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インプラントと入れ歯の違いについて
◆インプラントと部分入れ歯の違いについて(私、稲葉由里子がお答えします。)
Q.インプラントと部分入れ歯について質問します。(60歳女性 N.I)
かなり悩んでいます。
過去に下1番奥を抜き2番目でブリッジとなっていました。ところが2番目の歯が割れてしまい、奥歯が3本ない状態です。反対側の奥歯にもブリッジが入っています。最近全体的に歯がグラグラしてきたような感じもします。近所の歯科医へ行ったところ、部分入れ歯かインプラントとの事でした。インプラントの費用は22万~28万と言われました。
そこで、いくつか質問があります。
・インプラントと部分入れ歯どちらが私にとってよいのでしょうか?
・インプラントの22万~28万円の費用は相場通りでしょうか?
・部分入れ歯の使い勝手はどうなんでしょう?
正直、入れ歯はかなりの抵抗があります。2年前、骨粗鬆症の診断を受け腰の手術をしています。血圧も高めなためインプラント治療も不安で・・・・・。
A.それではまず、インプラントがどういうものかについて知っておきましょう。
ノーベルバイオケアのパンフレットより。
歯の絵がでてきましたが、左側が天然の歯、右側がインプラントです。
左側の健康な歯の根っこ(歯根)は顎の骨としっかり結合して歯根膜というクッションに覆われています。その上を歯ぐきが覆って機能しています。
一方右側のインプラントは天然歯と同じような構造になっていて歯の根っこの部分がチタンという安全な金属により、顎の骨と完全に結合させることができるため天然の歯と同じように機能することが可能です。
失った歯を取り戻せる、素晴らしい方法です。
当院では、大学病院のインプラント専門医、口腔外科医との連携により安全な治療をおこなっています。
私自身もNobel Biocare社のインプラントシステムを受講しています。
しかし・・・・・インプラントが適さない条件、ご存知でしょうか?
まず、
◆骨の量です。
上の図のようにインプラントを支えているのはしっかりとした骨があるからです。(骨が少ない場合は骨を作る必要があります。)そのため土台がしっかりしていないと、いくらインプラントを治療してもうまくいきません。家を建てる時も土台が大事ですよね。
これはレントゲンやCT画像による検査でわかります。
◆歯周病
インプラントは骨に支えられるため、骨が吸収する病気である歯周病は大敵です。
たとえ、その時はうまくインプラントをできたとしても、歯周病の傾向がある方は将来的に骨が吸収してしまい、インプラントがグラグラ・・・・なんてことになる可能性もあります。
◆喫煙
これ、以外と知られていないかもしれません。
喫煙は歯周病だけでなく、インプラント治療にとっても大敵です。喫煙による血管収縮作用によって、口の中の粘膜内の血流が阻害され、組織全体の免疫力が下がります。
従ってインプラント治療直後の傷の治りが悪かったり、歯周病が治らない、インプラント周囲炎になってしまうなど、インプラント治療の失敗につながる悪影響がたくさんあります。
◆全身疾患
出血を伴う処置もありますので、糖尿病や高血圧などの慢性疾患がある方は良好な状態にコントロールされていることが条件になります。
骨粗鬆症などもインプラント治療が制限されます。
当院ではこのようなことを事前にしっかり問診し、安全で確実にインプラントを行える患者様のみ治療をしております。
今回のご質問、
● インプラントと部分入れ歯どちらが私にとってよいのでしょうか?
N.Iさんにとって良い方法は、部分入れ歯です。
なぜなら、歯が全体的に最近グラグラしている感じがする。
骨粗鬆症がある。
高血圧である。
ことからです。理由は上記に書いた通りになります。
● インプラント費用22万~28万円の費用は相場通りでしょうか?
については、とても安いと思います。
通常、しっかり手術をしている歯科医院なら40万~60万円はするはずです。
インプラントの技術を身につけるための歯科医の技術料は大変なものです。しかも材料も非常に高価で、インプラントをするにあたっての設備の維持にも相当の費用がかかります。
かえって安すぎると反対に大丈夫だろうか?と私たちも不安です。
● 部分入れ歯の使い心地はどうなんでしょう?
ここからは、当院の部分入れ歯のご紹介をしたいと思います。
◆テレスコープシステム
歯を失った際に行う治療の主流はインプラントですが、歯の喪失を予防することはできません。高齢者の多くが他に病気をもっていること、歯周病がある、骨粗鬆症で顎の骨がもろい、などインプラントで治療ができない場合があるのも事実です。
また、保険で作る入れ歯は、クラスプというバネを残存歯にかけて使用するため、健康な歯にバネの力が加わり、結果的に歯を失ってしまうこともあります。
当院ではテレスコープシステムでほとんどすべての症例をカバーしています。
そのうちのひとつがリーゲルテレスコープといいます。
リーゲルテレスコープのリーゲル(Riegel)とはドイツ語で閂(カンヌキ)のことで、入れ歯に小さな鍵のような装置を付け、この鍵の開閉によって入れ歯が簡単に着脱できるようなしくみになっています。
さらに、年月の経過と共に変化する口腔の状態に応じ、いつでも修理が可能です。すべての歯を連結、固定することにより強くなり、歯の喪失を予防することができます。
N.Iさんのように全身疾患を伴っている方に対しても、安心して治療を行うことができます。
また、歯周病があったとしても、残っている歯をすべて固定できるため歯が強くなる効果があります。
そして残っている歯を失ってしまったとしても、簡単な修理でもとの入れ歯が使えます。 今まで、歯が抜ける度に何度も作り替えていた入れ歯が、生涯ひとつの入れ歯で過ごすことができます。
ドイツ人は物を大切に修理しながら長持ちさせるという国民性があります。
入れ歯に対しても同じで、100年以上も歴史のある、このテレスコープシステムを改良しながら治療してきました。
また、このリーゲルテレスコープの使い心地なのですが、舌で触れても違和感がなく、装用感は入れ歯が入っていることを忘れてしまうぐらい快適です。
また、リーゲルテレスコープの技術の高さは、稲葉歯科医院顧問、稲葉繁が、ドイツから初めてリーゲルテレスコープを日本に紹介してから既に31年が経った今も、当時治療した患者さんの入れ歯がしっかり使われていることで証明ができます。稲葉はこの31年の間に、リーゲルテレスコープを用いた治療を1,000症例以上、行って参りました。
左の写真は鍵が閉じている状態、右は鍵を開いた状態です。鍵を閉じると舌で触ってもほとんどわからないため違和感がありません。
金属はこの症例はチタンを使用しています。他には、スイスのメタロール社のオロフロイド3という体に安全な金属を使用していますので安心です。
2010年02月28日
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