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KaVoシステムによる顎関節症の診断と治療
第33回 日本顎咬合学会学術大会が開催されました。
カボデンタルシステムズジャパン共催によるランチョンセミナーにおいて、
『KaVo システムによる顎関節症の診断と治療』というテーマで稲葉繁先生が講演をさせていただきました。
会場は、国際フォーラムのB7
一番大きな会場で、当日は400名ほどの先生方にいらしていただきました。
講演を聞きながら、お弁当も食べる事ができる一石二鳥のランチョンセミナーですが、
今年は、稲葉先生の講演を集中して聞きたいので、お弁当はいりません。
という先生方が多かったといいます。
ランチョンセミナーに参加するために、こんなに沢山の先生方にお越しいただきました。
前日の理事長招宴会でご挨拶させていただいた先生方もお越しいただき、本当に嬉しく思いました。
私たちの臨床をサポートしてくれる、KaVoの咬合器、フェイスボウは欠かせない道具です。
咬合診断の出発点といっても過言ではありません。
今回は、先日開催された『顎関節症ライブ実習コース』の患者様の症例を通じて、KaVoマテリアルの素晴らしさをお伝えしました。
非常に頑丈であり、精密なプロター咬合器は、中心位のわずかなズレも再現することができます。
患者様は15年間、口が開かないクローズドロック。
動画でマニュピュレーションの様子を流し、口が開いた瞬間、先生方は身を乗り出し、どよめきが聞こえるほどでした(^_^)
開口量は、マニュピュレーション前が23ミリ、マニュピュレーション後直後には、45ミリ、ほぼ倍近く口が開くようになりました。
顎機能検査装置、KaVoアルクスディグマ2による、治療前治療後のデータの比較し、その違いをご覧頂きました。
2.3ミリの開口量の顎の動きは、顎関節結節を乗り越える事ができず、回転のみしかできませんでしたが、4.5ミリ開口した時のディグマの動きは完全に結節を乗り越え、大きな動きを見る事ができました。
素晴らしいです。
アルクスディグマが顎の動きの違いを明らかにし、先生方も大変勉強になったのではと思います。
今年も沢山の先生方にお集りいただき、本当にありがとうございました(^_<)-☆
2015年06月30日 | コメント (0) | トラックバック (0)
2015『顎関節症ライブ実習コース』開催〜その4〜
に引き続き、一連の実習コースのまとめとして、IPSG副会長岩田光司先生が講義をしてくださいました♪
まず、患者様の姿勢について、どのようなポイントに気をつけて考察したらよいかをお話いただきました。
顎関節症の患者様は前傾姿勢の方が多いのですが、今回はそんなに前傾にはなっていませんでした。
治療前の開口量は2.3センチ。
クローズドロックの状態です。
ドップラー聴診器による関節音の記録について、動画でご覧頂きました。
そして、クローズドロックを解除、
マニュピレーションの様子を動画でわかりやすく解説。
そして、患者様の口腔内の様子です。
私が最初にこのオルソパントモグラフィーを見た時、あきらかな原因が見られないと思いました。
例えば臼歯の挺出、8番の干渉などです。
しかも、15年も開いていない・・・
となると、本当に治るのか少し不安が過りました。
患者様は矯正治療をされていて、矯正が修了したあたりから、徐々に口が開かなくなったとおっしゃっていました。
咬合診断の手法について、気をつける点、チェックポイントなど岩田先生がわかりやすく解説♪
術前のKaVoアルクスディグマでは、関節が結節を乗り越えていません。
関節顆の中だけで回転運動をしているのがわかります。
KaVoプロター咬合器に模型を付着。
顆路傾斜各は
右側 矢状顆路角 45度 側方顆路角 8度
左側 矢状顆路角 50度 側方顆路角 8度
矢状顆路角の傾斜がやや強いけれど、イミディエートサイドシフトはありません。
顎関節症の分類もしっかりと頭の中に入れておきたいものです。
動画を用いて説明された、ステージ分類は非常にわかりやすかったです。
そして、こちらが治療前、治療後の開閉口の結果です!!!
左が治療前、右が治療後。
あきらかに動きが違うのをご覧頂けますでしょうか?
開口量は倍。
関節も回転だけではなく、滑走している様子がご覧頂けるかと思います。
素晴らしい〜!!
EPAテストもど真ん中。
稲葉先生の中心位の記録の正確さには、先生方もびっくりされていました。
治療後のディグマ、滑走しているのを確認しました。
一日で、この変化は凄いことだと思います。
岩田先生が最後にわかりやすくまとめてくださったため、先生方も頭の整理ができました。
最後の質問も、終わりがないほど続きました。
その中で、私も質問したかったこと。
「15年間もクローズドロックの状態だったので、骨癒着、アンキローシスをおこしていたら口が開かなかったと思うのですが、その点どのように判断されたのでしょうか?」
との質問に。
「口を開ける前に中心咬合位で側方運動を確認しました。そこでわずかに関節が動いているのを確認し、アンキローシスを起こしていないことを確信しました。」
と稲葉先生。
奥が深いです〜!
実際、アンキローシスを起こして開かない患者様を何人かみているので、その判断方法はどのようにするのか、私も悩んでいました。
あの時、そんな、細かいところをチェックしていたなんて・・・
稲葉先生の凄いところは、口で言うことをすべてやってみせ、結果を出すところだと思います。
臨床をやらないで、講義だけする先生との説得力とはまるで違います。
今回の実習は本当に素晴らしく、受講してくださった先生方は歯科の仕事のやりがい、喜びを感じてくださったと思います。
私自身、患者様が娘の保育園小学校のパパ友ということもありレポートさせていただけた事で、大変勉強になりました。
患者様の笑顔を思い出し、これからも頑張っていきたいと思います(^_<)-☆
2日間ご参加いただいた先生方本当にありがとうございました。
2015年04月15日 | コメント (0) | トラックバック (0)
2015『顎関節症ライブ実習コース』開催〜その3〜
『顎関節症ライブ実習コース』〜その2〜に引き続き、いよいよ治療です。
前日にマニュピレーションを行い、開口量2.3センチだった関節が、4.5センチまで開くことができるようになりました。
変化として、顎のクリック音が出始めたということ。
ドップラー聴診器で音を確かめます。
「顎が鳴るっていうのは、良い傾向ですよ!関節円板に乗って口が開いている事ですから(^_^)」
と稲葉先生。
関節の音がしない。
という事は、正常で音がしないという事と、関節円板が落ちて滑走できないために、音がしない事と2つの理由があります。
昔、クリック音があったけれど、最近なくなった。
というのが一番危ないと話がありました。
「今迄食べる事ができなかった大きなおにぎりを食べる事ができました!」
と早速Facebookから写真付きのメッセージが・・・ 良かったですね!!
咬合器とほとんど同じ接触です。
こんな大画面で稲葉先生の咬合調整を見る事ができます。
非常にわかりやすかったと思います。
【ギシェー法・咬合調整順序】
1.中心位の早期接触を除去します。
接触している部位を上下とも削除します。
ただし、この時セントリックストップを失わないように、また、セントリックストップの位置が咬頭頂と窩底となるように、咬頭をシャープに窩底を広げるように削ります。
2.前方運動時の干渉、接触の除去
●平衡側
支持咬頭の内斜面を咬頭頂(セントリックストップ)を残して削除し、この咬頭の通り路を対向する支持咬頭内斜面に形成します。
この時、窩底につくったセントリックストップを削除しないように気をつけてください。
●作業側
上顎舌側咬頭の外斜面を咬頭頂を残し削除します。
下顎の舌側咬頭内斜面については求める咬合形式が犬歯誘導かグループファンクションかによって、 またグループファンクションにしてもどの歯まで接触させるかで接触させる歯させない歯が出てきます。
接触させない場合は下顎咬頭外斜面を削除し、この咬頭い通り路を上顎咬頭内斜面に形成します。
接触させる場合でも広報の歯が強くあたるのは干渉であるので、同時に接触するように調整します。
犬歯誘導の場合はこのような臼歯部接触はすべて除去します。
スチュアートの咬合調整法との違いは、中心位の調整を最初にやるか最後にやるかということですね。
どちらにも共通する原則は、不正なテコ現象の視点となるような咬合接触を取り除く事、そして咬頭嵌合時に臼歯には歯軸方向に力、荷重が加わるようにすることです!
と説明がありました。
咬合調整と言ってもごくわずかです。
調整後、咬合した時の音が高く澄んだ音に変わりました。
原因を取り除きました。
ディグマの治療前、治療後のデータについては、
『顎関節症ライブ実習コース』〜その4〜でお伝えいたします♪
何度も何度も口を開いて、口が開く喜びを噛みしめてくださいました。
お子様からも、
「こんなに口を大きく開くパパ、初めて見た!」
患者様と稲葉先生も和やかでしたし、実習の雰囲気も熱気が伝わってきました。
ご協力いただいた患者様の坪坂さん、本当に感謝です。
坪坂さんのおかげで、歯科医療の深み、喜びを改めて実感された先生も沢山いらっしゃったのではと思います。
『顎関節症ライブ実習コース』〜その4〜では、治療前、治療後を考察したいと思います!!
2015年04月13日 | コメント (0) | トラックバック (0)
2015『顎関節症ライブ実習コース』開催〜その1〜
IPSG事務局、稲葉由里子です。
2015年4月11.12日『顎関節症ライブ実習コース』が開催されました。
全国から沢山の先生方にお集りいただきました♪
『顎関節症ライブ実習コース』は実際に顎関節症の患者様をお呼びし、 問診から、治療まですべて先生方の目の前で、デモンストレーションさせていただきます。
咬合からのアプローチで顎関節症を治療する実習はIPSGでしか行っていない、非常に貴重なセミナーです。
最近は、顎関節症と咬合は関係がないという風潮がありますが、本当にそうでしょうか?
咬合器を使い、咬合診断ができる方であれば、関係がないとは言えないはずです。
「顎関節症をどうやって治したらいいのかわからない。」
「マウスピースを入れるぐらいしか、治療方法が思い浮かばない。」
という声を聞きます。
IPSGでは、20年間の間、咬合からのアプローチで顎関節症の患者様を治してきました。
ぜひ、2日間じっくり勉強していただきたいと思います。
稲葉先生がドイツに留学したきっかけとなったのは、当時チュービンゲン大学口腔外科のシュルテ教授の論文に非常に感銘を受けたからです。
442名の患者様の治療内容を丁寧に整理し、順序立てて解説されている論文でした。
稲葉先生はすぐにシュルテ教授に手紙を送り、ドイツへ客員教授としてチュービンゲン大学に在籍することになりました。
1年に1度開催される特別講義は、4週間の間、朝から晩まで徹底的に顎関節症を学びました。
テレスコープシステムの権威、ケルバー教授のもとに在籍していたということもあり、テレスコープについてもドイツテレスコープの全盛期に学ぶ事ができました。
1980年に帰国し、シュルテ教授から学んだ内容などをまとめて文献や学会で発表しました。
『顎口腔系機能障害患者の家庭療法』
家庭療法に関しては、今でこそ日本でも取り上げられていますが、当時は全く興味を持ってもらえなかったそうです。
早すぎたのでしょうね。
舌癖に関しても、シュルテ教授から沢山学んだそうです。
顎関節症に関して、手術をしなければいけない症例は442名の中、たったの16名だったと言いますが、稲葉先生の経験ではほとんど咬合からのアプローチでほとんど解決できるとのことです。
顎関節症は、肉体的なものと、精神的なものは分けた方がいい。
精神的な状態に追い込む前に我々が治す必要がある。
と言っていました。
最近では、顎関節症と咬合は関係がないから、噛まさないようにしなさい。
と指導している先生もいらっしゃるようですが、現実無理です。
咬合と関係がないと言いながら噛み合わせてはいけないというのは矛盾があります。
患者様を不幸にしないためにも、しっかりと咬合を学び、咬合診断をして原因を見つけられなくてはいけません。
顎関節症の基礎知識について、詳しく話しをしました。
咬合調整の目的は・・・ 顎関節を考えた咬合調整をすること。
顎関節と円板をタイトにすることです。 ギシェーは顎関節を第4大臼歯と呼んでいるほど、咬合と密接に関わっています。
いつもお伝えしますが、顎の形は五角形です。
わかりやすいのは、椅子は五角形が一番安定することを思い浮かべて頂ければと思います。
いよいよ、患者様がいらっしゃいました。
今回ご協力いただいた患者様は、私の娘の保育園、小学校のパパ友の坪坂さん。
家族ぐるみで仲良くさせていただいています(^_^)
実習当日に初めて来院してくださいました。
事前にメールをいただいていた内容は。
・・・・・・・・
・上下の歯の間に指2本入るか入らないくらいのところで口がそれ以上開かなくなる(ロックするような感じ)
・顎を左右にずらすようにするとゴキッという音がしてそれ以上開くようになる。 (左右で若干違っていて、右は最初にロックした位置で止まっていて、左をずらす感じです)
・普段は痛みなどはないが、冬の寒い日などにやや痛みを感じることがある
・普段の食事はよいのですが、おにぎりやサンドイッチのように切り分けて食べられないものは結構大変です。 肩こり、腰痛はあります。 腰痛は特にひどいです。 あと関係あるかわかりませんが、年中鼻が詰まっている感じです
・・・・・・・・・
このメールを読んだ時は、口を開く事ができるのかな。
と思っていましたが実際は。
なんと。
15年も口が開かない、クローズドロックの状態でした(>_<)
筋触診から始めます。
筋肉は割とリラックスしていて、異常な緊張などはみられませんでした。
IPSGセミナールームではご覧のように、患者様の口の中の様子がリアルタイムで、先生方にご覧頂けるため、実際に口の中を覗くよりもわかりやすく大画面で勉強していただくことができます。
開口量は、2.3センチ。
ということは、指2本分です。
円板に乗って滑走していない、クローズドロックの状態ですね。
ドップラー聴診器による、クリック音の検査。
浅側頭動脈の音を確認し、そこから5ミリ前方が顎関節の位置です。
左側に雑音が少しありました。
佐藤先生によるKaVoアルクスディグマによる顎機能検査で治療前の状態を記録します。
そして、マニュピレーションです。
口が開かなければ、咬合診断をするための印象を採ることができません。
この時、稲葉先生は何かを調べていました。
「よし、乗った!」
ということで、鮮やかです!!
実は口が開くかどうかとても心配でした。
なぜなら、15年間も口が開いていなかったので骨性癒着、アンキローシスを起こしている可能性があったからです。
患者様もビックリ。
まさか、自分がこんなに口が開くとは思わなかった。
とおっしゃっていました。
開口量、4.5センチ。
患者様は痛みなく、スムーズに開ける事ができました。
もし。
開かなかったらどうしよう・・・
という私の不安は払拭。
本当によかった。
素晴らしいです!
さて、ここからは咬合診断です。
患者様は意識されていませんが、ずっと足を組んでいらっしゃいます。
フェイスボウトランスファーで、上顎の位置を咬合器にトランスファーします。
中心位、チェックバイトを記録します。
患者様の坪坂さん、一番前の席で興味深く見ています。
中心位、中心咬合位のズレを確認。
カタカタとやはり落ち着いてないようです。
やはりマニュピレーションを間近でご覧頂いたので、先生方も興奮しています。
稲葉先生のダジャレに、先生方も和やか(^_^)
坪坂さん、口が開くようになった事が新鮮だったようで・・・
常に口を開いて確認していらっしゃいますね(^_<)-☆
先生方からの積極的などんな質問にも答えている稲葉先生。
さすがだなぁ・・・
と感心しました!
明日は9時から咬合器の調整、そしていよいよ患者様の咬合調整です♪
ということで。
懇親会です!
稲葉歯科医院近く、末広町にあるLallenza.
素敵なイタリアンです。
20年間ライブ実習を行って来て初だと思うのですが。
患者様も懇親会に参加いただきました!!
「乾杯♪」
沢山勉強した後のお食事、ワインは格別に美味しいですね!
お料理もとっても美味しい♪
ワインと一緒に、会話に華が咲きました♪
坪坂さん、
「食事とワインがこんなに美味しいと思ったのは久しぶり」
以前は、口が開かなかったために、常に口が汚れやすかったので食事をして、一度口を拭いてからワインを頂いていたとのこと。
「口が開くようになったら、一度拭かなくてもそのままワインが飲めます!」
最後にはグラッパも一緒にいただきました。
明日は、またロックしないために、咬合調整により原因をとります。
楽しみです!!!
2015年04月12日 | コメント (0) | トラックバック (0)
『顎関節症の診断と治療』【後半】
後半はIPSG副会長、岩田光司先生の講演の内容をお伝えします(^_<)-☆
顎関節の状態がどのようになっているのか。
についての分類法について、岩田先生から詳しく解説がありました。
上記パワーポイントのように、
Stage1:関節円板に乗って動きは正常ですが、筋肉に緊張がある状態です。
目標の顎位は、Zone of Centric Relation.
Stage2:関節円板の転移があるけど、再び戻る状態です。
この状態の目標顎位は、Adaptional Functional Position On the Disk.
関節円板に乗った状態で治療することができます。
Stage3:関節円板が落ちっぱなし。復位してこない状態です。
このような場合は、補綴や義歯によって、顆頭を下げて痛みをとってあげます。
KaVoのプロターのPDRインサートを挙上することで、顆頭を下げることができます。
PDRインサートの挙上量についても岩田先生の研究内容を詳しく先生方にお聞きいただきました。
スプリントについても、
Stage1.Stage2は、リラキゼーショナルスプリントを用います。
リラキゼーショナルスプリントとは、下顎頭と下顎窩、関節円板が正常な場合、筋肉の緊張を和らげるもので、治療後の最終的な咬合形態をとるものです。
これは、フルバランスの状態で顎が自由に動く位置です。
前歯と臼歯のハーモニーがとれた状態は顎関節を守ります。
あまり前歯誘導型のようなスプリントはおすすめできません。
その理由は、前歯で誘導することにより顎関節に異常な力が入ってしまうからです。
前歯部の一か所に力がはいると、テコの作用で咬筋が収縮し、関節に力が入ります。
前歯の誘導は関節がしっかりしている正常な場合のみ付与するものなので、気を付けてください。
Stage3においては、やはりPDRインサートを用いて顆頭を下げた状態で、フルバランスで作るスプリントで対応します。
また、前歯誘導にしないといけない症例は開咬です。
開咬の場合は臼歯が誘導している形態ですから、非常に筋肉の緊張がみられます。
そして、臼歯の異常な力がはいるためすり減り、動揺などの障害がでてきます。
その場合はできるだけ関節から離れた前歯に誘導をもとめて臼歯を守るべきです。
スプリントはただ装着すればよいのではなく、症状によって咬合をカスタマイズする必要があります。
歯が噛み合わなければいいというものではありません。
最終的にいつまでもスプリントをはめているわけにいかないので、根本的な原因を咬合診断で探し、除去することが大前提です。
PDRインサートとは、上下の模型を中心位または咬頭嵌合位で付着後、下顎頭を任意の方向に動かすことができる道具です。
Pは前方に、Dは下方にRは後方に調節することができます。
KaVoの説明では、先生のバイトの位置がずれてると思われるときに、技工士が任意に調整するための道具だといいます。
稲葉先生は、PDRインサートを用いて、それ以上のすばらしい使い方をしています。
顎関節症の患者様の補綴物、義歯の製作の時に使用しています。
「顆頭を下げる」
という概念は考えもしないかもしれませんが稲葉先生は、実験でも証明しています。
顎関節症時、円板の前方転位があった場合、円板の厚みの量3ミリを顆頭を下げることにPDRインサートを利用しています。
他の用途で作ったPDRインサートですが、副産物として、すばらしい機構をもっています。
このような咬合器は数少ないと思います。
顎関節の梃子現象についてや、関節円板の脱落を検査する、レジリエンツテストについても、
わかりやすいパワーポイントを用いて説明いただきました。
岩田先生の情報量は溢れるほどで、今回用意していただいた内容は膨大でした。
質問には即答。
どんなことにも迷いなく答えてらした、岩田先生は素晴らしいなと思いました(^_^)
来月4月12.13日には、『顎関節症ライブ実習コース』も開催されます。
詳しくはこちらです!
*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。
お待たせいたしました!!
お忙しくてライブ実習にいらっしゃれない先生方には、
『ライブで見せる顎関節症の診断と治療』
のDVDが完成しました(^_<)-☆
▼商品内容
この作品は”顎関節症は治らない”という定説を覆した、
稲葉繁の本格的な顎関節症の治癒を、
たったの2日間で実施するライブの記録です。
6年間から7年間も顎関節症で苦しまれていた患者様の、
治療直後の感想は何よりも代えがたい歯科医の冥利に尽きるものである。
※術後の患者様の家庭療法も必見。
▼Blu-ray / DVDの収録内容の詳細はこちらから
・ライブで見せる 顎関節症の診断と治療
今回も非常に沢山の先生方にお集りいただき、誠にありがとうございましたm(_ _)m
2014年03月18日 | コメント (0) | トラックバック (0)
『顎関節症の診断と治療』開催されました【前半】
IPSG事務局、稲葉由里子です。
2014年3月9日『顎関節症の診断と治療』セミナー
稲葉先生と、IPSG副会長岩田光司先生のコラボセミナーが開催されましたので、【前半】【後半】に渡り、ご報告させて頂きたいと思います。
現在、日本では顎関節症とオクルージョン(咬合)は関係ないと言う風潮があります。
本当にそうなのでしょうか?
ヨーロッパでは顎関節症とオクルージョンの論文、書籍が沢山でています。
ドイツでは、マールブルグ大学のLotzmann教授、オーストリアではウィーンのSlavicek教授もオクルージョンからのアプローチで顎関節症を治療しています。
こちらは、ラウリツェン、スチュアート、そしてPK.トーマス。
ナソロジーの三大巨匠です。
中心位の概念が違っていたとしても、ナソロジーの全てが間違っていたわけではありません。
歯科医師であるならば、ナソロジーは一度はきちんと学ぶべき大切なことです。
と稲葉先生から話がありました(^_^)
稲葉繁が、ドイツへの渡独を決意した、顎関節症の権威 Prof.Schulteの論文について、お伝えさせていただきました。
セミナーの中で、
「これ、一番大切です。」
と伝えるほど、重要な内容です。
ぜひ、読んで頂きたいと思います(^_<)-☆
*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。
【機能分析と理学療法の目標】
ー442名の顎関節症患者の経験からー
Gezielte Funktionsanalyse und Physio-Therapie-Erfahrugen bei 442 Patienten mit Myoarthropathien-
W.Schulte
Dtsh Zahnarzt Z,27:779-795,1972.
新しい論文ではありませんが、当時、顎関節症の治療に取り組んで間もない頃で、診断から治療法がまだ不透明であった時に、各種の論文を漁っていた際に出合った論文で、慣れないドイツ語を読み、大変システム化し、明快に診断から治療法までを、多くの患者をもとに体系づけたもので、1970年のW.Schulteの論文に出合い、頭の中が整理されたことを今も記憶しています。
またドイツへの留学を決意させてくれた私にとって忘れる事の出来ない論文です。
1978年にドイツチュービンゲン大学に留学し、Prof.W.Schulteの講義を2週間にわたり、早期から夜遅くまで聴講し、その整理された内容の高い講義に感銘しました。
442名の顎関節症の患者を詳細に分析し、診断から治療法をシステム化し、90%の症例で、この方法が応用できる事を述べています。
患者の性別では、女性が71.2%、男性が28.8%であり、年齢層を10才ごとに分けると21才から30才までの患者が最も多いのがわかりました。
診断は疼痛および運動障害の診査を行い、自発痛、運動痛および圧痛が左右どちらにあるか、また開口時の下顎の偏位が左右どちらにあるかをもとに、チャートを用いて、5つの典型的なシェーマを選択し、そのシェーマの内容と患者の症状および口腔内の状態を比較し診断します。
1例をあげると、患者の主疼痛側が右側にあり、下顎の側方への偏位が右側に存在する場合、上記のシェーマを選択します。
この場合の疼痛の原因としては、右側の運動に作用する筋の過緊張があり、早期接触および滑走右側に向かう、また就寝時の体位と主咀嚼側かどちらを質問します。
最大開口位で顎関節のレントゲンを撮影してみると、右側は前方に移動せず、左側は、前方に滑走しているはずです。
口腔内の観察では、このような患者では、右側においては、
- 上顎の智歯の挺出
- 下顎智歯の慢性炎症
- 側切歯から第一大臼歯にかけての偏心咬合とそれにともなう咬耗面がある
- 咬合支持を失っており、左側への偏心咬合がある
- 下顎智歯の挺出
- 上下顎大臼歯部の早期接触が認められる
- 義歯の沈下等の咬合不均衡がある
右側に痛みを訴えたならば、さらに最大開口していただき、下顎の側方偏位の方向を調べてみます。
右側に偏位が認められた場合は、上記の図に示した状態が認められる事が多いはずです。
多くの場合、顎関節のX線写真では、最大開口位で右側はほとんど位置の異常は認められないか、あるいはわずかに後方にあり、左側は顆頭が前方に位置しています。
口腔内を観察してみると、右側では下顎の智歯が欠損し、上顎の智歯が挺出しています。
左側に目を移してみると、下顎智歯の挺出があり、下顎の前方運動を妨げています。
大臼歯部の咬頭干渉や、不正なテコ現象、早期接触、不正咬合や義歯の異常な咬耗が認められることが多くあります。
このような場合、筋の触診にいては、右側では咬筋、側頭筋、顎二腹筋後腹、後頸筋群に、左側では側頭筋および外側翼突筋に圧痛が認められることが多いです。
以上のように、
主疼痛側が右側にあり、開口時の右側への偏位が認められる場合にかなり当てはまる事が多いのですが、同様の症状は主疼痛側が左側にあり、下顎の偏位が右側にある場合も認められます。
これとは逆に、主疼痛側が左側にあり、下顎の偏位が左側に認められる場合や、主疼痛側が右側にあり、下顎の偏位が左側に認められる場合は、前記の状態とは正反対になります。
*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。
まずは、患者様がいらっしゃったとき、口を開いていただく。
S字状カーブから、様々なことを読み解くことができるようになって頂きたいと思います。
ということで。
後半は IPSG副会長岩田光司先生の講演をお伝えします(^_<)-☆
2014年03月16日 | コメント (0) | トラックバック (0)
顎関節症の権威 Prof.Schulteの論文について
IPSG事務局、稲葉由里子です。
稲葉繁が、ドイツへの渡独を決意した、顎関節症の権威 Prof.Schulteの論文について、お伝えします。
顎口腔系の機能障害(Funktionstoerungen)の診断と治療で高名なTuebingen大学のProf.Schulteは、442名の治癒例を詳細に分析し、独特な診断・治療法を確立しました。
稲葉先生はSchlteのシステム化された治療方針に従い、治療を行い効果をあげています。
もし右側に痛みを訴えたならば、さらに最大開口していただき、下顎の側方偏位の方向を調べてみます。
右側に偏位が認められた場合は、上記の図に示した状態が認められる事が多いはずです。
多くの場合、顎関節のX線写真では、最大開口位で右側はほとんど位置の異常は認められないか、あるいはわずかに後方にあり、左側は顆頭が前方に位置しています。
口腔内を観察してみると、右側では下顎の智歯が欠損し、上顎の智歯が挺出しています。
左側に目を移してみると、下顎智歯の挺出があり、下顎の前方運動を妨げています。
大臼歯部の咬頭干渉や、不正なテコ現象、早期接触、不正咬合や義歯の異常な咬耗が認められることが多くあります。
このような場合、筋の触診にいては、右側では咬筋、側頭筋、顎二腹筋後腹、後頸筋群に、左側では側頭筋および外側翼突筋に圧痛が認められることが多いです。
以上のように、
主疼痛側が右側にあり、開口時の右側への偏位が認められる場合にかなり当てはまる事が多いのですが、同様の症状は主疼痛側が左側にあり、下顎の偏位が右側にある場合も認められます。
これとは逆に、主疼痛側が左側にあり、下顎の偏位が左側に認められる場合や、主疼痛側が右側にあり、下顎の偏位が左側に認められる場合は、前記の状態とは正反対になります。
*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。
次回は、Prof.Schulteのシステム化された治療方針についてお伝えします(^_<)-☆
2014年03月16日 | コメント (0) | トラックバック (0)
TMDとOFP
顎関節症とは。。。。。。