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『ヨーロッパから学んだ私の臨床』
『ドイツ最先端義歯とインプラントの融合』
続いては、一般社団法人IPSG包括歯科医療研究会 代表 稲葉繁先生
『ヨーロッパから学んだ私の臨床』
稲葉先生は1964年に日本歯科大学を卒業、歯科医師となりました。
その後補綴学を選考し1968年東京オリンピックの年に大学院を修了、歯学博士となり、研究、教育、臨床の道に入りました。
最初に学んだテーマは咬合でした。
特にナソロジーに興味をもち、スチュアート、P.Kトーマス、ジャンケルソン、ラウリッツェン、ギシェーなど主にアメリカの臨床家から影響を受けました。
稲葉先生の臨床は咬合を基本とした顎関節症の治療、テレスコープを用いたパーシャルデンチャー、そして上下顎同時印象法による、デンチャースペースを再現する総義歯が基本となっています。
こちらの写真は、アイヒナーの分類で有名な、アイヒナー先生です。
Weber教授もよく知っている有名な先生の名前がでてきて、とても興味深そうに話を聞いてくださっていました。
1970年代、アメリカで中心位の定義が疑問視され、ナソロジーが見直されてきた時期に、ヨーロッパで顎関節症の診断治療をシステム化しているチュービンゲン大学歯学部のシュルテ教授の講義を受けたいと考えていました。
その後、チュービンゲン大学歯学部補綴科の客員教授として、顎関節症とテレスコープシステムを学ぶチャンスを得ました。
当時スチュアートの咬合器を扱えるのが稲葉先生だけだったことから、信頼を得ることができたといいます。
講演では、顎関節症の患者様、クローズドロックのマニュピレーションの方法を動画で説明させていただき、とてもわかりやすかったと思います。
1978年から1年半に渡り、咬合と筋機能療法を基本にしたシュルテ教授の顎関節症の治療は、その後の臨床に大きな影響を受けました。
さらに、1978年の夏リヒテンシュタインのイボクラーで開催していた、イボクラー社のデンチャーシステムの研修を受講し、シュライヒ先生と知遇を得、現在の最終印象における上下顎同時印象の開発に至りました。
上下顎同時印象による総義歯製作方法もすべて動画でご覧頂きました☆
そして、チュービンゲン大学で学んだ、リーゲル、コーヌス、レジリエンツなどのテレスコープシステムは現在の稲葉先生の臨床の基本になっていることをお伝えしました。
すでに、30年以上経過症例を多数持っていますが、大切なのは、沢山の引き出しを持つこと。
どのような状態でも対応、応用できる技術を、これまでIPSGを通じて先生方に広めて参りました。
『ドイツ最先端義歯とインプラントの融合』は、インプラントとのコンビネーションも可能となり、テレスコープシステムはこれからの日本の歯科治療に求められる、非常に大切な技術だということを先生方にお伝えさせて頂きました。
3つのテーマを動画を織り交ぜお伝えさせていただいた講演はとてもわかりやすかったと思います。
Weber教授も、稲葉先生が広められている技術はとても価値があり、大切な技術なので、バックアップしていきたいとお話をいただきました(^_^)
IPSGでは来年の春、ドイツで開催される、世界で一番大きなデンタルショーIDSの時期に、チュービンゲン大学を訪問する企画を立てる予定ですが、Weber教授は、その際、出来る限りの情報を先生方にお伝えしたいとおっしゃっていただきました。
今後も、IPSGを通じてドイツの歯科技術を啓蒙していきたいと思います。
2014年05月13日
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