美味しいです☆♪
投稿者 shige : 11:02 | コメント (0) | トラックバック
元陽展
稲葉先生、趣味の一つとして、絵を描くことがあります。
今年も、第41回元陽展に出品して、慎重審査の結果
「全日本美術新聞社賞」
受賞しました☆
今日まで、上野の美術館で第41回元陽展、開催されておりますので、もしお時間ある方はどうぞお越しください(o^-^o)
作品は稲葉歯科医院山吹町に飾る予定です。よかったら見にいらしてくださいね♪☆
コチラが作品です!!
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投稿者 shige : 12:21 | コメント (0) | トラックバック
「咬合治療の臨床」(基礎コース)開催されました☆
エクセレントデンティストコース、「咬合治療の臨床」(基礎コース)開催されました☆
19名の受講者とスタッフ合わせて25名だったので、狭い会場がいっぱいになりました。
ひしめき合いながらも、大変有意義なセミナーだったと思います。
稲葉先生は今まで、大学3年生5年生に授業してきました。
学生が、なるべくやさしく理解できるように、将棋の駒、てこの原理、咬合面の8つの要素など楽しく勉強してきたので、今回のセミナーもとてもわかりやすかったです。
咬合面の8つの要素はドイツに留学時代、ドイツの学生たちにも教えていたそうです。
咬合面をドイツのチュービンゲンの地図にたとえたりして親しみを感じてもらったそうです。
(咬合面に親しみが湧くっていうのもなんだかおかしいのですが・・・笑)
最近、咬合の話ができる先生がとても少ないように感じます。
稲葉先生は、顎咬合学会の認定医試験で咬合部門の代表として、受験生に講義をしています。
日本中から集まる、認定医試験をうける先生方に講義をするということは大変名誉あることだと思います。
その稲葉先生が、一日咬合について、やさしくお話しました。
咬合管理は歯科医の得意技でなくてはいけません。いくら予防が進んでも咬合問題は解決できません。
咬合診断がこれからの歯科医院の主流となるように勉強しないといけません。
稲葉先生は、咬合理論といってもそんなに難解なものではないと言います。
咬合問題は歯科医療共通の問題で、インプラント、矯正、義歯、審美すべてに共通です。
そしてとっても重要なことは咬合診断は患者様との信頼関係の絆でもあります。
その後、会場が懇親会場に早変わり。
そして、稲葉先生もコックさんに早変わり(笑)
稲葉先生自慢のローストビーフや、生ビールサーバーもでてきて楽しい懇親会がありました☆
参加いただいた先生方、本当にありがとうございまいした!!
今回も写真をとっていたのですが、なぜか写真が取り込めない事態が起きてしまって、
懇親会の模様などお伝えできないのが残念です。なんとか、取り出したいと思うのですが・・・・遅くなりそうです。
でも、とっても充実したセミナーでした☆
感想などもいただいております。
↓ ↓ ↓
◆稲葉先生の講義、大変素晴らしいと思います。
是非、その知識と技術を少しでも身につけたいと本気で思います。
来月以降も時間の許す限りついていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
◆先日はお世話になりました、おいしくローストビーフいただきました。
◆昨日はお世話になりました。おいしいお料理もいただき、ダイエット中なのですがたくさんいただいてしまいました。
他にもたくさんの感想をいただきました。
(なぜか、稲葉先生の料理の感想が多かったです。笑)
参加いただいた先生方からは早速、「咬合診断実習コース」もお申込みいただいております。
ありがとうございました!!
投稿者 shige : 14:43 | コメント (0) | トラックバック
義歯のQ&A 総義歯の大きさは年齢と共に小さくするのでしょうか?
Q:総義歯の大きさは年齢と共に小さくするのでしょうか?
A:結論から申し上げますと、義歯の大きさは年齢が多くなっても小さくする必要がなく、顎の吸収に伴いその部分を義歯床でカバーするために、むしろ大きくなってくると思われます。
義歯の維持安定には顎堤のみならず、頬側では頬筋、前方では唇、舌側からは舌により支えられます。したがって天然歯の存在した場所がそのまま義歯にとり変わるのではなく、そこには義歯を維持させるため床が必要になってきます。
確かに顎堤は吸収して小さくなるのですが、義歯のサポートは軟組織に頼らなければなりません。床面積を大きくすることにより義歯の安定は大変向上します。
もともと歯の存在したときは口腔内にはスペースがある筈ですが、その空間は軟組織により封鎖されていますので一見判別できませんが、口腔周囲筋や唇、そし
て舌の力の均衡がとれているところに人工歯が配列されれば、義歯の維持安定にはもっとも良いことです。このバランスがとれたところにデンチャースペースと
呼ばれる、力の均衡がとれたところがあります。
したがってこの場所は年齢を増すことにより変わることがないばかりか、むしろ筋肉の緊張度が下がることを考えると広がる可能性の方が多いと思われます。
そのような理由から維持安定の良い義歯を製作するためには、このスペースを見つけなければなりません。筋肉の均衡の取れた維持の良い義歯の特徴は装着すると人工歯が見えるのみです。一般には義歯の印象は上下別々に行う結果、印象にはデンチャースペースが取れてきません。
そのため ろう義歯になってから、フレンジテクニックによりデンチャースペースを記録し、研磨面の形態を作ります。
最近は歯科材料の改良に伴うテクニックの改良が進んで来ています。私はガンタイプの注入式シリコーン印象剤を使って上下顎同時印象する方法を考案し、日常臨床に応用していますのでご紹介します。
この方法を使いますと、デンチャースペースが大変よく印象されます。
すでに使っている義歯を改良する場合にも大変便利ですから応用してみてください。
患者が現在使用している義歯を使い、下顎の舌側や頬側全体にガンタイプのシリコーン印象材を注入し、デンチャースペースを採得してみますと、多くの場合義
歯の周囲にシリコーン印象材が層になって義歯の研磨面に厚くついてきます。このような場合には義歯が小さすぎると考えられます。
特に上顎では大臼歯の部分の頬側に、下顎では舌下隙から舌側溝に印象材が厚く付いてきます。さらに頬側の部分に盛り上がるように印象が取れてきます。
このような形態が義歯に再現されれば大変維持安定の良い義歯になります。
義歯を新しく製作する場合にも上下顎同時印象をしますが、最初に個人トレーを使い咬合採得まで行っておきます。このときトレーには咬合堤をつけておき、これを使って咬合採得を行い顎位を決めておきます。
印象採得は最初に下顎の下側に印象材を注入し、同様にトレーの内面に印象材を盛り上げ、口腔内に圧接します。その後上顎の粘膜面に印象材を盛り上げたの
ち、口腔内に挿入します。余剰の印象材はトレーからはみだしてきますが、さらに頬側の奥深くまで印象材を注入します。そのとき患者には口角を牽引したり、
唇を尖らせたりしてもらいますと、印象材は唇からはみ出てきますので、取り除いてください。印象材が効果した後、上下一塊として取り出します。印象には頬
筋や舌の機能時の状態が再現されているのが確認でき、さらに唇の印象が現されているので、人工歯配列には好都合となります。
このとき舌房の部分はシリコーンのパテタイプを用い空間を満たしますと、下顎の人工歯の配列に参考になります。
この一塊となった印象がデンチャースペースということになります。模型は顎堤の部分はもちろん、頬側の形態はコアーをとることにより保存します。
人工歯配列はこのコアと舌側シリコーンを参考にし、バランスのとれたところに並べ、歯肉面は人工歯とコアーの空間にパラフィンワックスを満たしたのち形態を整え、重合完成になります。
完成した義歯は印象とほぼ同様な形態となり、義歯と粘膜の間は満たされ、エアーの入り込む余地はなく、頬筋、唇のサポートが十分な大変安定の良い義歯となります。
このような結果確かに顎堤の吸収は年齢を増すことにより大きくなり、義歯そのものは維持安定のためデンチャースペースを十分利用したいために、天然歯が存在したときより大きくなるのが普通であるということが理解して頂けたと思います。
投稿者 shige : 12:54 | コメント (0) | トラックバック
義歯のQ&A 舌の大きい症例の対策を教えてください。
Q:舌の大きい症例への対策を教えてください。
A:人間の生命を維持する栄養の取り口として嚥下運動は口腔におけるもっとも大切な行動です。この時無歯顎において総義歯を装着している患者では、有歯顎とほぼ同様な動きをします。
すなわち、嚥下の最初の段階では舌の先を口蓋皺壁の部分におしつけ、その後舌背を徐々に床の後方に圧接し食物を咽頭に送り込みます。その時義歯の安定には舌後方の接触が重要な役割をはたしています。
一方、人間同士のコミュニケーションを図るためには言語は最も重要ですが、この際も舌の働きにより、様々な発音に関与しています。特にサ行は舌尖を口蓋皺壁に近付け舌と口蓋のわずかな隙間から空気を流失させて発音し、タ行、ラ行は舌尖を口蓋皺壁に接触させ、舌尖を話す瞬間に口を開ける量により、発音の違いをつけています。
このように舌は複雑な動きを行うため、その構造も複雑になっています。
有歯顎の場合は歯列の内側から舌が歯列をわずかに圧迫していますが、歯を失うことにより舌が接触する結果、有歯顎のときよりも大きく見えると思われます。
さらに舌が大きく見える理由には、舌の位置異常が惹起するような何らかの原因があるときです。そのような例のうち総義歯製作に障害となるのは舌の突出や唇をなめまわすような動きを絶えずする、舌の不随意運動であるオーラルディスキネジアをもつ患者です。
したがって舌が前方に壱している患者と舌を突出させる癖がある患者についてその対策について述べます。
義歯の安定についてStrackは天然歯列の植立状態と同じ場所に人工歯を配列することが最も良いと提唱しています。
すなわち歯列は外側から口腔周囲の筋肉の力にたいし内側からは舌の圧力が相拮抗してバランスが保たれます。たとえ歯を失っていてもこの均衡状態は変わらず、側方からは頬筋、前方からは唇が内側に押しています。それに対し舌は外側への支えを失い、もと歯のあった方向へ広がっていきます。
そのため歯が存在していた時と比較すると舌は大きく見えていることになります。
しかし頬筋、唇と舌の均衡状態は保たれていますので、義歯製作の際には人工歯配列において、この力の均衡状態に並べることが理想的です。
口腔周囲筋と舌は義歯を介在してバランスの良い一にあり、お互いに義歯の維持に重要な役割をしています。
臨床においてこの力関係を再現することは大変難しいことであり、軟らかいワックスを使用したフレンジテクニックなどが行われていますが、最近の印象方法や材料の発達を機会に壱連の総義歯製作テクニックを考案し臨床応用しています。その一部は舌の大きいケースやオーラルディスキネジアのある患者に対し好結果を得ているので述べてみます。
咀嚼運動は上下の歯が正確に咬合すると同時に、口腔周囲筋、舌が強調して食物をこまかくし、だ液と混ぜて一塊とし、咽頭から食道へ送りこみます。嚥下に際し頬筋、唇及び舌は歯列に対し強い力が押し付けると同時に口腔は陰圧となり、難組織は歯を固定するように包み込みます。義歯の場合も同様であるため、これらの難組織の力関係を印象に現すことができれば理想的です。
したがって印象は嚥下が可能な場外で採得することができればよいわけです。そのためにはあらかじめ個人トレーの段階で咬合口径や水平的な位置を決定した後、筋肉や舌の動きを再現できるような印象を行えることであり、この目的を叶えるのは上下顎同時印象をすることです。
その結果口腔周囲筋、唇及び舌の昨日した形態が印象に再現できるとともに最終義歯の形態の指標になります。
以上のことから舌が大きい場合には義歯の安定に対し、むしろよい結果を生むことになり、多くの場合維持安定に利用できます。
「もぐもぐ運動」などと呼ばれる、唇や舌の不随意運動であるオーラルディスキネジアをもつ患者は舌を前に突き出したり、唇を緊張させたりするため、義歯の維持安定に困窮しているケースがありますが、このような場合にも、上下顎同時印象は有効です。
特に舌を前に突き出すような場合には人工歯が舌を動きに逆らう原因になっていることが多いため、下顎の前歯の舌側をすべて覆うような形態にすると結果が得られます。
また、後舌骨筋かの部分(下顎の舌側後縁)へ長くのばしすぎると、舌の運動が阻害されるため、この部分の利用は避けるべきであり、義歯に外形は十分舌の運動を考慮に入れた形態にするべきです。
具体的には義歯の安定にはサブリンガルルーム(舌下隙)を十分覆い舌により義歯の安定を行うのがよい結果をうみます。
また頬棚の部分も広げ過ぎると咬筋の緊張により義歯の安定を悪くするため。注意が必要です。さらにこの部は頬筋による維持が重要ですが、一般に義歯床の研磨面の形態が悪い場合が多く、特に厚みが足りないようです。