IPSG事務局、稲葉由里子です。
2015年4月11.12日『顎関節症ライブ実習コース』が開催されました。
全国から沢山の先生方にお集りいただきました♪
『顎関節症ライブ実習コース』は実際に顎関節症の患者様をお呼びし、
問診から、治療まですべて先生方の目の前で、デモンストレーションさせていただきます。
咬合からのアプローチで顎関節症を治療する実習はIPSGでしか行っていない、非常に貴重なセミナーです。
最近は、顎関節症と咬合は関係がないという風潮がありますが、本当にそうでしょうか?
咬合器を使い、咬合診断ができる方であれば、関係がないとは言えないはずです。
「顎関節症をどうやって治したらいいのかわからない。」
「マウスピースを入れるぐらいしか、治療方法が思い浮かばない。」
という声を聞きます。
IPSGでは、20年間の間、咬合からのアプローチで顎関節症の患者様を治してきました。
ぜひ、2日間じっくり勉強していただきたいと思います。
稲葉先生がドイツに留学したきっかけとなったのは、当時チュービンゲン大学口腔外科のシュルテ教授の論文に非常に感銘を受けたからです。
442名の患者様の治療内容を丁寧に整理し、順序立てて解説されている論文でした。
稲葉先生はすぐにシュルテ教授に手紙を送り、ドイツへ客員教授としてチュービンゲン大学に在籍することになりました。
1年に1度開催される特別講義は、4週間の間、朝から晩まで徹底的に顎関節症を学びました。
テレスコープシステムの権威、ケルバー教授のもとに在籍していたということもあり、テレスコープについてもドイツテレスコープの全盛期に学ぶ事ができました。
1980年に帰国し、シュルテ教授から学んだ内容などをまとめて文献や学会で発表しました。
『顎口腔系機能障害患者の家庭療法』
家庭療法に関しては、今でこそ日本でも取り上げられていますが、当時は全く興味を持ってもらえなかったそうです。
早すぎたのでしょうね。
舌癖に関しても、シュルテ教授から沢山学んだそうです。
顎関節症に関して、手術をしなければいけない症例は442名の中、たったの16名だったと言いますが、稲葉先生の経験ではほとんど咬合からのアプローチでほとんど解決できるとのことです。
顎関節症は、肉体的なものと、精神的なものは分けた方がいい。
精神的な状態に追い込む前に我々が治す必要がある。
と言っていました。
最近では、顎関節症と咬合は関係がないから、噛まさないようにしなさい。
と指導している先生もいらっしゃるようですが、現実無理です。
咬合と関係がないと言いながら噛み合わせてはいけないというのは矛盾があります。
患者様を不幸にしないためにも、しっかりと咬合を学び、咬合診断をして原因を見つけられなくてはいけません。
顎関節症の基礎知識について、詳しく話しをしました。
咬合調整の目的は・・・
顎関節を考えた咬合調整をすること。
顎関節と円板をタイトにすることです。
ギシェーは顎関節を第4大臼歯と呼んでいるほど、咬合と密接に関わっています。
いつもお伝えしますが、顎の形は五角形です。
わかりやすいのは、椅子は五角形が一番安定することを思い浮かべて頂ければと思います。
いよいよ、患者様がいらっしゃいました。
今回ご協力いただいた患者様は、私の娘の保育園、小学校のパパ友の坪坂さん。
家族ぐるみで仲良くさせていただいています(^_^)
実習当日に初めて来院してくださいました。
事前にメールをいただいていた内容は。
・・・・・・・・
・上下の歯の間に指2本入るか入らないくらいのところで口がそれ以上開かなくなる(ロックするような感じ)
・顎を左右にずらすようにするとゴキッという音がしてそれ以上開くようになる。
(左右で若干違っていて、右は最初にロックした位置で止まっていて、左をずらす感じです)
・普段は痛みなどはないが、冬の寒い日などにやや痛みを感じることがある
・普段の食事はよいのですが、おにぎりやサンドイッチのように切り分けて食べられないものは結構大変です。
肩こり、腰痛はあります。
腰痛は特にひどいです。
あと関係あるかわかりませんが、年中鼻が詰まっている感じです
・・・・・・・・・
このメールを読んだ時は、口を開く事ができるのかな。
と思っていましたが実際は。
なんと。
15年も口が開かない、クローズドロックの状態でした(>_<)
筋触診から始めます。
筋肉は割とリラックスしていて、異常な緊張などはみられませんでした。
IPSGセミナールームではご覧のように、患者様の口の中の様子がリアルタイムで、先生方にご覧頂けるため、実際に口の中を覗くよりもわかりやすく大画面で勉強していただくことができます。
開口量は、2.3センチ。
ということは、指2本分です。
円板に乗って滑走していない、クローズドロックの状態ですね。
ドップラー聴診器による、クリック音の検査。
浅側頭動脈の音を確認し、そこから5ミリ前方が顎関節の位置です。
左側に雑音が少しありました。
佐藤先生によるKaVoアルクスディグマによる顎機能検査で治療前の状態を記録します。
そして、マニュピレーションです。
口が開かなければ、咬合診断をするための印象を採ることができません。
この時、稲葉先生は何かを調べていました。
「よし、乗った!」
ということで、鮮やかです!!
実は口が開くかどうかとても心配でした。
なぜなら、15年間も口が開いていなかったので骨性癒着、アンキローシスを起こしている可能性があったからです。
患者様もビックリ。
まさか、自分がこんなに口が開くとは思わなかった。
とおっしゃっていました。
開口量、4.5センチ。
患者様は痛みなく、スムーズに開ける事ができました。
もし。
開かなかったらどうしよう・・・
という私の不安は払拭。
本当によかった。
素晴らしいです!
さて、ここからは咬合診断です。
患者様は意識されていませんが、ずっと足を組んでいらっしゃいます。
フェイスボウトランスファーで、上顎の位置を咬合器にトランスファーします。
中心位、チェックバイトを記録します。
患者様の坪坂さん、一番前の席で興味深く見ています。
中心位、中心咬合位のズレを確認。
カタカタとやはり落ち着いてないようです。
やはりマニュピレーションを間近でご覧頂いたので、先生方も興奮しています。
稲葉先生のダジャレに、先生方も和やか(^_^)
坪坂さん、口が開くようになった事が新鮮だったようで・・・
常に口を開いて確認していらっしゃいますね(^_<)-☆
先生方からの積極的などんな質問にも答えている稲葉先生。
さすがだなぁ・・・
と感心しました!
明日は9時から咬合器の調整、そしていよいよ患者様の咬合調整です♪
ということで。
懇親会です!
稲葉歯科医院近く、末広町にあるLallenza.
素敵なイタリアンです。
20年間ライブ実習を行って来て初だと思うのですが。
患者様も懇親会に参加いただきました!!
「乾杯♪」
沢山勉強した後のお食事、ワインは格別に美味しいですね!
お料理もとっても美味しい♪
ワインと一緒に、会話に華が咲きました♪
坪坂さん、
「食事とワインがこんなに美味しいと思ったのは久しぶり」
以前は、口が開かなかったために、常に口が汚れやすかったので食事をして、一度口を拭いてからワインを頂いていたとのこと。
「口が開くようになったら、一度拭かなくてもそのままワインが飲めます!」
最後にはグラッパも一緒にいただきました。
明日は、またロックしないために、咬合調整により原因をとります。
楽しみです!!!