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確実に吸着する上下顎同時印象法による総義歯
2010年 新春特別講演会
「確実に吸着する上下顎同時印象法による総義歯」のセミナーがコサカで開催されました。
40名の歯科医の先生方が参加してくださり、熱心に聞いていました。その内容をちょっとわかりやすくご説明します。日本で1538年に74歳でなくなったお坊さんが使っていた総入れ歯が世界最古だそうです。
その入れ歯が稲葉式上下顎同時印象法の原点です。上下顎同時印象法とは総入れ歯の上と下のあごの型取りを一緒に行う方法で、(普通は別々に型取りします。)患者様自身のお口の力を使って型取りをします。型取りの間に、つばを飲み込み、その動きを採ることができます。
つばを飲むということは食事をして食べ物を飲み込む時と同じ行動です。この状態が完全にコピーできれば理想的な入れ歯ができあがります。上下顎同時印象法によるこの新しいシステムでは、お口の中の状態を完全にコピーすることが可能です。通常今までの総入れ歯では型取りをしているときにつばは飲み込めません。従来の総入れ歯は完成するまで10回ぐらい来院しなくてはいけませんでしたが、新しいこのシステムではわずか4回。そのかわり、一回一回集中して確実に患者様のお口の中をコピーします。このブログは歯科医が読むことも多いので、専門的に言い換えますと、
咬合採得、ゴシックアーチ、フェースボートランスファー、上下顎同時印象をわずか一回で行うため合理的で患者様の来院回数が少なく負担がすくないのが利点です。入れ歯の歯肉を作る方法(重合)も保険の方法とはまったく違う精密な重合方法(イボカップシステム)で行うため、ウォーターフィルム現象(ガラスの板と板の間に水を介在させるとぴったりくっついて離れない状態)を得ることができ、維持が大変によいです。途中から、DVDを流して、DVDの中の稲葉先生が解説したため、大きい画面でみんなで上下顎同時印象法を見ることができました。
DVDは素晴らしいです。それにしても総入れ歯は奥が深い。歯がないと食事もできないし、人とコミュニケーションがとれません。
それを治療してあげられるのは私たち歯科医しかいません。みんな一生懸命勉強してしていました!
その時の様子、Twitterでも実況中継しました。まだはじめたばかりでよく使い方がわからないのだけど、とりあえず、いろいろつぶやいてみます!
投稿者 shige : 11:52 | コメント (0) | トラックバック
田中歯科器械店デンタルショー
2月11日に横浜で、田中歯科器械店のデンタルショーが開催され、家族ででかけました。
田中歯科器械店のデンタルショー、今回はじめてだそうです。
歯科業界も不況といわれる中、新しいイベントを企画していてすごいです。
田中歯科器械店は、顧客を大切にしていることでも有名です。
取引をしている歯科医院は今回のデンタルショーの開催で、さらに頼もしく感じたのではと思います(^▽^〃)
先日のIPSGの学術大会でも、社長みずから参加してくださいました。
会場にはたくさんの人で溢れかえっていました(*^▽^)
毛利社長と担当の木村さんとパチリ。
デンタルショーでは、毛利社長の娘さんもお手伝いされて挨拶をいただきました。
お父さんと一緒にお仕事をしたい・・・・毛利社長の仕事ぶりを尊敬されてのことだと思います。
田中歯科器械店はどんなときでもIPSGを支えてくださいました。
これからもよろしくお願いします!
次の日、夫けんちゃん(郁文館夢学園の先生)が高校入試の代休だったため、横浜に一泊。
すっごく寒い日でした。
大さん橋のところでこんなバスを発見。
外で無添加のパンをつまみに美味しいワインを飲む私たち。Lotusというバスのお店でした。
ちょっとほっとしたひとときでした。
投稿者 shige : 11:51 | コメント (0) | トラックバック
パーシャルデンチャーの臨床と設計実習コース
2010年2月20日21日「パーシャルデンチャーの臨床と設計実習コース」が開催されました。
みんな下を向いているのは、模型の設計をしているからです(笑)
「ワイヤークラスプを入れているのは矯正で歯を動かしているのと同じ作用がある」
と稲葉先生。
表現的確です!歯の欠損形態はたくさんあります。
それは毎日の臨床で一つも同じパターンがないのと同じ。
なぜ、4点支持が安定するのか、遊離端義歯の支台歯への影響、何度聞いても
「あっそういうことだったんだ!」
と気づきのあるセミナーです。
後方遊離端、前方遊離端、側方遊離端、たくさんのパターンを勉強しました!!
参加いただいた先生方ありがとうございました!!
投稿者 shige : 14:39 | コメント (0) | トラックバック
上下リーゲルテレスコープの症例
先日、マグネットのついた部分入れ歯を入れた患者様が来院されました。
「かめない ・・・・」
ということです。
たしかに手で取り外しができるぐらいの接着力、食べ物をすりつぶす力で簡単にずれてしまうと思います。
リーゲルテレスコープは入れ歯の中に小さな鍵のようなものが組み込まれたものです。
その鍵の開閉によって入れ歯を着脱します。
食べ物をすりつぶす力ではけっしてはずれません。
リーゲルテレスコープの症例(稲葉 繁先生による)
とても難しい症例です。
上の歯は前歯だけしか残っていなくて簡単な歯が入っていました。
問題は下の歯です。
前歯のすり減りがはげしく、後ろの歯は極度に骨が吸収しているのがわかります。
食事をすることができなくなってしまい、入れ歯はすぐにこわれてしまうとのことで、 非常に困って来院されました。
とりあえず、今使っている歯を補強して修理をしました。
かみ合わせの平面もずれていたため左右対称にそろえました。
上の歯も仮の歯を入れたところです。
この時点で患者様はかめることに非常に喜ばれました。
ワックスで模型診断をしたあと、上下の歯をリーゲルテレスコープで治すことになりました。
下の写真は精密な型取りをしたところです。
出来上がった上の歯です。
鍵(リーゲルレバー)が閉じている状態と開いた状態。
指で簡単に開閉することができます。閉じると舌で触っても全くわからなくなります。
とりはずしができるブリッジのようなイメージです。
下の歯のリーゲルテレスコープです。
鍵が閉じているところと開いているところです。
歯の部分はセラミックで作ったため、審美的にもとてもきれいに仕上がりました。
お口の中に入れると、金属の部分は見えなくなります。
投稿者 shige : 13:32 | コメント (0) | トラックバック
22年経過したリーゲルテレスコープの症例
22年経過したリーゲルテレスコープの症例(稲葉繁先生による)
初診の状態
上の歯は前歯に部分入れ歯、下の歯は奥歯が欠損していて、バネつきの入れ歯がはいっていました。
入れ歯を口からはずした様子
このままだと近い将来、総入れ歯になる可能性が高いです。
部分入れ歯の金具(バネ)による歯の負担が非常に大きいからです。
これ以上、歯を失いたくないという患者様のご希望により、上下の歯をリーゲルテレスコープで治療することになりました。
1987年当時、いまから22年前としては非常にめずらしい、全部の歯を一緒に鋳造しています。(ワンピースキャスト)
完成したリーゲルテレスコープ、すべて一体で鋳造しているため、とても強いです。(ろう着だと、折れてしまいます。)
リーゲルテレスコープは途中で入れ歯が折れたり、割れたりすることはありません。
10年経過したリーゲルテレスコープ。
装着したときとほとんど状態が変わっていません。
修理も必要ありません。
17年経過、写真むかって右側の犬歯の歯が割れてしまいました。(もともと神経がない弱い歯でした)
歯をぬくことになりましたが、リーゲルテレスコープは修理をすることができるため、修理し、抜いたその日のうちに入れ歯を使うことができました。
患者様は22年前に、この方法で治さなかったら、歯をすべて失ってしまっていた。
とおっしゃっています。
現在も、奥様と一緒に毎月メンテナンスにみえています。
このように、リーゲルテレスコープは、今ある歯を連結固定して、守ることができます。
そして、メンテナンスにより、歯の寿命をのばすことができます。
投稿者 shige : 13:31 | コメント (0) | トラックバック
セラミックのブリッジとコーヌステレスコープの症例
セラミックのブリッジとコーヌステレスコープの症例
初診時
かみあわせが深く、下の歯が見えません。
それぞれ、むし歯の治療を違う歯科医院でなおしてきたそうです。
入れ歯を作るときに大切なことは、歯が並んでいる平面が左右対称で、体の正中、真ん中の線に対して垂直であることです。
それが、この状態ではバラバラになってしまっています。
歯が抜けてしまったところをただ埋めたような感じで、全体にバランスがとれていません。
抜けてしまったところは金属の金具(ばね)のついた部分入れ歯が入っています。
このようにバランスのとれていない歯は一本ずつ治療をしても治りません。
すべてのかぶせ物をはずし、全体のかみ合わせの平面をなおします。
すべての金属をはずしたところです。
かりの歯をつくっているところ。
この時点で左右が対象になるように、笑った時上の歯も下の歯もみえるようにかみ合わせをなおします。
上の歯はセラミックによる全体的に連結したブリッジ。
下の歯はコーヌステレスコープで治療しました。
最初のときに比べて笑った時、すべての歯がきれいに見えるようになりました。かみ合わせの高さを上げたため、口元のしわも伸びて若返ったようだとおっしゃっていただき、大変よろこんでくださいました。
投稿者 shige : 13:29 | コメント (0) | トラックバック
リーゲルテレスコープとは?
当医院では、諸外国の中でも入れ歯においてもっともすすんでいるとされるドイツの入れ歯(リーゲルテレスコープ)をとりいれていますが、これは、費用はかかっても質の高い長持ちのする治療を受けるドイツ人の考えから生まれたものです。
日本では保険の入れ歯の調子が悪ければ、半年毎に取り換えることが可能です。
患者さんの中にはビニール袋の中にたくさんの入れ歯を入れてきて、どれも合わないと訴える方がいらっしゃいます。
これらの入れ歯を一つにまとめ、良質で高度な技術と材料を使用することができれば、高齢者となったとき、歯を失わず快適で豊かな食生活をおくることが可能です。
(ドイツでは、最低3年間は耐用年数と考えられていて、万が一紛失した場合は、全額患者さんの負担になります。)
当医院の顧問、稲葉繁先生がはじめてドイツからリーゲルテレスコープを紹介してから30年近くなりますが、当時治療した患者さんの入れ歯が30年たった今もしっかり使われていることをみても、ドイツ人の入れ歯の技術はすごいな、と関心します。
(現在も定期的に歯科医師、歯科技工士を対象にリーゲルテレスコープの研修会をひらいています。詳しくは、IPSG事務局にお問い合わせください)
リーゲルテレスコープは、全部歯を喪失している総入れ歯の方にではなく、上下の歯が数本残っている方に適応されます。
日本の部分入れ歯はクラスプというバネを残っている歯にかけるものがほとんどです。
歯は噛む力の方向には強いのですが、横にかかる力にたいしては非常に弱いです。
クラスプは歯にばねをかけて横に揺らしてしまいます。そのため歯がゆるみ、歯槽膿漏と同じような症状でぬけてしまうことが多いです。(病院によっては、歯槽膿漏と診断されることもあります。)
リーゲルテレスコープは残っている歯、すべてを固定し強くして歯を横に揺らさないようにすることができるため、残っている歯を利用し長持ちさせることが可能です。
現在、歯を失った方に対してインプラントが主流で、当医院でも、骨がしっかりしていて条件がそろっていればまず、インプラントをおすすめしますが、なかにはインプラントで対応できない事がいっぱいあります。
骨がうすい、残っている歯がぐらぐらしている、欠損している歯がたくさんある、など。中にはインプラントが嫌だという方もいらっしゃいます。
そういう方にはリーゲルテレスコープをおすすめします。
もうひとつリーゲルテレスコープの優れているところは、修理ができることです。
長い間には中が虫歯になったり、歯が割れてしまってどうしても抜歯をしなくてはいけないこともでてきます。
その時、また入れ歯をすべて作りなおすのではなく、簡単な修理でもとの入れ歯を使うことができます。
もちろん、最初にリーゲルテレスコープを作るとき、技工士と設計をするのですが、弱い歯に対しては、抜けることを想定しておいて、修理ができるようにしておきます。
弱い歯はリーゲルテレスコープでできるだけ持たせて守ってあげるという考えです。
また、保険の入れ歯は人が見て、入れ歯であることがすぐにわかります。(特に私たち歯科医師は)
リーゲルテレスコープは見えるところに金属色を使わないようにすることができるので、入れ歯であることがほかの人から気がつかれません。
それでは、ばねもなくどのように入れ歯がしっかり固定されているかというと、
リーゲル(Riegel)とはドイツ語で閂(カンヌキ )のことで、これを維持装置に使っています。
入れ歯の中に小さな鍵がかかるようになっています。
これは、鍵をしめると舌でさわってもわからないようになっているのでほとんど違和感がありません。
この鍵をひらくと(手で簡単にあけることができます)、すっと入れ歯を取り外すことができます。
普段は入れ歯であることを忘れてしまうぐらいです。
もちろん、寝るときは、歯磨きをして、入れ歯もあらって装着したままお休みになれます。
(寝ているときに間違えて飲んでしまうなんてことが絶対ないからです。)
自分の歯が一番大事ですが、もしも残念ながら歯を失ってしまった場合、このような治療方法がありますのでどうぞどのような治療方法がご自分にとって最善か 歯科医師と相談することが大事だと思います。
上の写真はリーゲルテレスコープ義歯。鍵をひらいたところです。しめるとしっかり歯が固定されます。
下の写真はセラミックのブリッジとインプラントをいれました。
投稿者 shige : 13:24 | コメント (0) | トラックバック
部分入れ歯のバーについて
PARTIAL DENTURE (部分入れ歯)
部分入れ歯とは歯が一本抜けてしまったところから一本しか残っていない状態までの取り外しの床がついた入れ歯のことをいいます。
歯の本数が少ない場合、安定が悪いため、両側をバーという金属で補強します。
そのバーの種類についてお話します。
保険で適応されるパラタルバーについて
これは右と左の部分入れ歯をただ、既成の金属でつないだだけのものです。
そのため、かんだ力がそのまま反対に伝わってしまう、悪い設計だと、かんだ力でバーをてこににして、反対の歯を抜いてしまうような力がかかってしまうことがあります。
バーの設計は歯を守るために、実は非常に大切なものです!
バーの種類、設計によって、歯を守るものと、悪くしてしまうものがあります。
稲葉歯科医院では患者様の歯の状態によって、バーの設計をしています。
かんだ力が反対の歯にほとんど力が伝わらないようなバーの設計をして、歯を守ります。
もちろん既成のバーではなくて患者様のあごにあわせたオーダメイドの鋳造床です。
金属の種類は、チタン、金、コバルトクロムがありますが、それぞれ精密で頑丈です。
後パラタルバー(トーションバー)
トーションバーはねじれた形をしていて、たとえば右側でかんだ力をバーで吸収して、左側にうつさないような形になっています。
アディダスの靴の底にトーションシステムというのがあります。
これは、歩いた時の衝撃をトーションシステムのねじれた形で吸収して前足と後ろ足に伝わらないようして負担を軽減するようなクッションです。
それと同じような考えがトーションバーです。
上あごの後ろの方にバーがくるので舌のじゃまになるのでは?
と思うかも知れませんが、前の方にくるほうが舌のじゃまになるのです。
前の方にバーがあると、入れ歯の安定も悪く、発音に関与する場所でもあるので話しがしずらくなります。
後ろにバーがあると、入れ歯の安定がよくなり、発音もよくなります。
硬い口蓋骨のところにバーがあり、嘔吐反応もありません。
バーが中途半端な場所にあると気になってしまいますし、軟らかい軟組織にバーがあると沈みこんだりして違和感があったりします。
このバーにより歯全体を強く連結し、守るような形になります。
シュパルテ
そして、この床の形がシュパルテです。
とても斬新な形で一見これが口の中に入ると違和感を感じそうですが、これが本当に結果がいいのです。
非常にデリケートな方にも受け入れてもらえていて、みなさんそろって「違和感がない」とおっしゃっていただけます。
先日、シュパルテを入れた患者様に使い心地を聞いてみたところ、
「保険の入れ歯を簡易的にいれたら、前の方にバーがあったため、発音がうまくできないし、食事がおいしくなくて、人生の楽しみが半分なくなった感じがし ちゃったよ、この入れ歯になってから、発音はなにも問題がないし、入れ歯が動くことがないからこの前は上海ガニをバリバリ食べたよ!」
アハハハと笑って話して下さいました。
本当にこんな風に感じている方が多いのです。
しかもトーションバーのねじれによって力を吸収するのと一緒で、アルファベットのEの形で真ん中に伸びたところで力を吸収します。
トーションバーも優れていますが、最近は圧倒的にこのシュパルテで対応することが多くなりました。
シュパルテは、リヒテンシュタインのDR.シュライヒ から教わりました。
DR.シュライヒは総入れ歯で非常に有名な先生で、わたしたち家族もとても仲良くしていて、引退された今でも交流があります。
リンガルバー
下の歯に対しては、リンガルバーというバーで対応しています。
上の歯はリーゲルテレスコープで鍵が二つ、そしてリンガルバーによってたわまないようにしています。
バーそ下のほうにもってくることで発音をしやすくしています。
また清掃性もよくしてあります。
バーの設計をしないで、ただ両側をつなげるだけではなんの意味もないばかりでなく、てこ作用によって、歯を抜いてしまうかもしれません。
投稿者 shige : 13:27 | コメント (0) | トラックバック
8020の鍵は部分入れ歯です。
8020の鍵は部分入れ歯です。
8020運動って聞いたことありますか?
80歳で20本の歯を保とう。20本の歯があればたいていのものは食べることができるということで厚生省がはじめた運動です。
80歳で20本の歯を保つことができるには部分入れ歯が鍵になります。
歯の抜けるのは老化現象ではありません。
歯の抜ける原因はむし歯、歯槽膿漏によるものがほとんどです。
その他で歯を失う原因は歯にかかる力、無理にかかる力によって抜けてしまうことがあります。
たとえば、部分入れ歯の金具のばねは密着はしていますが接着はしていません。
入れ歯が動くと、歯も動かしてしまいます。
とくに歯は横揺れに非常に弱いため、部分入れ歯の金具(バネ)によって、本人がわからないぐらいゆっくりと歯を抜いてしまう作用が加わります。
それと、部分入れ歯を左右でつなぐバーの設計によっても、歯をてこの力で抜いてしまうような作用が加わります。
とりはずしの部分入れ歯になったときに、歯を守るような入れ歯をはめているかによって、80歳で20本の歯を保てるかどうかが決まってしまうといってもいいでしょう。
ただ、抜けてしまった歯を埋めることではなく、全体を見て残っている歯をいかに長持ちをさせるかということを設計し、将来を想定できるような入れ歯でなくてはいけません。
部分入れ歯の治療に際し、必要な知識と技術は、虫歯により歯を一本かぶせ物をする要素から、総入れ歯の要素まで必要です。
部分入れ歯になった方の多くはかみ合わせの崩壊をともなうことから、治療に際してはかみ合わせの知識とそれを治すことができる技術をはじめとして、歯周組織の管理、歯の神経の治療の理論と技術ももちあわせていることが必然になります。
部分入れ歯の設計
大切なことは、全身から診断すること、三次元的に基準面を捉えることです。
かみ合わせの平面は、歯のある方も入れ歯の方も同じです。
体の正中に対してかみ合わせの平面が垂直で左右対称であるように設計します。
これが非常に大切です。
目の位置、耳の位置、左右の腰椎やひざの位置など、それぞれ左右対称です。
歯はどうか? 頬や唇でかくれていますが、やはりかみ合わせの平面は左右対称でなくてはいけません。
歯がすべてある方にたいしても、部分入れ歯、総入れ歯の方に対してもこの三次元的な記録(フェイスボートランスファー)は必須です。
力の関係でもうひとつ大切なのは、入れ歯による粘膜の沈み込みと、歯の沈み込みの被圧縮度が異なるため、それも配慮しなくてはいけません。
大切なのは、入れ歯を入れたために歯をうしなってはならないのです。
入れ歯の治療計画、12のチェック事項
① 歯が抜けてない部分はどこか。(欠損の組み合わせは2億6千8百以上あります)
② 歯のすりへりがあるかどうか。(歯のすりへりが多い場合は、そこに過度の負荷がかかっているため、
そこをチェックします。
③ 歯がグラグラしていないか。
④ 残っている歯を連結固定するべきか。(一本一本離れているよりも、連結固定したほうが強くなります。)
⑤ 顎のリラックスしている状態でかめているかどうか。筋肉のリラックスしている位置でかめるかどうか。
⑥ かみ合わせの平面がくずれていないか。
⑦ 口を開けるときまっすぐ開けることができるかどうか。
⑧ かみ合わせた時、上下の歯がかめない、あたらないところがないかどうか。
⑨ 神経筋系の機能に障害があるか。
⑩ 口の中は衛生的になっているかどうか。
⑪ 残っている歯のむし歯の予防対策がしてあるかどうか。
⑫ 審美的な状態は改善できるか。
というところを初診時にチェックします。
投稿者 shige : 13:25 | コメント (0) | トラックバック
インプラント時代のパーシャルデンチャー
2009年1月22日、練馬にあるコサカで研修会がありました。
講師は稲葉繁先生です。
夜7時から3時間の研修でしたが、たくさんの先生方が勉強しにきていました。
パーシャルデンチャーというのは入れ歯のことです。
今まで、インプラントと入れ歯(リーゲルテレスコープ)を組み合わせた研修会というはなかったので、みなさん興味をもって熱心に聞いていました。
あっという間の3時間でした!
研修の様子 休憩時間、熱心に模型を見ている受講生
投稿者 shige : 13:22 | コメント (0) | トラックバック
歯と口の健康管理
ふだん、あまり感じることはありませんが、歯や口は、わたしたちの健康と深く結び付いています。
日常生活を楽しく送るために、会話はかかすことのできない大切なものです。
歯が抜けたり、むし歯ができていたりしては、なんとなく会話を楽しむ余裕もなくなったり、口を隠すなどして笑ったりしてしまうこともあるでしょう。家族や友人との楽しい会話は精神的な健康にもつながります。
歯、口の病気が直接体に関係することもあります。
子供のころは毎年新学期にむし歯の健診があります。
治さなければならない歯を指摘され、歯科医院へ行くことになるのですが、成人すると、なかなか定期検診を受ける機会がありません。
放置されたままのむし歯は当然悪化し、細菌がはびこります。
歯に穴があき進行すると骨との交通ができ、不潔なものときれいな骨がが交わることになります。
この最近が血液中に入ると、血液が運搬の役割をして、全身に細菌をまき散らしていくことになるのです。
この感染を「歯性病巣感染」といいます。
歯性病巣感染とは歯に穴があくことで細菌が血液の中に入って全身に回り、さまざまな病気や弊害をひきおこします。
臓器移植や心臓病を持つ人などが感染すると生死にもかかわります。
かみ合わせの異常から全身病になることも
感染だけでなく、かみ合わせなどのバランスが悪いと全身に異常をきたすこともあります。
かみ合わせが悪いということは、「あごが正常な動きをしていない」または「正常な位置からズレている」ということです。
バランスはひとつ崩れると次々に崩壊していきます。
現代の人間の脳は約8キロです。
かみ合わせのバランスが悪い状態は、脳を支える筋肉のバランスに影響します。
重い脳を支えるために、筋肉のバランスは良い状態にたもたれていなくてはなりません。
かみ合わせのが悪いと顎の筋肉とつながっている首の筋肉が緊張します。
筋肉のバランスが崩れたことにより生じる症状
①頭痛、肩こり、筋肉痛に悩まされることになる。
②姿勢がわるくなるので腰に負担がかかり、腰痛がおこる。
③神経が圧迫されることにより、手足の指がしびれる。
④顎関節症(あごの疾患)の痛みを感じる。
また、あわない入れ歯を我慢して無理に使っていたりしてもかみ合わせに異常がおきることもあります。
入れ歯を作る際には高度な技術とたくさんの時間と手間をかけて作られます。
歯があったときのかみ合わせの位置、感触などはもうわからないので、いろいろな方法で計算したりして確認します。
それでも人工物は天然の歯にはかないません。
ご自分の歯を一本でも多く保ち、機能させるのが一番大切ですね。
投稿者 shige : 13:17 | コメント (0) | トラックバック
歯を失うのは「寝たきり」への第一歩
歯を失うこと、あるいは歯の状態が悪いということは脳にも影響を与え、寝たきりやぼけを招きます。
歯がなくなったら、入れ歯にすればいいとか、何本か残っているが面倒だから総入れ歯にしよう、などと考える人がいます。でもこれは大きなまちがい!一本でも多くの自分の歯を生かすことはとっても大事です。
歯の根には歯根膜とよばれるセンサーがついていて、無意識にものをかんでいるとき、何か固いものが混ざっているなどの異常があると、すばやく口の動きをとめることができます。歯が抜けてしまうと、こうしたセンサー機能も失われてしまうので、想像以上に不自由です。
このセンサーは残念ながらインプラント(人工の歯の根)にもありません。
【8020 20本の健康な歯を生涯保ちましょう】
8020運動という言葉を聞いたことありますか?
これは80歳で20本のはを保とうという、厚生省が始めた運動です。
20本という根拠は、500人のおとしよりを対象に、「歯が何本あればかめるか?」という調査をしたところ、使える歯が20本以上あればたいていの物は食べられるのに、それ以上だと食べられない物がでてきたことによります。
日本での平均寿命から考えると高い目標ではありますが、健康で快適な老後を送るためにも、ぜひ、クリアーしたい目標です!
歯には寿命があるのでしょうか?いいえ、大切にすれば一生もちます!!
年をとると入れ歯にするのが当然、と思っていませんか?
歯は本来、一生使っていくことができるはずの寿命を十分にもっています。
では、どうして歯を失ってしまうのでしょう。
歯のお手入れに問題があり、歯槽膿漏になって歯を失うという場合と、歯を失った時の処置も問題です。
一本でも歯を失ったままにしておくと、失った歯の方向に全体が移動していき、かみ合わせの悪さと歯に加わる微妙な力によって健康な歯も悪影響を与えます。
一本が悪くなったときに、自分の歯に合った最善の治療をしてもらうことで、歯の寿命をさらに延ばすことができます。
「歯は基本的に一生もちます。歯の喪失は老化現象なのではなく、お手入れや治療の問題です」
歯を失う平均年齢を、歯の種類別に調べた統計があります。
親知らずを除外して。最も早くうしなわれるのは、下あごのいちばん奥の大臼歯で、女性の平均が41歳、男性では44歳となっています。
次が隣の大臼歯です。
全体でみると、おおむね50歳から55歳にかけて少しずつ抜け始めます。
歯を失う原因の最大のものは歯周病です。年齢に応じて加速度的にはがなくなっていく傾向が強いです。
昔はむし歯が原因で抜歯をすることも多かったのですが、治療技術の進歩により少なくなりました。
歯周病は歯を支える歯周組織そのものが破壊されるため、重症のものは、抜くよりほかに方法がなくなってしまう場合もあります。
歯周病の怖いところは当初、自覚症状がないうちに進行していくことです。
若い世代でも危険性はありますが、40代くらいからは、定期的に歯科医院に訪れて、予防、治療の指導を受けることをおすすめします。
生涯自分の歯で食べられるかどうかどうか、この中高年の世代での歯周病対策にかかっているといってもいいでしょう。
投稿者 shige : 13:15 | コメント (0) | トラックバック
噛むことってこんなに大切
年をとったら入れ歯。これを当然のことと考えていませんか?
80歳以上の健康で元気なおとしよりが増えている一方、歯は50代で失う人が多いようです。
実は、メンテナンス次第で歯の寿命は延びるということをご存知ですか?一生自分の歯で食べることも十分可能なのです!
歯を失うことは、食べることだけに影響するのではありません。
話すこと、表情、脳の血流など全身の健康に広く影響します。その結果、歯がないことが、楽しく、充実した老後を送るための大きな障害になってしまいます。
歯を失う原因の多くは、歯の成人病といわれる歯周病と噛み合わせの不調和によるものです。
この大敵を上手に予防、発見し治療していくことで、生涯自分の歯で生活することが可能になります。
「もう年だから、歯を失うのもしょうがない」
と考えずに、一本でも多くの健康な歯を残すことで、豊かな老後を満喫したいものです!
【噛むことはこんなに大切!】
歯は全身の健康に関係があります。
健康で豊かな老後を迎えられるように、おとしよりにとって、話すことと食べることはかけがえのないものです。
そこで大切なのが歯の存在です。
不自由なく何でも食べられることと、大きな声で人前で笑えることは無上の喜びです。そのためには歯の存在が必要なのです。
また、歯は単に食べること、話すこと以外にも、全身の健康と深いかかわりのある大切な機能をもっています。
このことは最近になってさらに研究が進んでいて、歯の存在が全身にとって非常に重要であることがわかってきました。
歯があるからこそ噛むことができます。ふだん何気なく行うことですが、ひとつには口の中で食べ物を小さく砕いてだえきの混ぜ、食物をひとかたまりにし、飲み込みやすくするという機能があります。
でも、それだけではありません。
歯の存在は私たちの表情をつくってコミュニケーションを助けます。
さらに全身の健康という意味で重要なのは、噛む動作によるあごの働きです。
噛むときに必要な力は筋肉の老化を予防します。そうです、よく噛めるということは若返り、今でいうアンチエイジングの効果があるのです!
また、上下の歯が強いちからでぶつかり合うとき、下あごの力を上あごがしっかり受け止めます。
このときの衝撃はあごから頭につながり、頭蓋で吸収されていきます。
そのため、噛むことによって脳が刺激を受けることになります。
最近の調査では、現代人の噛む回数は昔と比べて大幅に減っているそうです。
日本では軟食傾向が強まり、噛まない食文化になっています。
軟らかくておいしいとか、軟らかいものがおいしいといった食が好まれています。
これに比べ、ヨーロッパ、特にドイツの食生活では硬いものが好まれています。
硬くておいしい、硬いものがおいしいといった感じでまるで逆です。
そのため、ドイツの入れ歯は自然に硬いものが噛める、硬いものを噛んでもこわれないようなものが使用されるようになりました。
これがリーゲルテレスコープです。
ドイツのリーゲルテレスコープを父稲葉繁がはじめて日本に紹介してから30年近くなりますが、当時治療した義歯が現在も使われていることから、とても長持ちする入れ歯です。
今、歯を失うとインプラントという傾向にありますが、インプラントをしたくない人、また骨が高度に吸収していてできない方もいっぱいいらっしゃいます。
ただ、一般の人にリーゲルテレスコープはまだまだ知られていません。
これからすこしづつ、みなさんにリーゲルテレスコープの良さを 伝えていきたいと思っています。
投稿者 shige : 13:14 | コメント (0) | トラックバック
気づかないうちに進行する歯周病
疲れた時や体調がすぐれないときに歯ぐきがはれたり、痛みがでたり、噛めなくなったり、放っておくと痛みがなくなり、しばらくするとまた痛みだす・・・・というような経験はありませんか?
このような症状を繰り返すうちに、歯がぐらぐらになり、ある日ポロリと抜けてしまうのが「歯槽膿漏」です。
びっくりして歯科医院に行くと、すでに歯周病は口の中全体に広がってほとんどの歯を抜かなくてはいけない状態になっています。
働き盛りなのに「ある日突然、総入れ歯。」なんてことがないようにしなくてはいけません。
どうして歯周病になるの?
歯周病の原因はいうまでもなく歯垢(プラーク)ですが、歯垢に加えていろいろな条件が重なることにより、歯肉炎から「歯槽膿漏」へと進行していきます。
1.歯垢 とくに歯と歯肉の境目についている歯垢中の細菌が食べ物のカスを分解して、歯周組織に悪影響をおよぼす代謝産物を排出しています。また、最近の市外なども歯垢中に分解され、歯肉の溝からしみこみ歯周組織を破壊していきます。
2.歯石 歯垢に唾液中のカルシウムが沈着してできた歯石は、歯の根元に付着します。そこに歯石が重なり、歯肉は常に機械的な刺激をうけるので、どんどん退縮します。このためあらたに歯垢が蓄積されやすい状況をつくるという悪循環をおこし、炎症はどんどん悪化するようになります。
3.歯ならび、噛み合わせの異常 歯ならびがわるいと歯垢は蓄積されやすくなります。また、入れ歯などが原因で、かみ合わせが悪いとかむときにあごの運動がうまくいかず、ある特定の歯に以上な負担をかけることになり、歯周組織はより破壊をうけることになります。
4.食物の圧入 食べ物が歯と歯の間にはさまり、放置すると歯肉に炎症をおこすことがあります。
5.むし歯や歯の欠損 むし歯を放置しておいたり、歯がぬけたままにしておくとまわりに歯垢がたまりやすくなります。また、歯を抜いたまま放置しておくと、残った歯の噛み合わせの異常で歯周組織に悪影響がでます。
『歯周病の進み方』
歯肉炎ぐらいまでの症状はよく見られますが、これを放置することにやおおて、炎症は歯肉の使い部分まで進み、歯と歯周組織まで進み、そこに食べカスや歯垢が蓄積され、歯を支える歯槽骨まで破壊が進みます。
歯肉はやせて下がり、歯と歯の隙間は大きくなり、歯の根が露出してその周りは食べカスがべったりつきます。こうなると、口臭がひどくなり、他人とお話をするときに不快な気持ちにさせてしまいます。
この状態は歯槽骨は破壊されて、支えのない歯はかみしめる度にグラグラして思うように食事もできません。すでに末期に近く、ちょっとした疲れやかぜなどで歯肉は腫れ、痛みをくり返して、最後には抜歯ということになります。
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歯肉炎って何?
歯肉炎って何?
歯肉炎とは自覚症がないので炎症をおこしている本人は気がつきませんが、多くの人がかかっている病気でもあります。
痛みはないのに歯肉は赤く腫れて、歯をみがいたり、硬いものをかじったりするときに出血するのが特徴です。
最近のつくりだす毒素が、歯肉に炎症をおこさせるというもので、自覚症状がないのでつい放っておきがちです。
これを放っておくと炎症が歯周組織にも及んでいきます。
歯肉炎が悪化すると歯槽膿漏へと進んでいきます。
歯肉炎の予防には、毎日のセルフチェックとご自分でケアをするのが一番です。
健康な歯肉の色はピンク色です。
なによりも歯肉がひきしまって弾力があります。
歯肉炎の歯肉の特徴は
- 歯と歯肉の境目が赤い。
- 歯肉全体の色は赤く、赤紫のような場合もあります。
- 歯肉全体がブヨブヨしている。
- 指で押したり歯ブラシでこすると出血する。
- 歯の周囲には歯石や歯垢がたくさんついている。
です。
歯肉炎の予防はていねいなブラッシングをこころがけ、歯の歯の間を歯間ブラシやデンタルフロスでとり、口腔洗浄液(コンクールやリステリンなど)で口をすすぎ殺菌する。という三つのケアで予防できます。
さらに歯科医院で定期検診(メンテナンス)をすることで歯肉炎のうちに自分の歯を守るようにこころがけましょう。
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歯垢がたまりやすいところ
歯垢はどのような部分にたまりやすいのでしょうか。
お口の中は会話や歯がかみ合ったり、唇や舌、口の粘膜が歯に接触して、歯垢を落とそうとする自浄作用が働いています。
いくら自浄作用が働いているといっても限界があります。
毎日歯を磨いていても、どうしても歯垢がたまりやすいところが五つあります。
- 歯と歯肉の境目←歯頸部といいます。
- 奥歯の溝
- 前歯の裏側
- 隣り合った歯と歯の間
- 上あごの一番奥歯の裏側
この場所はむし歯になる確率が高い場所でもあります。
歯を磨くときこの場所を注意して磨くと、むし歯の予防になります。
このほか、むし歯などでよくかめない歯のまわり、歯が抜けてしまってかみあう相手のない歯や、片方でかむ癖のある場合はかまない方の歯に歯垢が目立ちます。
残念ながら一本でも歯を失った時には、必ず歯を補充しておくことが大切です。
これをほうっておいてなかなか歯科医院へ行こうとしない人がいます。
歯は鎖のように連なっているので、ひとつが欠けてもバランスがわるくなり、さまざまな弊害をおこします。
また、歯みがきをしていても、歯並びの悪い歯には歯垢が残りやすいです
どの部分に歯垢がのこりやすいか簡単に調べられる薬も市販されています。
最も一般的なのは、エリスロシンという食紅で人体に安全とされているものです。
錠剤と液が市販されています。
どの部分に施行が残りやすいのか自分なりに研究して歯垢を残さない歯磨きをこころがけたいですね!
投稿者 shige : 13:10 | コメント (0) | トラックバック
歯周病(歯槽膿漏)が引き起こす五つの症状
歯のまわりの病気(歯周病)は大きく二つに分けることができます。
ひとつは歯ぐきだけが腫れて炎症をおこしている歯肉炎で、もうひとつが歯を支えている歯槽骨まで冒されてしまう「歯槽膿漏」です。
歯周病は、成人病などと同じ、りっぱな病気のひとつです。
ですから、40歳をすぎたら、歯もほかの、歯もほかの臓器と同じようにケアをこころがけなければいけません。
でも、歯周病は、多くのひとがもっている成人病であるにもかかわらず、放置されがちな病気でもあります。
風邪の初期症状やひどくない病気のように、むりをしないで自然に治るものならそれでもよいのですが、むし歯や歯周病の症状は放っておくと悪化はしますが、回復はしない病気です。
痛みがでてきた歯を一生懸命歯ブラシして治るということはありません。
楽しい食事ができないばかりか、全身の健康に大きな害を及ぼすことにもなりかねないのです。
では、どうしたら健康で丈夫な歯をもちつづけられるのでしょうか?
その前に私たちの健康な歯をむしばんでいる犯人の歯垢(プラーク)についてよく知っておくことが大切です。
歯垢とは・・・・歯をみがいても取りきれずに、残ってしまった汚れのことです。
この歯垢が蓄積されていき、古い歯垢はやがて歯石となり、細菌が歯肉をくしばんで、歯周病の原因となっていきます。
歯垢は、成分の80%が最近からできているのです!
粘液でしっかりと歯の表面に付着していられる人間の口のなかは、適度な温度も常にたもたれていて、細菌にとっては絶好のすみかです。
たくさんの細菌が糖分を栄養にして繁殖し、乳酸を排泄しています。
この歯垢の中の細菌は乳酸がくせものでカルシウムとたんぱく質からできている歯をとかしてしまうのです。
また、施行の細菌は乳酸をつくりだすだけではなく、食べカスから有害物質をつくり、さまざまな歯周疾患の原因にもなっています。
歯垢(プラーク)がひきおこす五つの症状
- むし歯の原因になります。
- 歯肉炎、歯槽膿漏の原因になります。
- 歯石が形成されます。
- 口臭の原因となります。
- 歯の外観が悪くなります。
歯垢は、歯の病気のすべての元凶であるといえるでしょう。
ホワイトニングやセラミック治療、もちろんよい入れ歯を作ったとしても、その土台となる歯が歯周病であったら台無しです。
歯周病にならないうちに手当てしてあげましょう!
投稿者 shige : 13:06 | コメント (0) | トラックバック
朝日新聞 「あなたの安心」に2009年1月紹介されました。
稲葉 繁先生が朝日新聞に紹介されました
2009年1月30日(金)朝日新聞 朝刊 【あなたの安心】
投稿者 shige : 13:04 | コメント (0) | トラックバック
お年寄りの口腔異常、「カンジダ」肺炎の原因にも。
1996年に共同通信社より、全国31の新聞社で掲載された稲葉繁先生の記事をご紹介します。
先日、倉庫をゴソゴソと探っていたら見つけました。
書いた本人も忘れていた記事なのですが、患者様にはもちろん、私たち歯科医師にとっても興味深い内容です。そのまま新聞の内容を載せます。
お年寄りの口腔異常
【舌の痛みや不快感】
口の中の異常で悩んでいるお年寄りは意外と多いです。
だ液が出なくなったり、ねばついたりしてひどい場合は、口の中がヒリヒリ痛むほか舌が痛くなるケースもあって大変つらいといいます。
こうした口腔異常とカビの一種の真菌のカンジダ増加の関係に注目が集まっていいます。
日本歯科大学の稲葉繁教授(当時)は「口の中で増加したカンジダがさまざまな悪さをする」と話しています。
加齢で機能低下
口腔異常と切ってもきれない関係にあるのがだ液です。だ液腺は大きく分けて三つ。ほおのところの耳下腺、下あごにある顎下腺、それに舌下腺です。
そのだ液の分泌量は成人で一日当たり1~1,5リットル。ざっとビール瓶2本に相当します。
だ液は多種多様な働きを持ちます。消化酵素を含んでいて消化を助ける、口の中を潤して食べ物を飲み込む際の潤滑剤の役割をするほか、口の中の掃除もします。
さらにわずかながら殺菌作用もあります。
ところが、加齢とともにだ液腺の機能が低下してだ液の分泌が少なくなる事があります。だ液の出が少なくなると、厄介な問題がでてきます。
食べ物がくっついてなかなか飲み込めなくなる上、口の中が不潔になってしまうからです。
「口の中には知られているだけで数十種類のバクテリアがすんでいるが、特に入れ歯をしている場合は、不潔になってカンジダが増えやすい」と稲葉繁教授
日和見感染で
しかもお年寄りの場合は免疫力が衰えていることもあって、日和見感染を起こしやすくなっています。お年寄りにカンジダが感染しやすいのは、こうした背景にあります。
稲葉教授が高齢者歯科診療科の受信者の男性115人、女性149人を対象に調べたデータがあります。
その結果は、だ液1ミリ当たりのカンジダ菌数が十万個以上が男性で11人、女性では12人に上り、このうちの半分はカンジダが百万個医療に増加していることがわかりました。
いずれも歯や口腔の病気をもった患者さんですが、これらの事実はカンジダの感染者が決して少ない数字ではないことを示しています。
「受信者の95%近くからカンジダが見つかった。1ミリリットルあたり千個程度ならほとんど問題にならないが、十万個以上だといろんな症状がでてくるようになる。実際に受信者の5%以上が不快感や痛みを訴えていた」と稲葉教授。
その症状とはどのようなものなのでしょうか。まず舌が焼けるように痛んだり、感想しているときに感じたりします。また、塩辛いものを食べて、ときに口の中がヒリヒリしたり、味がおかしいなどの感じがしたり、口の中が粘つくなどの不快感を訴えているケースが多いです。
肺炎の原因にも
症状が全くないケースもありますが、カンジダが見逃せないのは、内蔵真菌症の犯人になる点です。
弱ったお年寄りの内臓をカンジダなど真菌が侵してしまったらひとたまりもありません。
こうした内臓真菌症の患者さんがこのところじわじわ増えていて、高齢化時代の新しいタイプの病気として注目を集めています。
「口の中にカンジダが増加して食道カンジダ症や肺炎の原因になることもあります。そのためにも口の中を清潔にすることが大切で、お年寄りでは入れ歯の清掃 をこまめにする必要があります。だ液が粘ついていたりしておかしいなと思ったら、洗口液を使用すればかなり予防できる」 と稲葉教授は訴えています。
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当時この記事を見た、舌に痛みがある患者さんが大学に殺到したそうです。
「そうか・・・新聞にでていたからか。」←いまさらながらわかったようです。
お年寄りのお口のケアの大切さは全身に関係します。
私たち歯科医師も注意深く診る必要があると感じました。
投稿者 shige : 13:03 | コメント (0) | トラックバック
ラビリントレーナー
★口の筋力強化に一役・・・・ラビリントレーナー★
埼玉新聞に掲載された、ラビリントレーナーの記事をご紹介いたします。
ラビリントレーナーは口のまわりの筋力を強化する器具で、赤ちゃんからお年寄りまで歯ブラシ感覚で使えるのが特徴です。
歯科医師が考案した口腔トレーニング器具を使って口腔機能リハビリを伝授する研修会が12日、本庄市の本庄中央区民館実習教室で行われました。
介護事業者など約160人が参加、摂食、嚥下(えんげ)訓練器具「ラビリントレーナー」を実習しました。
研修会は児玉圏域介護事業者連絡協議会の主催。
日本歯科大学付属病院准教授の菊谷武氏とラビリントレーナーの考案者で日本歯科大学高齢者歯科元教授の稲葉繁氏が講師を務めました。
口腔介護リハビリテーションセンターのセンター長でもある、菊谷氏は「歯が丈夫なだけではだめ。こちの機能が低下するのを防ぐ必要がある。」と力説しました。
豊かな食生活を送るための口の体操などを教えました。
このあと、稲葉氏が菊谷氏をはじめとする日本歯科大学関係者と一緒に製品化したラビリントレーナーを紹介しました。
舌や唇(くちびる)の筋力を鍛えるやり方を教えました。
座長を務めた本庄市の飯塚歯科医院の飯塚能成院長は、
「すごく役に立つ話ばかりで意義ある研修会となりました。口腔機能がいかに大切か、理解して頂けたと思います。」と話していました。
稲葉氏によると、ラビリントレーナーは口の周りの筋力を強化する器具で、赤ちゃんからお年寄りまで歯ブラシ感覚で使えるのが特徴です。
お年寄りの食べこぼしや飲み込み事故防止だけでなく、脳血管後遺症による発音障害などの機能回復にも効果を発揮しています。と伝えました。
これを読んだわたしは、女性の口元のアンチエイジングケアにもいいのでは・・・・と思いました。
赤ちゃんにもいいようなので、娘の日鞠にもおしゃぶりのかわりにわたしてみました!
ラビリントレーナー、詳しくは、コンビウェルネス株式会社のHPにのっていますので参考にしてみてくださいね。